電気使いは今日もノリで生きる

歩海

色々と練習

???


さて、新しい遠距離攻撃技といってもなまったく想像つかないんだけど。いやそりゃあれだよ、例えば『電気の槍』とか『電気の剣』とかで電気で剣や槍をイメージすれば問題ないんだろうけど、なんだろうな、僕あれ嫌いなんだよね。


「なんでだ?あれ結構便利なのに」
「いや便利なのは認めるけどさ・・なんか気に食わない品がないっていうか」
「え?」


え、なんでそこで驚かれるんだ?


「今更ミライが品とか言い出した?!」
「さすがにそれは僕怒っていいよね」
「だってキャラじゃないじゃんさっき手段を選んでなんていられないとか言っていたのは誰だよ」


はい、僕です。でもなんだろうなぁ。違うんだよな。何がなんて言われても何も言えないけど。


「でもイメージの基盤に使うのはありじゃないか?」
「あーそれはわかるな」


要は電気を何かの形に変換させてそれで遠距離から攻撃するってことだよな。それならアリかも。でもそれってどうするんだ?いやてかそもそもどうやって自分の属性を別の形に変化させているんだ?


「?あーそっか。これあれだよ。本とかに載っててそれを見たらって感じだな。言われてみれば僕も自力ではなかなか難しいな」
「だよな」


となると、八方塞がりだな。何かいい手を考えないと。なークレアーなんかアイデアない?


「そんな言われてポンポン出せるなら僕は今頃大魔法使いになっているよ。魔法一つ考えるのも大変なんだからね」
「それもそうか」


ま、新しい魔法なんてそんなもんか。それよりも今はできそうなことからやってみるか


「『電気の領域field』」
「いきなりどうした?敵でもいたか?」


いや違う違う。地面が土だから試したいってだけだから


「『創造creat』」
「ああ、なるほどね」


すぐに理解してくれて助かるよ。僕の予想どうり・・・・・地面の中に含まれていた砂鉄が表面に出てきて操ることができる。剣の形にして振り回せば、直接ゾンビに触れなくても戦うことができるんじゃないか?


「それで実際に切れるの?」
「さあ?試してみないとなんともね」


てか僕が作る砂鉄剣ってこんなに大きかったっけ?前はもう少し小さかったような気がするんだけど。なんか一度に操れる砂鉄の量が増えたのかな。あ、それは嬉しいな。力がついたみたいな感じがして。それに仮にゾンビが切れなくてももう大丈夫。砂鉄が使えるということはさっきの階で僕が使うことができなかった魔法が全て使えるということだからね。ゾンビが火に弱いっていうのなら、僕だって炎を出すことができる魔法を使えるんだからな


「結局爆発かよ」
「それ以外に何がある?」


正直さっきの階自分のその時のできることをした感じはするんだけど、全力を出したかって言われると微妙だったからな。


「まあいいや。あ、ミライ向こうのほうに反応があったよ」
「了解」


ちょうど手頃なところに敵がいたらしい。じゃあ早速色々と試していきますか。さっきみたいに脳みそを弾けさせるとかもうしたくないしね。


「爆発させたら結局飛び散らない?」
「・・・」


そ、それも試すんだよ。何も知らないでするのと知っていてするのでは天と地ほどの差があるんだし。脳みそが飛び散るってあらかじめ分かっていれば爆発だけさせてあとは見なければいいだけだしね


「それもそれでどうなんだ・・・てかミライってほんと戦い慣れていないよな。グロいシーンとか苦手すぎるだろ」


う、うるさい。こちとら地球人なんだよ。平和な国日本で生まれ育ったんだよ。そんなシーンが日常に溢れているとでも思うな。まあ血が吹き出るのとかはR−15のゲームとかやっていればたまに出てくるしまだ耐性があるけど臓器とかが出てくるのなんておそらくR−18じゃないかな?そんなんあるのか知らないけどさ。イメージイメージ。そういえば最初の森のことを思い出すなぁ。あの時は角先とか天衣とかが全部やってくれていたけど兎とかの調理慣れなかったもんな。最初の頃なんて何度吐いたことか。でもすぐに慣れてある程度はさばけるようになったんだよな。生き残るために必死だったってのもあるけど。やっぱり人間の生存本能ってすごいよな。昔テレビで飛行機事故で雪山に着陸した時に生き残るために事故で亡くなられた人の肉を喰って生き延びたって話もあるみたいだし。


「やっぱりミライたちがいたところって平和だったんだね」
「まあね」
「ねえ、帰りたいって思ったことある?」
「それは・・・」


急に聞かれた質問。そういえば、考えたことなかったな。生きるのに必死で、目の前のことに夢中で。そっか、帰りたいか、か。地球には両親がいるもんな。それにクラス、学校は違えども同い年の友人、お世話になった先輩や可愛がっていた後輩ーはいないか。先輩はまあ中学が部活強制だったから多少はつながりがあるんだよ。


「それはまた今度だね。敵が来たよ。ゾンビ5体。多いから気を引き締めよう」


答えに窮した僕を慮ってからすぐにはぐらかしてくれる。でもそれは、僕が将来絶対に直面しなければならない問題なんだよな。・・・悩んでいてもしかたがない。ここで悩んでいたら死ぬのは自分だ。死にたくないなら敵を殺さなければならない。弱い奴から死んでいく世界。それがこの世界の普通・・なんだから。


「『電気鎧armor第二形態Second』」


砂鉄を組み込んだ先頭の練習をする。そのためにも『電気鎧armor第二形態Second』を使いこなすことがほとんど必須条件だ。いちいち『領域』を挟んでいてもロスが激しいだけだ。


「くっ。まだ無理か『電気の領域field』」


当然といえば当然かな。電気鎧armor第二形態Secondって結局操った砂鉄を体にまとわせているだけだし。こう、アニメとかだと結構スムーズにできているんだけどやっぱり現実は無理か。


「『創造creat』」


砂鉄の剣を生み出し、それでゾンビを切りつけてみる。うーん、かなり深く切りつけることはできたけれども切断までには至らなかったか。もう少し切れ味をよくする必要がある。まあ砂鉄という自然に存在するものを使っているから切れ味をよくするなんて不可能なんだけどね。


ならば次の実験。このあと爆発させよう。爆発してどこまでモザイクが必要になるのか検証しなきゃ。実際にはモザイクなんざないんだけどね。


「解除からの『爆発dynamite』」
「おい、僕がいるの忘れてないか?」


あ、その位置だと普通にクレアも巻き込んでしまうな。でももう魔法唱えちゃったし諦めて。多分死なないから


「ふざけんな『火の領域《fire・field》』」


あ、せっかく集めた砂鉄が全部吹き飛んだじゃないか。それでは爆発なんて起こせないよ。


「爆発は周りをみて行えよ・・・ほら、僕がどいたからできるよ」
「ありがとう・・・気をつける」


それじゃあどいてくれたところで一発やってみましょう


「『簡易版mini領域field』『創造creat』『爆発dynamite』」
「おお」


結構大きな爆発があったな。それで?どれくらい焼けたのかな。


「あーどうやら強い個体がいたみたいだね」
「今回もか」


ほとんどのゾンビは吹き飛んだみたいだけどー脳みそも全部焼けてしまっているのか判別が不可能ー一体だけまだこちらに向かって歩いてきている。


「どうする?」
「クレアはなにか試したい魔法ある?」
「いや、特に」
「了解『地雷trap』」


歩いてくる方向に電気ゾーンを設置する。見事に引っかかったな。


「『火剣乱舞』」
「『放電thunder』」


僕とクレアで攻撃魔法を打ち込む。さっきの爆発はかなりのダメージを与えていたみたいでそれだけで倒すことができた。


「どうやらこの階もゾンビの強さがあるみたいだね」
「そうだね」


となれば、考えることはただ一つ。おそらく爆発だけで倒すことができたのが一番弱い奴。そして次にさっき倒したちょっと強い奴が真ん中。つまりゾンビの中で一番強い個体とはまだ戦っていない。それを倒さないとなんか次に進めない気がする。僕らだけでも戦える練習をしとかないとね


「『感知feel』」
「『熱探知』」


とにかく探そう。練習しなきゃ強くなれないし。


「あ。見つけた」
「どこ?」
「向こうの方」
「了解!」


クレアの指示に従って僕らは進んで行く。そして僕らはおそらく一番強いであろうゾンビと出くわした。

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