電気使いは今日もノリで生きる

歩海

厳しい現実

???


さあ、張り切って4階層の攻略に向かうとしますか。この階層の敵ってどんななんだろう


「まあ、予想はつくけどな」
「てかそれしかありえないしな」


あ、ユンさんやヤマトさんはもうすでに敵の目星がついているんですね。「え?ミライわからないの?」クレアまで!?おいおいどうなっているんだよ


「誰かが言ったかもしれませんがキメラアントには女王と呼ばれる個体がいます」


ユリさん、丁寧な解説ありがとうございます。えっと、ああ、蟻だし女王蟻みたいな感じでいるのかな。それが卵を産んで巣がどんどん拡大していくと


「そして先ほどの戦いにおいて我々は女王を視認できていません」
「え?でもそれっていつのまにか討伐されていたとか、ほらドラゴンの攻撃とかで」
「いいえ、普通巣の奥底にいるので『流星』の被害はないと思います。ですので生きているはず、なのに我々の前に姿を現さない、つまり」
「女王が次のボスだと」
「ええ、クイーンがいなければあそこまでの繁殖はあり得ない。ですので次は」
「アレの比じゃない数のキメラアントの群れ」
「そうなりますね」


ユンさんの後をついて階段を登っていく。さて、どんな感じなのだろうか


上がってみれば、そこは一面砂地だった。砂漠といったほうがいいかもしれない。幸い風は吹いていないようで視界が悪くなるといったことはない。


「これは・・・」
「砂鉄が使えない・・・いや、ギリギリか」


サラサラしすぎた砂ってあれだよね。砂鉄とかがかなり少ない。そういう地質みたいでちょっと探ってみたけど集まりがかなり悪い。できなくはないけれども爆破を連続使用は無理かもしれないな。てかそもそも片手だとうまいこと集めること無理だし・・・ん?


「ユンさん!下にキメラアントの気配アリ!数は・・・無数!」
「マジかよ。全員散開!」


ユンさんの指示に従って僕らは一定の距離を取る。互いの邪魔をしない範囲でそしてすぐに助けにいける距離を保ちながら


「来たぞ!」
「四方に・・・囲まれてます」


うわ、僕の眼の前にもきた・・・でも、心配いらない。三階層の時とは違うんだ。今は体力が全開。だから遠慮なく魔法を使える。『電気鎧armor第三形態third』だけは控えるようにというか以前と同じようにどんどん使うなって釘をさされたしね


「『電気鎧armor』」


幸いというべきか今回の階層は視界がかなり広い。障害物がないから僕の姿は遠くからでもはっきりわかるけれど逆に言えば僕も敵の位置がわかるし味方の位置もわかる。こういった戦いの練習をしよう。でもそれよりも・・・


「連続でキメラアントがモブっておかしくないですか?」
「いやおかしくない。てかミライ、気がつかなかったのか?」
「え?」


今度はツキさんに話を聞くことにしよう。聞いてばっかりだがこういう風に一つ一つきちんと聞こう。こういった積み重ねが大切だ。・・・この際に役に立つかは知らないけど


「簡単な話だ。この階層のボスが女王でモブがキメラアント。そして三階層のボスがドラゴンでモブはキメラアントに喰いつくされてしまった。下に降りるだけならなんとかなるからな。産み落とされたうちの幾つかが下の階層に突撃したのだろう」


あ、そういうことか。だから女王が4でキメラアントが3とかいうおかしな話になっていたのか「納得するな考えろ」え?・・・あ!


「この階層のキメラアントって」
「そ、だからやばいって話をしたんだ」
「なるほどです」


っと。のんびり話している時間はないな。さっそくお出ましだ。てか数を考えたらキメラアントをちまちま倒すよりも先にボスを倒したほうがいいんじゃないか?


「すまん指示を忘れてた、クレア!お前は先に女王を探してくれ!他のやつはそれまでできる限り敵を叩き潰してくれ。ただし全力は禁止!ボスまでとっておけ」
「了解」


全力禁止かつまり『電気鎧armor第三形態third』はやっぱりダメってことだね。まあやることは変わりないし問題ないか。


「『放電thunder』」


片腕のせいで威力がわずかだけど落ちている気がするな。てか今僕たちの状態は真ん中にクレアとユリさんをおいて他の7人で周りを囲っている状態か。つまりこれは下手に突っ込むのではなくその場を死守するということ。クレアの感知能力を考えればそこまで時間はかからないだろう。


「うおっ」


危な!今体を捻らなかったら喰われてた。えっと、こういう時はすぐに『放電thunder』を放って・・・って放つことができない。やべーこれ予想以上に動きがきついんだけど


「『電気の領域field』」


慌てて『領域』を展開してキメラアントたちを吹き飛ばす。そして距離がわずかに取れたのでもう一度『放電thunder』。片腕しか使えないから放出中に左手をよこに薙ぎはらう。とりあえず目の前の敵全てを倒すことには成功したな


「そしてまた次のキメラアントがくるんだよな」


まだまだ敵は減らない。てか減るわけがない。できる魔法を考えろ・・・


「『地雷trap』、『放電thunder』・・・ああ、もう連続で攻撃ができない!」


両手を使っていた時は片腕で『放電thunder』を放ってもう片方の腕でほとんどタイムロス無しに次の魔法を放つことができたのにな。片腕だとそれさえも難しい。


「『空間切断』ミライ、大丈夫か?」
「ちょっと厳しいですね」


悲しいけれど真実を話すしかない。やっぱり僕は非力だ。ハンデを追ってしまったことでさらにそれを実感する。ここで無理をして一人で戦ってもあんまり下手に崩れてしまえば大迷惑だ。


あ、これ僕捨てられるかな?わりとありそう。使えない人をーそれも犯罪者をーいつまでもパーティーに置いておくわけにもいかないからね


「わかった。ミライ、お前は一旦真ん中に移動、そこでその電撃を放ち続けてくれ」
「え、はい」
「捨てるのもアリだがそれをしてしまうと戦力がガタ落ちだからな。特にクレアも失う可能性があるのが厳しい。ついでに言えば、勝手に殺すことはしないと決めたからな」
「・・・」


まだ、こんな僕でも必要としてくれている。歪だけど、僕はそれでさえも嬉しく感じてしまう。自分にできることを淡々とこないしていこう


僕が中央に戻ったことで一人一人の負担は大きくなったが僕が後ろから電撃の援護をするようになったのでプラスマイナスでいえばちょっとマイナスぐらいだ。後ろからの援護って大切なんだな。


「むしろ不安要素のあなたが後ろにいるとわかってより集中できているって感じですね」
「はい・・すみません」


どうやら予想以上に心配をかけていたみたいだ。本当に申し訳ない。すぐにできることを考えて実行します


そしてしばらく戦いが続いた時・・・といってもそこまで時間は経っていないけれども、クレアが叫ぶ


「ひとつだけ違う個体を見つけました!おそらくクイーンです」
「よし!案内してくれ」
「向こうです『fire』」


クレアが魔法を放った方向でわかる。さて、どうするか。てかクレアどうやって見つけたの、範囲って結構制限されてたよね?


「了解!クレアとケイを先頭にして移動開始だ殿はヤマトでいくぞ」
「はい!」


まあ考えるは後だ。とりあえず進むとしよう

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