電気使いは今日もノリで生きる
風の国の王子の憂鬱
風の国、レリアシス王の間にて
「納得いきません!どうして僕がサリア先輩と婚約なんて!」
僕は今、自分の親に向かって必死に説得をしている。内容は当然、号外として配られた内容の件についてだ。なぜいきなり僕がこんな婚約をすることになってしまったのか説明を求めている。
「ふむ、なぜ、か。それを余に問うか?我が国の悲願をかなえるためだ」
「お前の悲願だろうが…天下統一か?」
こいつが…ああ、僕もミライにあんまり強く言えないな…考えているのは他国を侵略して自分にとって都合のいい軍団を作りたいだけだろ。てか他国を侵略とか時代錯誤も甚だしい。今の時代他国とは手を取り合って協力して生きていかなければいけないだろうが。そもそも魔王が蘇りそうだっていうのに侵略とか何考えているんだよ
「それを願って何が悪い。だいたい、一つの統治国家になっていれば魔族が復活しそうな今一致団結できるのに」
「それはそうだけど、やっていいことと悪いことがあるだろ。つまりあれか?僕とサリア先輩のはあくまで政略結婚だっていうのか?」
まあまだ婚約段階だからどちらかっていうと政略婚約っていう感じなのか?まあこの際細かいことは気にしない方向で
「そうだ。月の姫がつい先月に罪を犯したのでな、それを裁くために余が捕まえたのだ」
「取引をするために、だろうが」
それも自分にとって都合のいい。拳をかなり強く握りこんでいることが自分でもわかる。だってサリア先輩が犯した罪っていうのは国家間で決められたダンジョンが発見された時、しばらくの間はどの国家も必要以上に人をよこさないという約束だ。別に月の国からサリア先輩を派遣したことにすれば問題ないのだが、先輩がしたことはミライがダンジョンに突入するという違反行為の手助けをしてしまったことだ。ミライは転移者であるので所属国家はない。一応『星』が保証しているが別に所属、までは言っていない。
少し話が逸れてしまったが要はその罪の償いとして僕の親は…というか『風』の国は『月』の国にこの婚約の話を持ちかけたらしい。サリア先輩を捉えたのがうちじゃなかったら…と思わずにはいられないがこれが現実なのだから仕方がない。ダンジョン侵入の罪を犯した人間の処遇は捕まえた国家が好きにしてよいという決まりになっている。だからサリア先輩を捕まえた僕の父親は僕と結婚させようとしているみたいだ。殺すと脅してしまえば『月』の国は従わざるを得ない
「『陽』の国や『氣』の国にも同じように捕まえようとしたのだが別の国に先を越されてしまったのでな」
『陽』の国はセリア先輩で『氣』の国はグレン先輩だろう。セリア先輩はユンさんが攻略を行った以上不法侵入の意思ありとみなされても仕方がない。また、グレン先輩は…サリア先輩と同じ感じかな。
「それにあの化け物を見逃してしまったのは痛い。あれを捉えればかなりの国が協力してくれるのに」
そして…あと一人、唯一捕まえることができなかったシェミン先輩のこともある。まあ本気を出したあの人を止めることなんて誰にもできないだろうしこれは至極当然の結果なんだろうけどね。てか化け物って…あの人が強いことは知っているけどなんで化け物って呼ばれているんだ?
「それはお前は知らなくてもいいことだ。どうせ王座もシャトが受け継ぐことになるだろうし」
シャト兄、僕の5つ上の兄弟。容姿端麗で政治的手腕も優れていて優しく周りの臣下からの信頼も厚い。まあ僕も王位継承を争う気なんてないしそもそも争ったって確実に負けることは目に見えている。兄としても優しいし頼りになる本当に尊敬している。まあだから政略結婚なんてものに僕が出されることになってるわけだし
「もういいか?お前の下らない話に付き合っていられないんでな」
「ちょっ、僕の話は」
「これは決定事項だ」
「ぐっ」
そのまま父上は兵士を呼ぶ。呼ばれた兵士によって僕は王の間から連れ出される。抵抗したいところだけど抵抗しても意味がないことを知っているので僕は素直に従う。そして僕は自室まで連れて行かれた
「くそっ」
部屋についてからすぐに僕は悪態をつく。先輩たちの覚悟は知っている。クレアを助けるために決まりを破ったことを。一応聞いた計画では誰にも気付かれることなくミライを侵入させることになっていたけど…まああそこの警備に回されている兵士もかなり優秀なのが揃っている。先輩たちの実力を疑うわけではないが侵入者の正体を掴むぐらいはできたのだろう。
「一週間後、か」
今から一週間後の葉月二週目風曜日。そこで僕はサリア先輩と正式に結婚することになる。僕がまだ学生であることを盾に引き延ばすことを考えたけれどもそれを言えば退学させられかねない。普通なら考えられないが今の父上を見てみればそれがあり得ると思えてしまう。それまでになんとかしなければ…
『探っているけどまだ誰が魔族かわからないわ…おそらくかなり高位ね。下手すれば「王」クラスも考えておいて』
そっか。了解。でもここでは誰がどこで監視をしているかわからないから話しかけないでもらえないか?外にでる機会を作るからその時に話しかけて欲しい
『そう、わかったわ。じゃあまた探りを続けるわね』
助かる。そう心の中でつぶやく。でも聞かされた内容にかなりげんなりする。かなり厳しい状況だ。いくら侵略国家だとしてもいささか行き過ぎている行為が目につくことがある。だから念のためではあるが調べることにした。結果としてわかったことは魔族が誰かに取り憑いたりして僕の国に入り込んでいるというもの。だが魔族の気配がしたものの誰に取り憑いているのかまでは判別することができなかった。その点から見てもかなり高位であることがわかる。だから早いところなんとかしないといけないんだけど…焦る気持ちを耐える。焦るな。ここで焦ってしまえば一巻の終わりだ。こうしてこっそり探りを入れていることも気付かれてしまえば終わりだ。誰にも言っていないしバレることなんて決してないと信じているけど落ち着くことは大事だ。だが状況はかなり悪い
「助けを求めることがほぼ、できない」
別に国の恥だからとかそういう問題ではない。もしうちと同じような野心を抱いている国に助けなんて求めたらあっというまに侵略されてしまうしそれにいつもこういう時に頼りになる先輩たちはほとんど指名手配されているか捕まっているかのどちらかだ。だから助けを求めたくても求める人がいない。レイ先輩やスバル先輩、それに葉杜もここから遠すぎる。迷惑になりかねない。
「頼れるのはシズクだけ、か」
シャト兄もきっと助けになってくれると思うけど…けれども話していない。忙しくて話せないっていうのもあるけど…もしシャト兄が取り憑かれていたとしたら…と想像すると話すことができない。誰が魔族側なのかわからない以上誰にも打ち明けられない。
「このまま、何もできずにサリア先輩と結婚してしまうのか」
誰もいない部屋でため息をつく。八方塞がりだ。どうすればいいんだろう…
「納得いきません!どうして僕がサリア先輩と婚約なんて!」
僕は今、自分の親に向かって必死に説得をしている。内容は当然、号外として配られた内容の件についてだ。なぜいきなり僕がこんな婚約をすることになってしまったのか説明を求めている。
「ふむ、なぜ、か。それを余に問うか?我が国の悲願をかなえるためだ」
「お前の悲願だろうが…天下統一か?」
こいつが…ああ、僕もミライにあんまり強く言えないな…考えているのは他国を侵略して自分にとって都合のいい軍団を作りたいだけだろ。てか他国を侵略とか時代錯誤も甚だしい。今の時代他国とは手を取り合って協力して生きていかなければいけないだろうが。そもそも魔王が蘇りそうだっていうのに侵略とか何考えているんだよ
「それを願って何が悪い。だいたい、一つの統治国家になっていれば魔族が復活しそうな今一致団結できるのに」
「それはそうだけど、やっていいことと悪いことがあるだろ。つまりあれか?僕とサリア先輩のはあくまで政略結婚だっていうのか?」
まあまだ婚約段階だからどちらかっていうと政略婚約っていう感じなのか?まあこの際細かいことは気にしない方向で
「そうだ。月の姫がつい先月に罪を犯したのでな、それを裁くために余が捕まえたのだ」
「取引をするために、だろうが」
それも自分にとって都合のいい。拳をかなり強く握りこんでいることが自分でもわかる。だってサリア先輩が犯した罪っていうのは国家間で決められたダンジョンが発見された時、しばらくの間はどの国家も必要以上に人をよこさないという約束だ。別に月の国からサリア先輩を派遣したことにすれば問題ないのだが、先輩がしたことはミライがダンジョンに突入するという違反行為の手助けをしてしまったことだ。ミライは転移者であるので所属国家はない。一応『星』が保証しているが別に所属、までは言っていない。
少し話が逸れてしまったが要はその罪の償いとして僕の親は…というか『風』の国は『月』の国にこの婚約の話を持ちかけたらしい。サリア先輩を捉えたのがうちじゃなかったら…と思わずにはいられないがこれが現実なのだから仕方がない。ダンジョン侵入の罪を犯した人間の処遇は捕まえた国家が好きにしてよいという決まりになっている。だからサリア先輩を捕まえた僕の父親は僕と結婚させようとしているみたいだ。殺すと脅してしまえば『月』の国は従わざるを得ない
「『陽』の国や『氣』の国にも同じように捕まえようとしたのだが別の国に先を越されてしまったのでな」
『陽』の国はセリア先輩で『氣』の国はグレン先輩だろう。セリア先輩はユンさんが攻略を行った以上不法侵入の意思ありとみなされても仕方がない。また、グレン先輩は…サリア先輩と同じ感じかな。
「それにあの化け物を見逃してしまったのは痛い。あれを捉えればかなりの国が協力してくれるのに」
そして…あと一人、唯一捕まえることができなかったシェミン先輩のこともある。まあ本気を出したあの人を止めることなんて誰にもできないだろうしこれは至極当然の結果なんだろうけどね。てか化け物って…あの人が強いことは知っているけどなんで化け物って呼ばれているんだ?
「それはお前は知らなくてもいいことだ。どうせ王座もシャトが受け継ぐことになるだろうし」
シャト兄、僕の5つ上の兄弟。容姿端麗で政治的手腕も優れていて優しく周りの臣下からの信頼も厚い。まあ僕も王位継承を争う気なんてないしそもそも争ったって確実に負けることは目に見えている。兄としても優しいし頼りになる本当に尊敬している。まあだから政略結婚なんてものに僕が出されることになってるわけだし
「もういいか?お前の下らない話に付き合っていられないんでな」
「ちょっ、僕の話は」
「これは決定事項だ」
「ぐっ」
そのまま父上は兵士を呼ぶ。呼ばれた兵士によって僕は王の間から連れ出される。抵抗したいところだけど抵抗しても意味がないことを知っているので僕は素直に従う。そして僕は自室まで連れて行かれた
「くそっ」
部屋についてからすぐに僕は悪態をつく。先輩たちの覚悟は知っている。クレアを助けるために決まりを破ったことを。一応聞いた計画では誰にも気付かれることなくミライを侵入させることになっていたけど…まああそこの警備に回されている兵士もかなり優秀なのが揃っている。先輩たちの実力を疑うわけではないが侵入者の正体を掴むぐらいはできたのだろう。
「一週間後、か」
今から一週間後の葉月二週目風曜日。そこで僕はサリア先輩と正式に結婚することになる。僕がまだ学生であることを盾に引き延ばすことを考えたけれどもそれを言えば退学させられかねない。普通なら考えられないが今の父上を見てみればそれがあり得ると思えてしまう。それまでになんとかしなければ…
『探っているけどまだ誰が魔族かわからないわ…おそらくかなり高位ね。下手すれば「王」クラスも考えておいて』
そっか。了解。でもここでは誰がどこで監視をしているかわからないから話しかけないでもらえないか?外にでる機会を作るからその時に話しかけて欲しい
『そう、わかったわ。じゃあまた探りを続けるわね』
助かる。そう心の中でつぶやく。でも聞かされた内容にかなりげんなりする。かなり厳しい状況だ。いくら侵略国家だとしてもいささか行き過ぎている行為が目につくことがある。だから念のためではあるが調べることにした。結果としてわかったことは魔族が誰かに取り憑いたりして僕の国に入り込んでいるというもの。だが魔族の気配がしたものの誰に取り憑いているのかまでは判別することができなかった。その点から見てもかなり高位であることがわかる。だから早いところなんとかしないといけないんだけど…焦る気持ちを耐える。焦るな。ここで焦ってしまえば一巻の終わりだ。こうしてこっそり探りを入れていることも気付かれてしまえば終わりだ。誰にも言っていないしバレることなんて決してないと信じているけど落ち着くことは大事だ。だが状況はかなり悪い
「助けを求めることがほぼ、できない」
別に国の恥だからとかそういう問題ではない。もしうちと同じような野心を抱いている国に助けなんて求めたらあっというまに侵略されてしまうしそれにいつもこういう時に頼りになる先輩たちはほとんど指名手配されているか捕まっているかのどちらかだ。だから助けを求めたくても求める人がいない。レイ先輩やスバル先輩、それに葉杜もここから遠すぎる。迷惑になりかねない。
「頼れるのはシズクだけ、か」
シャト兄もきっと助けになってくれると思うけど…けれども話していない。忙しくて話せないっていうのもあるけど…もしシャト兄が取り憑かれていたとしたら…と想像すると話すことができない。誰が魔族側なのかわからない以上誰にも打ち明けられない。
「このまま、何もできずにサリア先輩と結婚してしまうのか」
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