電気使いは今日もノリで生きる

歩海

囮としての練習

???


というわけで囮役として戦闘開始です。向こうにいるのはスケルトン5体。真ん中のレベルの強さ5体のスケルトン。ゴブリンではないのかって話だけどまあそれはユンさんがふと思い出したようにつぶやいたからだ


「あ、さすがに使い捨てはまずいな。いや使い捨てるんだけどさ」
「どういう意味ですか?」
「少しだけ連携を確認しておこうって話だ。二人を犠牲にしてゴブリンを倒したとして次の階層はどうする?」
「あ・・・」


いや今気がついたみたいな顔をしないでください・・・えっと、ツキさんであっているっけ?ま、いいんだけど。確かにこの階層を突破したとしても次の階層もやばそうだしなぁ。


「というわけで適当に一回戦闘をする。ツキ、偵察を頼む」
「了解した」


すぐさま消えるツキさん。あれ?探知魔法とか使わないのかな?僕は無理だけどクレアなら普通に見つけることができるんだけど。「余計なことを言わないでくれ」でも回復してくれるかもしれないぞ?どのみち今魔力尽きてて魔法を使うことできないだろうし


「何をこそこそ話しているんだ?」
「「いえ、なにも」」
「・・・」


あーこれなにか疑いを抱かせてしまったやつだな。これはしばらくの間クレアと会話をするのを控えたほうがいいかもしれない。無言で会話することができるようになれば話は別なんだけどね。トランシーバーみたいな。ん?あれって結局電波を飛ばして会話しているんだよな。つまり僕の電気をうまいことすれば頭の中に直接語りかけることができるのではないだろうか。


でもどうやって?ほらほらクレアー何か返事して〜って念じてみるか。ものは試しだし。体力と魔力が回復したら実践してみよう


「偵察完了しました」
「うん、ご苦労様」


あ、帰ってきたみたいだ。多分隠密行動に特化しているのだろうけども、それでもこのダンジョンを一人で行動して無事に帰ってくることができるなんてすごいな


「近くにスケルトンの集団、全部で5体」
「ありがとう。おい、クレアにミライ。お前らを囮にした作戦を考えたいからとにかく突っ込んでこい」
「「わかりました」」


従わなければ殺される。だからもっと力を手に入れないと。それにこうしてどんな形であれ実践経験をさせてくれるっていうのなら遠慮なく乗っかるとしよう。死ななければなんとかなるし


「クレア、やろっか」
「そうだね」


でもクレアはどちらかっていうと後方タイプだけど大丈夫なんだろうか。ま、でも幸いあれは真ん中の強さのスケルトンだし僕がサポートするような動きをすればなんとかなるかな


「『電気鎧armor第三形態third』」
「なんでボソッと言ったの?」


そりゃ後ろのユンさんとかに聞かれないようにっていう配慮かな。まあ全部聞こえていたら無駄だけど少しくらい抵抗してもいいよね?


「僕も前衛の練習をしておきたいんだ・・・『炎の鎧』」
「え?」


まじかよ。クレアも僕と同じように体に炎を纏っただと!それなら僕がいる意味がないじゃないか。


「いや、ミライと違ってただ纏っているだけだ。身体能力が向上するわけでもないし」
「そうなのか」


それでも僕とかぶっているんだけどね。ま、それならお互いに遠慮することなく突っ込むことができますね。攻撃は後ろの人たちがしてくれるみたいだし避けることは専念すればいいか。


「そうだね。高速詠唱は習得できなかったけど、近接戦闘の技術を高めよっか」


二人してスケルトンの集団に突っ込む。さて、ここからの動きをどうするべきかな。まずはスケルトンのヘイトをこちらに集中させればいいんだよな


「悪いミライ、僕この魔法初めてで少し不安だから3体対処してくれ『火の玉』」
「了解『放電thunder』」


それぞれ魔法を放つ。よし、スケルトンの意識がこっちを向いたな。避けるついでだ、一旦置いていた相手の動きの予知の練習をするか。動きを察知して躱していこう


今回僕が受け持った3体は全員剣を持っている。よし、なら少しはやりやすいかな。まずは一体攻撃をかわす。そして躱しながら他の2体の動きを把握。両方とも剣を振り下ろそうとしているな。このままだと普通に当たってしまう。


「『放電thunder』」


電撃を地面に向かって・・・・・・・放ってみる。予想どうり、瞬間的なブーストというか電撃を放った反動で体が逆方向に移動するな。でもこれをするとかなり体制が崩れるから乱発はできないな。結局このあと追撃が来たりしたらまた別の方法でかわさないといけないわけだし。今回は『電気鎧armor第三形態third』を保険でかけていたけどできればこれこそ使わないでおきたいな。副作用のレベルがおかしいし


ま、今回みたいに他の人がいる場合は問題ないんだけどね。さ、スケルトンに隙が生まれましたよ


「思ったよりやるなケイは二体のほうを、ツキは残りの3体のほうを頼んだ」
「了解!とりゃああああ」
「わかった。『風の刃』」


ケイさんは持っていた剣を振り下ろした。剣がかすかに光っていたところを見ると何かしらの魔法が付与されていたのかな。そして一方ツキさんは三日月型の風の塊をスケルトンにぶつける。どうやらツキさんの属性は風属性みたいだな。他の3人の情報はわからないけどそのうちわかるのかな。


「さて、これで戦闘は終わったけど、なんとなく戦いのパターンはつかめたかな?」
「なんとか」
「流ればわかりました」


ちょっと悲しかったんだけど二人ともいとも簡単にスケルトンを屠っていったんだけど。やっぱりゴブリンだけが異常に強かったのかな。いやもうちょっと設定をちゃんとしてほしいんだけど。強さに幅がありすぎる


『あ、加護をもう一回かけるの忘れてた』


おい待て。今なんか聞こえた気がするんだけど。つまりあれか。僕らを勝たすために解除した加護をもう一回かけるのを忘れていたから今回スケルトンがめちゃくちゃ弱かったとかそういうことなのか?


「ふーん、まあいいや。ゴブリンを探しに行こう」
「そうですね。では、私が」
「その必要はないですよ」


またツキさんが偵察に行こうとしたらそれをクレアが止める。お、これはまさか


「なぜだ?まさかまた・・・」
「違います。すぐ近くに奴の気配を感じました・・・そこの角を曲がったところにいます」
「なんだと?なぜわかる」
「僕の探知魔法によってです」
「「「えっ」」」


驚いたようにクレアを見る面々。この反応からすると、探知魔法ってなかなかレアな魔法なのかな


「おい、ミライ一応聞いておくが」
「僕も使えます」


使えるだけで見つけられるわけではないんだけどね。ま、事実を一部隠しているけど嘘はついていないから別にいいよね


「ふむ・・・」
「どうしますか?」
「はあ、君らを早々に殺さなくて正解だったみたいだ。よし、探知魔法を使って敵の位置を探れ。ユリ二人に回復を」
「わかりました」


お、僕らの存在価値をきちんとアピールすることができたな。でもなんで誰も使えないんだろう。探知魔法なんてシェミン先輩も使えていたんだし・・・あ、他の先輩が使っているの見たことないな


「『回復ヒール』」


ユリさんの回復魔法によって僕らの傷がどんどん回復していく。


「「ありがとうございます」」
「別にお礼は言わないわ。体調の指示に従っただけ」


お礼を言ったけど釣れないなぁ。さあ、本番のゴブリン退治に向かうとしますか・・・これからの多分起きるであろう死闘と同レベルのがあと5回あるんだよな・・・

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