電気使いは今日もノリで生きる

歩海

ダンジョンを冒険

???


視力を強化する・・・したいんだけどあれ?これ多分『電気鎧armor』だと強化できないよね?つまり、そのためにはどうしようもないんだけど『電気鎧armor第三形態third』しかない感じかな。副作用がやばいからやめておきたいけどもう目の前に敵いるし仕方がない。覚悟を決めよう


「『電気鎧armor第三形態third』」
「ちょ、ミライそれ乱発して大丈夫なのか?」


大丈夫なわけないでしょうが。しかもこれから作用させようとしているのは『脳』。多分やばい。僕の思考がおかしくなるのは確定として他にどんなことが起きるのか想像することができない。でもこういうこと・・・・・・を繰り返さないと生きて帰ることなんてきっとできない。考えられる可能性があるのならそれを全部試していきたい。やれるだけやって生きる希望は見失わないで最後まであがいてやる


「目に集中。相手の動きを察知して」


目に入ってくる情報をすぐに脳内で処理していく。どうすればより効率的に相手の攻撃をかわして自分の攻撃を当てることができるのか考えよう。幸い敵は一体のみ。最初の練習と思えばなんら問題ない。


このスケルトンはさっき盾を持っていた個体ではない。やはり持ち物ではないなにか別のもので判断しなければいけないみたいだな。


振り下ろされる剣の軌道を読む。集中しろ、集中するんだ。剣を目で追っていく。


・・・


「ミライ!」
「大丈夫だ」


剣を避けることができず肩を切られてしまうが、『電気鎧armor第三形態third』自体は発動しているので見た目よりもダメージは小さい、はず。そこまで痛みも感じていないしね。


実行しようとしていたことは失敗。まあほとんどぶっつけ本番みたいなものだったし最初だからこんなもんか。いつもそうだったし今更一回の失敗ぐらいでめげないよ。


でもこの敵でこれ以上実験をするのは無理だな。今の失敗を経て次に活かせるように対策を考えなければいけない。なんで今回ダメだったのかしっかりと反省したい。つまりこの敵から得られるものはもうない。すぐさま思考を切り替えて手に電気を集中させる。腕の筋肉を神経で強化してぶん殴る。


「かった!」
「そりゃ骨だからねぇ」


小気味いい音がしたかと思ったら普通に弾かれた。予想以上に骨が硬かったというか・・・こんな場所にいるのに骨密度どんだけあるんだよ。あいつら絶対カルシウムめちゃくちゃ摂取しているだろ。まあ想像では体を貫通させるつもりだったんだけど、まあまだまだ僕の手が弱いということで。貫通能力がめちゃちゃ低いってことだしこの威力強化もまた課題だよな


でも困ったな。殴っても弾かれるとなると、やっぱり非接触技を中心に攻撃パターンを組んでいくしかないな。


「『放電thunder』」


殴った方とは別の手から電撃を生み出す。この攻撃はそれなりに効いたようで吹き飛ばすことに成功した。


「『炎の舞』」
「ナイス!」


結局クレアが全部燃やしてくれて今回の戦いは勝利することができた。強い個体といってもこのダンジョンではまだまだ弱い個体みたいでー最弱の一段階上ーそこまで苦戦することなかったな


「嘘つけ・・・それで?」
「あー手が少し痺れているな血も出てるし」
「反動が大きすぎるのも問題だな」
「だね」


電気鎧armor第三形態third』の新しい弱点。強制的に動かしているのでそのせいなのか大分脆く・・なってしまっているみたいだ。少しの痛みやダメージもかなり深刻なものになってしまう。今回みたいにちょっと弾かれただけで僕の手はそこそこの出血が発生している。


「一回一回戦闘ごとに休憩が必要みたいだね」
「悪いな」


多分殲滅を第一目的に考えるのならば休憩なんて必要ない。僕の『放電』とクレアのさっき見せた新技『炎の舞』があれば倒すのなんて容易い。僕自身も反動なんて発生する間も無く戦闘終了するだろう。しかしそれでは何も成長しない。このダンジョンを攻略するために、もっと強くなるためには無茶をする必要がある


「それで?実際使えそうなの?」
「うーん」


初見だったっていうのは置いといて、見たところ多分一番の原因は僕が自分の体について何にも知らないってのは一番なのかもしれないな。正直自分の筋肉の神経を弄るので精一杯。脳だって簡単な命令をずっと実行させるように暗示をかけるくらいしかできそうにない。


「つまり?」
「無理」
「はぁ・・・」


だってどこをいじくったら思考がスムーズに進むかなんてわからないし。こういう時って今までに読んだことのある小説とかを思い出せばいいのかな?


「てかそもそも何しようとしてたんだ?」
「ああ、視力を強化して相手の動きを読もうかなって、いわゆる攻撃予知だよ」
「なるほどね」


究極なまでに反応速度を鍛えればそれは一瞬の未来予知と他ならない。目を鍛えることができればきっとそれが可能になるはずだと信じている。まあまだ実験の段階を出ないんだけどね。さっき思いついたことだし


「なら厳しいね」
「でもこれ使えたら大分有利だろ?クレアのいった高速詠唱の他に身につけてもいいと思うんだ」
「それはそうだけど・・・」


あれ?ちょっと不服そう。まあそのせいで余計な怪我が増える可能性が高まると考えればそれも当然か。でもこれは諦めてもらうとして・・・さっきはしれっと流してしまったけどこいついったい幾つの魔法を新しく覚えているんだ?


「え?ああ、『炎の舞』は目の前の対象を炎の渦で封じ込めて攻撃する魔法で『炎の剣』はまあ、『火剣乱舞』をもっと効率よく使いやすくした感じかな」
「効率よく使う?」
「うん、火の剣を使うのは変わらないんだけどより剣をイメージして鋭さを強くした感じかな。だからより深く突き刺すことができる」
「なるほどね」


派生強化って感じのやつか。いやてか炎の剣ってばっちり炎って言ってるじゃん。火と炎で大きく違うと思うんだけど


「属性が異なるんじゃね?」
「え?あ、ああそっか」


考えたこともないって感じだな。自分で口に出していて気がつかないものなのかな


「そうかな?あーでも確かに最近『炎魔法』を習得することができるようになったと思うな」
「それすごくないか?」


自分の持っているスキルと異なる属性の魔法を使うことができるのってかなりすごいことだよな


「いや、それはそこまでじゃないみたいだ」
「へ?」
「スキルはあくまで目安みたいなもので努力すれば使えるみたい・・・まあ所詮僕みたいに火と炎で近いからね」
「近いっていうかほぼ上位互換だろ」


あれ?ということは僕も将来雷属性の魔法を使うことができるっていうことなのか?「気持ちの問題じゃない?」言われてみれば自分の使える魔法の属性とか考えたことなかったしな


「ま、ここで身についたからミライもすぐに習得できるんじゃないか?なんでかここ魔力の回復が早いし」
「そうなのか?」


それならしっかりと練習させてもらいますか、というわけで


「じゃ、次の獲物見つけようか」
「そうだな」


実戦経験をどんどん積んでいくために探知魔法を発動して次なる獲物を探す、でも僕らは少しだけ忘れていた。ここには僕ら以外にも人がいることを

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