電気使いは今日もノリで生きる

歩海

力の差

葉月一周目月曜日


「格好いいなぁ」
「まあね」


僕の前に立つクレア。本当に主人公感出てるなぁ。そういえばそこまで日にちが経っていたいのもあってイフリートと契約した後のクレアの戦いをまともに見たことないなぁ。いやそりゃ一緒にナナさんを救出した時に見たけれどそれはイフリートが協力していなかったしイフリートと協力したのを見てみたいなぁ


「クレアさん、まって」
「ん?」


さらにその横に並び立つメイさん。この人のこの人で格好いいんだよなぁ。彼女が僕よりも年下だなんて信じられないんだけどね。はあ、年上プラス男の子の面目丸つぶれだな。そんなプライドなんて元からないんだけどさ


「一応聞きますけど私たちを見逃す・・・というか彼女たちを私が引き取ってもいいかしら?」
「彼女たち・・・・?ああ、そこのクローンどもか。悪いけどそれはできないね。彼女たちはもう用済み。だから処分するよ」
「それなら私が保護しても問題ないのでは?」
「うーん」


あー戦わずしてここから助けてくれるのか。それはそれでいいよな。下手に戦おうとすればきっとお互いにそれ相応の被害が生まれてしまう。そうならないためにもこうして一旦引いてもらえると助かるわけだ。でも向こうはそのつもりが全くないように思えるんだけどね。うーん、それなりに被害が出ているわけだしある程度の成果は欲しいのかな


「じゃあこうしよう。そこのクローン三体はやるからミライくんは私が預かる。それでいいかい?」


そうなりますかー。僕がめちゃくちゃにしてしまったからそれの分の処罰をしたいとそういうわけですね。まあ彼らが研究しているクローンを全部で4人ほど誑かしたことになるのだし・・・てかムツキさんが死んだのは間違いなく僕のせいになるわけだし僕を殺したくてたまらないのかな。


「・・・悪いけどお断りします」
「どうしてだい?」
「この子たちの言葉が正しければムツキは・・・ミライさんを信じました。だから、彼女の意思は尊重したい」
「君がそんなに義理堅いとはね」
「・・・それに私個人としても少し借りがある」


メイさん・・・なんて優しいんだ。だから・・・だから誰にも、頼りになるであろうフランさんお姉ちゃんでさえにもなにも言わずに一人で抱え込んでいた。そんなの一人で抱え込めるわけないのに


「そうか。じゃあ悪いけど、イチカ、メイを抑えていて「彼の命令には従わなくていいわ」・・・」
「あなたはもう今日は休みなさい。私が命ずるわ」
「彼女の命令なんて聞かなくていい。さっさと抑えるんだ」


二人がイチカさんに命令する。メイさんの方は命令というよりはお願いに近い感じがするな。本当はしたくないけれど仕方がなくっていう感じ


「命令が重複した時はマスターを優先します。ですので私はこれで・・・」


そういうとイチカさんはどこかに去っていった。あれ?思ったよりも簡単に去っていったな。てかこれだとメイさんの心境を考えるとかなりやばいな。自分と同じぐらいの少女たちからマスターマスターって言われて自分の命令に従うようにプログラムされているだなんてね。そんなの最初はいいかもしれないけどだんだん薄気味悪くなってくるよな


「これで残りはあなただけです。引いていただきませんか?」
「悪いけど・・・ここで頑張らないといけないと思うんだよね。というわけでさ、彼だけは回収させてもらうよ」
「そうですか・・・では、少し寝ていてください」
「そうはいかないよ・・・」
『これ、私たちの出番なにもないわね』


そうだね。てかイフリートいつのまに僕のそばに来たんだよ。『いやなんかメイって子が全部持って行っちゃったし・・・』言われてみれば僕らかなり空気になってしまっているからね。てか何気に同じスキルを持つ人間の戦いを端から見るのって初めてかもしれない。


『え?学校とかで・・・ああ、ごめん』


うん、そうなんだよ!学校でもなんか気がついたら周りから人がいなくなってしまって同じスキルを持った人の戦いはおろかまともに同級生の戦いすら見たことないんだからな!おまけに意識不明になってしまっていることが多かったから他の人の試合を全く見に行くことがなかったし。


「念を押すようだけどあなたは私に勝てないわよ?」
「それは1対1の場合だけですよ。今のあなたには・・・足足手まといがいる!『火の玉』」


火の球がこちらに向かってくる。てか少しばかりあからさまな気がしないでもないけれど・・・そもそも僕は動けないけれども魔法自体は発動できるんだからな!


「『電気の領域field』」
「・・・まだ魔法が使えたとは」
「動けないだけで魔法は使えるんだよ『放電thunder』」
「ミライさんは黙ってて『接地earth』」


・・・名前忘れたけど研究者らしき人に向かって電撃を放つ。しかしながらその電撃は届くことなくメイさんがかざした手に吸い込まれてしまった。え、あの・・・僕メイさんの味方なのですけど


「ここは私一人で大丈夫です『充電ヒール』」


さらに僕に手をかざしたまま魔法を唱えているのを聞くと・・・急に体がかなり楽になった。え?さっきまで立ち上がることが困難だったんだけどどうしてか急に動くことができるようになったんだけど・・・そして謎に空腹感に襲われる。僕いつから食べてなかったっけ?それならお腹すくのもしょうがないのかな


「血液を作るように体内の臓器を活性化させました・・・まあ正直言いたくないですが死期を早めてしまったのかもしれません」


えっと、どういう意味?「『放電』」あ、もう説明がないパターンですか、そうですか。イフリート、解説お願い


『えっと、要は、あなたの血液を無理やり生み出したってこと、そのためのエネルギーとして内臓の一部を使ったってことね』
「えええええええええ」
「ミライ、どうしたんだ?急に奇声をあげて」
「いつものことじゃないんですか?」


おいこら誰だ今僕が奇声をあげるのが当たり前だと言ったやつ・・・どう考えてもイヨさんか、イヨさんしかいないよな、うん。


『てか不自然なことではないでしょ?人間って確かエネルギーが不足したら内臓とかを燃料に変えるんでしょ?』


そういえばそんなことを聞いたことあるようなないような。つまりはそのエネルギー源にされてしまったので僕の内臓はちょっとだけ使われてしまいましたよとそういうことなわけですね。なるほどです、納得しました。そういえばメイさんの方はどうなっているんだろう


「『固定set』」
「ぐっ・・・」


相手の男が縛り付けられている『ソラよいい加減に覚えなさい』そうですね。ソラさんが地面と電気の鎖につながれている。あ、これメイさんの魔法なのか


「『催眠sleep』・・・抑える事に成功しました。次は何をすればよろしいですか?」
「え?ああ、えっと・・・ちょっと待って『精霊召喚・イフリート』」
「「「!!!!!」」」


ん、急に後ろの三人が驚きの声をあげたんだけど。あ、もしかしてイフリートの姿が見えてますか?


『そうね。うーん、初めてだし五分ね。まあいいわ。メイそいつに幾つか質問して』
「わかりました」


そして幾つかの質問が始まり僕らはこの研究の実態を知ることになる。

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