電気使いは今日もノリで生きる
思いを込めた一撃
葉月一週目水曜日
聞こえてくる声色はさっきまでとまったく変わらない。でも口調がまったく違う。もっと言うならばまとっている雰囲気がまったく異なる。今僕の目の前にいるのは紛れもなくミイさんの方だ。
「ど、どうして…」
『単純よ。あなたでかける前にメイから魔力をもらってたでしょ?』
え、た、確かに手を握った時に何かが流れ込んでくる感覚があったけれどそれってメイさんから魔力が送られてきていたのか。でもそれがなんの関係があるっていうんだ?
『あなたに送られてきた魔力はメイ一人だけのものじゃないわ。他の人の魔力も一緒に送られてきていたわ』
他の人の魔力って…まさかミナさんとフタバさん!?。彼女たちの魔力がさっき殴った時の接触によってミイさんに流れてしまったっていうことなのか?それで彼女は意識を取り戻した?そんなにうまくいくものなのか?漫画じゃあるまいし
「あなたと…そこの炎の人の攻撃で…あいつは弱っていた…だから…マスターの、フタバの、ミナの、イヨの、ナナの、ムツキのそしてイチカの魔力を受け取って彼女たちの思いを受け取って…私は意識を取り戻せた」
まさかの全員から!?いやいやいや、僕さすがに全員からもらっていないんですけど『あら、ナナとイヨはもらっていたじゃない』確かにそうだけど…あれ昨日の時点で失っていなかった?
『いいえ、ちゃんと残っていたわ。てかイヨの方はあなたの魔力と完全に同化しているからもう失いようがないわ』
そうなんですね。というわけで二人は解決。でも残りのイチカさんとムツキさんはどうやって…?ムツキさんに至ってはもうその…生命を全うしてからかなりの時間が経っている『まだ二日よ』え、あ、そうだった。
『昨日メイがもらったみたい。言ったでしょ?メイとイチカが話をしたって』
「それで!?」
『イチカもね。彼女、実験に加わるのは自分だけでいいって考えていたみたいよ。ミイが巻き込まれているのを知ってなんとか救いたいって。だからメイに自分の魔力を渡してたの』
そしてメイさんを経由して僕に届けられたと。あ!まさかムツキさんは最期の時に手を握っていたからその時に送られてきたのかな?
『多分そうでしょうね。あんたあの時疲労憊で感覚が麻痺していたから気付いていなかったんでしょうし』
なるほどね〜そういうわけで確かに全員分の魔力をもらっていたよ。あれ?今ミイさんの意識があるということは僕もうあいつを倒す必要ないんじゃないか?
「お願いがあります…私が…意識を保っているうちに…私を…殺して」
「…」
『器として完全にあいつに支配されていたのよ…あいつを止めるためにはミイさんを殺すしかない』
「…」
ミイさんを見る。彼女は覚悟を決めた表情で僕のことをみてくる。どうやら他に選択肢がないみたいだ
「あなたのことは…正直知りません…でもみんなの記憶が…あなたが信頼に足る人物であると言っています…だから…お願いします」
自分の拳を見つめる。イフリートに言われた時から覚悟を決めていた。でも、今改めて言われると躊躇してしまう。今まで人を殺したことは一回しかない。でもその時はある意味不慮の事故…僕が殺そうと思って殺そうとしたわけではない。
その時とは状況が微妙に違う。今は僕は明確な意思を持って人を殺す。それも全くの見知らぬ人じゃなくて知り合いを。僕のことを初めて好きだと言ってくれた人と同じ顔の人間を。
「はぁ…はぁ…」
呼吸が荒くなる。ミイさんを殺すことは考えていた。でも少しだけ期待していた自分がいた。もうミイさんはあいつに殺されているのじゃないかと。だから今まで全力でミイさんの体を殴っていたし殺す気で戦っていた。でも今までずっと生きていたとなると…
『しっかりしなさい!ここで殺らなきゃいつやるの!決めたのでしょう!全てを終わらせると』
イフリートからの叱咤が飛んでくる。そうだよ。全て終わらせるつもりで僕はここにきたよ。でもその終わらせ方がミイさんを殺して終わりだなんて想像もしていなかったんだよ!
「おねがいします…はやく…私を…ころして…私の意識が…」
「ぐっ…」
『それに時間もないわ。そろそろあいつが完全体になってしまう。そうなってしまえばもう勝ち目なんてないわよ』
「はい…もうすぐで…あいつが…私の体から…出て行きます…そうなれば…終わりです」
出て行くの?それなら『仮にそうなってもミイはもう死ぬわ。あいつが完全体になるということは今の器を壊して出てくるようなものだから』そんな…
「だから…お願いします」
「うっうぐっ」
ミイさんの前に立つ。ミイさんは恐れることなく防御の構えをとく。そして無防備な姿勢になる。
「私の…心臓を突いて…ください」
『あいつが出てくる前にミイを殺すの。そうすればあいつは現世にいられなくなるわ』
「…」
ミイさんの目をみる。やっぱり最後まで覚悟を決めた目でこちらを見ている。…僕も、覚悟を決めるしかないな。僕はゆっくりと手をあげ、そしてミイさんの顔の前に突き出す。ミイさんがゆっくりと目を閉じる。…でも僕はなにもしない
「君の魔力も渡してほしい」
「…え?」
「僕の中には今みんなの魔力がある。でもミイさんのはない。ミイさんを殺すのは僕だけど、みんなで終わらせるんだ」
こえは僕だけの戦いじゃない。だから最後はみんなで終わらせよう。ミイさんあなたの命の責任は僕がきちんと果たす。だから安心して僕に魔力を預けてほしい
「…わかりました」
ミイさんの手が僕の手にぶつかりミイさんの魔力が流れ込んでくる「…!」ミイさん
「…お願いします」
「ああ」
まだだ。まだ泣いてはいけない。彼女を殺すまで泣くわけにはいかない。歯を食いしばって涙がこぼれ落ちそうになるのを耐える。
再度、拳を構える。目を閉じてみんなのことを思い出す
無表情で僕のことを尋問してきたイチカさん
最初に僕と戦ったミイさん
無口だけど僕を信じてついてきてくれたミナさん
最初に僕を信じてくれたフタバさん
はじめに僕に全てを託し僕をかばって死んだムツキさん
最初に出会い、また僕に託してくれたナナさん
一人で全てを抱え込もうとしたメイさん
そして…出会ってからずっと一緒にいて僕に告白してくれたイヨさん
みんなのことを思い出しながら僕は全ての魔力を左の拳に込めて…
「…………ごめんね」
ミイさんの心臓をそのまま貫いた。
聞こえてくる声色はさっきまでとまったく変わらない。でも口調がまったく違う。もっと言うならばまとっている雰囲気がまったく異なる。今僕の目の前にいるのは紛れもなくミイさんの方だ。
「ど、どうして…」
『単純よ。あなたでかける前にメイから魔力をもらってたでしょ?』
え、た、確かに手を握った時に何かが流れ込んでくる感覚があったけれどそれってメイさんから魔力が送られてきていたのか。でもそれがなんの関係があるっていうんだ?
『あなたに送られてきた魔力はメイ一人だけのものじゃないわ。他の人の魔力も一緒に送られてきていたわ』
他の人の魔力って…まさかミナさんとフタバさん!?。彼女たちの魔力がさっき殴った時の接触によってミイさんに流れてしまったっていうことなのか?それで彼女は意識を取り戻した?そんなにうまくいくものなのか?漫画じゃあるまいし
「あなたと…そこの炎の人の攻撃で…あいつは弱っていた…だから…マスターの、フタバの、ミナの、イヨの、ナナの、ムツキのそしてイチカの魔力を受け取って彼女たちの思いを受け取って…私は意識を取り戻せた」
まさかの全員から!?いやいやいや、僕さすがに全員からもらっていないんですけど『あら、ナナとイヨはもらっていたじゃない』確かにそうだけど…あれ昨日の時点で失っていなかった?
『いいえ、ちゃんと残っていたわ。てかイヨの方はあなたの魔力と完全に同化しているからもう失いようがないわ』
そうなんですね。というわけで二人は解決。でも残りのイチカさんとムツキさんはどうやって…?ムツキさんに至ってはもうその…生命を全うしてからかなりの時間が経っている『まだ二日よ』え、あ、そうだった。
『昨日メイがもらったみたい。言ったでしょ?メイとイチカが話をしたって』
「それで!?」
『イチカもね。彼女、実験に加わるのは自分だけでいいって考えていたみたいよ。ミイが巻き込まれているのを知ってなんとか救いたいって。だからメイに自分の魔力を渡してたの』
そしてメイさんを経由して僕に届けられたと。あ!まさかムツキさんは最期の時に手を握っていたからその時に送られてきたのかな?
『多分そうでしょうね。あんたあの時疲労憊で感覚が麻痺していたから気付いていなかったんでしょうし』
なるほどね〜そういうわけで確かに全員分の魔力をもらっていたよ。あれ?今ミイさんの意識があるということは僕もうあいつを倒す必要ないんじゃないか?
「お願いがあります…私が…意識を保っているうちに…私を…殺して」
「…」
『器として完全にあいつに支配されていたのよ…あいつを止めるためにはミイさんを殺すしかない』
「…」
ミイさんを見る。彼女は覚悟を決めた表情で僕のことをみてくる。どうやら他に選択肢がないみたいだ
「あなたのことは…正直知りません…でもみんなの記憶が…あなたが信頼に足る人物であると言っています…だから…お願いします」
自分の拳を見つめる。イフリートに言われた時から覚悟を決めていた。でも、今改めて言われると躊躇してしまう。今まで人を殺したことは一回しかない。でもその時はある意味不慮の事故…僕が殺そうと思って殺そうとしたわけではない。
その時とは状況が微妙に違う。今は僕は明確な意思を持って人を殺す。それも全くの見知らぬ人じゃなくて知り合いを。僕のことを初めて好きだと言ってくれた人と同じ顔の人間を。
「はぁ…はぁ…」
呼吸が荒くなる。ミイさんを殺すことは考えていた。でも少しだけ期待していた自分がいた。もうミイさんはあいつに殺されているのじゃないかと。だから今まで全力でミイさんの体を殴っていたし殺す気で戦っていた。でも今までずっと生きていたとなると…
『しっかりしなさい!ここで殺らなきゃいつやるの!決めたのでしょう!全てを終わらせると』
イフリートからの叱咤が飛んでくる。そうだよ。全て終わらせるつもりで僕はここにきたよ。でもその終わらせ方がミイさんを殺して終わりだなんて想像もしていなかったんだよ!
「おねがいします…はやく…私を…ころして…私の意識が…」
「ぐっ…」
『それに時間もないわ。そろそろあいつが完全体になってしまう。そうなってしまえばもう勝ち目なんてないわよ』
「はい…もうすぐで…あいつが…私の体から…出て行きます…そうなれば…終わりです」
出て行くの?それなら『仮にそうなってもミイはもう死ぬわ。あいつが完全体になるということは今の器を壊して出てくるようなものだから』そんな…
「だから…お願いします」
「うっうぐっ」
ミイさんの前に立つ。ミイさんは恐れることなく防御の構えをとく。そして無防備な姿勢になる。
「私の…心臓を突いて…ください」
『あいつが出てくる前にミイを殺すの。そうすればあいつは現世にいられなくなるわ』
「…」
ミイさんの目をみる。やっぱり最後まで覚悟を決めた目でこちらを見ている。…僕も、覚悟を決めるしかないな。僕はゆっくりと手をあげ、そしてミイさんの顔の前に突き出す。ミイさんがゆっくりと目を閉じる。…でも僕はなにもしない
「君の魔力も渡してほしい」
「…え?」
「僕の中には今みんなの魔力がある。でもミイさんのはない。ミイさんを殺すのは僕だけど、みんなで終わらせるんだ」
こえは僕だけの戦いじゃない。だから最後はみんなで終わらせよう。ミイさんあなたの命の責任は僕がきちんと果たす。だから安心して僕に魔力を預けてほしい
「…わかりました」
ミイさんの手が僕の手にぶつかりミイさんの魔力が流れ込んでくる「…!」ミイさん
「…お願いします」
「ああ」
まだだ。まだ泣いてはいけない。彼女を殺すまで泣くわけにはいかない。歯を食いしばって涙がこぼれ落ちそうになるのを耐える。
再度、拳を構える。目を閉じてみんなのことを思い出す
無表情で僕のことを尋問してきたイチカさん
最初に僕と戦ったミイさん
無口だけど僕を信じてついてきてくれたミナさん
最初に僕を信じてくれたフタバさん
はじめに僕に全てを託し僕をかばって死んだムツキさん
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