電気使いは今日もノリで生きる
覚悟の食い違い
文月一週目水曜日
「ミライ!起きてください」
「・・・おはようございます?」
「今は夕方なのでその挨拶はおかしいですけど、起きてすぐとなればまあそれでいいんじゃないですか?」
なんだろう、不思議な夢を見た気がするけれどあんまり覚えていないからそこまで大事じゃないのかな。それはそうと、もう夕方か。かなりぐっすりと眠っていたんだな
「起きました?ではいきますよ」
「わかりました」
サリア先輩について外に出る。するとすでに着替えて準備満タンのセリア先輩、グレン先輩、シェミン先輩の姿があった。
「おうミライ!しっかり寝れたか?」
「・・・準備は・・・いい?」
「さあいくよ」
「はい!」
先輩たちの声掛けに力強く返事をする。覚悟はとうにできている。準備だって問題ないーまあ大体のものは先輩たちが準備してくれているから僕がすることなんてなにもなかったけどね。むしろ必要だったのはこれからすることは多くの国を敵に回すこと。つまりはこれから生きにくい人生になるかもしれないということ。でもそんなこと今更だ。僕は決めたから。自分のやりたいことの中に友を見捨てるなんて選択肢はない。それにクレアを失ってしまったらこれからの生活に支障が出るまである。今は先輩たちがいてくれるからなんとかなるけど先輩たちが卒業したら?その先のことなんて考えられないね
「よっしゃ!行こうか」
「できる限り近くまでセリアの転移を使います。そこから先は徒歩になります」
当然といえば当然か。できるかぎり隠密に済ませなければならないからね。足がつくようなことはできるかぎり避けなければならない。馬車なんて使おうものならそこから発見されることなんてよくあるからね。まあこれも全て僕がクレアと一緒にダンジョンを脱出できたらの話だけどね。中で死んでしまったらそもそも不法侵入したことさえ闇に葬られるもんな。
「近づいてくれ」
「おう!」
セリア先輩に近くに集まる。そして「転移」少しばかり浮遊感に包まれると見知らぬ場所に到着する。ここがダンジョンのある場所かぁ。しっかりと気を引き締めないとね。
「いえ、ここは違いますよ?」
「え?」
「いくらセリアといっても5人をまとめて移動させるとなるとかなり厳しいです。なので何回かに分けて移動します。それに帰りのことも考えて5分間休憩します」
「・・・わかりました」
まあそこまで都合よくいかないか。てか少し歩くって聞いたな。冷静さを欠いている。動揺しすぎだ
「よしミライ!少し体動かそうぜ。場所に到着したらすぐに戦闘が始まるからな」
「はい!あ、でも僕魔法使えないです」
「だからだ。体術を鍛えておけばなんとかなるからな。魔法が使えないからといってそれがイコール戦えないわけじゃないからな」
「なるほど」
確かに一理あるな。筋肉は全てを救うなんて言葉もあるくらいだし。それに今のうちに魔法を使う練習をするのもいいかもしれない。
「『放電』っく、まだ使えないか」
「おらぁ!」
「ちょ・・もう少し抑えてください」
「これでも手加減してるよ」
いやしていないでしょ。今避けなかったら顔に直撃していたからね。あ、でも集中力がない+電気で能力をカバーしていない状態で避けることができたってなるとそれはそれで手加減してくれているのかな
「ほいほい!しっかりしろ!戦いに集中できていぞ」
別に集中できていないわけではない。でも魔法を使おうとするとあの時に死んだ老人の姿がちらつくんだよ。だからなのか全く使えない
「それが集中できていないってことだよ。お前殺した時に何を考えていた?」
「え?」
あの時はリンナ先輩が殺されそうって思いしかないから考えるより先に体が勝手に動いていたし・・・
「それでいいんだよ。ミライ。殺すことに関してはもう割り切ったんだよな?」
「グレン!もうそこらへんで・・・」
「ダメだ!だからサリアだってこういう移動形式にしたんだろ?俺とシェミンがいなけりゃセリアはもうとっくに回復しているっていうのに」
「確かにそうですけど・・・それをわざわざ言わなくても」
なんでそれを言っちゃうのかなぁ。かまってもらえているってことがわかったからとても嬉しいことだけどなんでここまで回りくどいことを。。でも確かにこのままの状態でダンジョンに入ってしまえば僕はすぐに死んでしまうからそれを避けたかったのかな?
「戦えミライ!お前はそういう道を選んだんだのだろ」
「そうですよ・・・」
なるほどねグレン先輩からのエールというわけか。クレアがダンジョンに囚われてしまって戦わなければならなくなった僕を気遣ってちょっと荒療治をしているのか。本来ならばもう少し長い時間をかけて克服させなければならないけれどもそうもいっていられないしね。
ならば、僕も覚悟を決めよう。自分の手を合わせて一つの円をつくる。
「ミライ?」
「ふー」
できれば使いたくなかったけど・・・でも、いや、言い訳をするわけにはいかないな。グレン先輩がこういう風に踏み切ったのだって僕の性格を考えてのことだろうし。こうでもしないと、僕は結局前に進むことができないから・・・だから、僕は僕のためにこの魔法を使う。なんだかんだで『電気鎧』も短時間なら発動できる、その状態で誰かを殴ろうとすると魔法がなくなるだけだし
「『電気鎧・第3形態・自己催眠』」
「ミライ!?」
『電気鎧・第3形態』を初めて使った時のあの状態を考えると、頭に電気を流すことによって強制的に体を動かすことができる。つまり自分に暗示をかけることができるはずだ。一度かけてしまえばおそらく解除は不可能になるはずだし、僕の性格が変わる可能性だってある。それでも、何度でも思うがこのままだと僕は絶対に前に進めない。それで変わるなら・・・
命令する内容は一つー仲間を守れーそうすればきっと暴走することは防げるはず・・・あとは・・・
「『緊急停止』」
「!?」
急に僕の魔法が止まった?これはどういうことだ?
「ミライ!さすがにそれは許しませんよ!自分に催眠をかけてなんとかしようとするなんて」
「すまない、少しばかりやりすぎた。そこまで追い込む気はなかったんだ」
「えっと、僕が何をするのかわかったんですか?」
「・・・なんとなく・・・ミライくんの・・・考えそうなこと」
先輩たちには筒抜けだったらしい。でもいい案だと思ったんだけどな。
「確かに時間がない今それも有効でしょう。しかしクレアはそこまでして助けて欲しいとは思いませんよ」
「それは・・・」
自分を助けるために性格を変えたと知ったらクレアのやつそうとう怒るだろうな。
「・・・大丈夫・・・魔法が使えないのは・・・ミライくんが・・・優しいから」
「人を傷つけたくないというのもわかります。だからその気持ちを大切にしてください・・私達はもう無くしてしまった感情ですので」
「ま、気楽にやれ。別にすぐにダンジョンから出てきたっていいんだ」
「それは嫌です!」
クレアを見捨てるなんて・・・それこそそんなことするくらいなら僕は今の魔法を使う
「あーまああれだ。これは話すつもりなかったんだがお前が一週間経っても戻ってこない場合、それからすぐに戻ってきた場合。その時は俺たちも潜るつもりだったんだ。だから気楽にやれ」
「・・・」
「グレンのいうとおりです。あなたは何も考えず、クレアを救うことだけに集中してください」
「・・・わかりました」
自分にできることをする。そして無理なこと、誰かが悲しむことは決してしない、それを心がけるべきか
「それでは休めたことだし、また移動しましょう」
そしてまたセリア先輩の近くに集まると、二回目の転移をした
「ミライ!起きてください」
「・・・おはようございます?」
「今は夕方なのでその挨拶はおかしいですけど、起きてすぐとなればまあそれでいいんじゃないですか?」
なんだろう、不思議な夢を見た気がするけれどあんまり覚えていないからそこまで大事じゃないのかな。それはそうと、もう夕方か。かなりぐっすりと眠っていたんだな
「起きました?ではいきますよ」
「わかりました」
サリア先輩について外に出る。するとすでに着替えて準備満タンのセリア先輩、グレン先輩、シェミン先輩の姿があった。
「おうミライ!しっかり寝れたか?」
「・・・準備は・・・いい?」
「さあいくよ」
「はい!」
先輩たちの声掛けに力強く返事をする。覚悟はとうにできている。準備だって問題ないーまあ大体のものは先輩たちが準備してくれているから僕がすることなんてなにもなかったけどね。むしろ必要だったのはこれからすることは多くの国を敵に回すこと。つまりはこれから生きにくい人生になるかもしれないということ。でもそんなこと今更だ。僕は決めたから。自分のやりたいことの中に友を見捨てるなんて選択肢はない。それにクレアを失ってしまったらこれからの生活に支障が出るまである。今は先輩たちがいてくれるからなんとかなるけど先輩たちが卒業したら?その先のことなんて考えられないね
「よっしゃ!行こうか」
「できる限り近くまでセリアの転移を使います。そこから先は徒歩になります」
当然といえば当然か。できるかぎり隠密に済ませなければならないからね。足がつくようなことはできるかぎり避けなければならない。馬車なんて使おうものならそこから発見されることなんてよくあるからね。まあこれも全て僕がクレアと一緒にダンジョンを脱出できたらの話だけどね。中で死んでしまったらそもそも不法侵入したことさえ闇に葬られるもんな。
「近づいてくれ」
「おう!」
セリア先輩に近くに集まる。そして「転移」少しばかり浮遊感に包まれると見知らぬ場所に到着する。ここがダンジョンのある場所かぁ。しっかりと気を引き締めないとね。
「いえ、ここは違いますよ?」
「え?」
「いくらセリアといっても5人をまとめて移動させるとなるとかなり厳しいです。なので何回かに分けて移動します。それに帰りのことも考えて5分間休憩します」
「・・・わかりました」
まあそこまで都合よくいかないか。てか少し歩くって聞いたな。冷静さを欠いている。動揺しすぎだ
「よしミライ!少し体動かそうぜ。場所に到着したらすぐに戦闘が始まるからな」
「はい!あ、でも僕魔法使えないです」
「だからだ。体術を鍛えておけばなんとかなるからな。魔法が使えないからといってそれがイコール戦えないわけじゃないからな」
「なるほど」
確かに一理あるな。筋肉は全てを救うなんて言葉もあるくらいだし。それに今のうちに魔法を使う練習をするのもいいかもしれない。
「『放電』っく、まだ使えないか」
「おらぁ!」
「ちょ・・もう少し抑えてください」
「これでも手加減してるよ」
いやしていないでしょ。今避けなかったら顔に直撃していたからね。あ、でも集中力がない+電気で能力をカバーしていない状態で避けることができたってなるとそれはそれで手加減してくれているのかな
「ほいほい!しっかりしろ!戦いに集中できていぞ」
別に集中できていないわけではない。でも魔法を使おうとするとあの時に死んだ老人の姿がちらつくんだよ。だからなのか全く使えない
「それが集中できていないってことだよ。お前殺した時に何を考えていた?」
「え?」
あの時はリンナ先輩が殺されそうって思いしかないから考えるより先に体が勝手に動いていたし・・・
「それでいいんだよ。ミライ。殺すことに関してはもう割り切ったんだよな?」
「グレン!もうそこらへんで・・・」
「ダメだ!だからサリアだってこういう移動形式にしたんだろ?俺とシェミンがいなけりゃセリアはもうとっくに回復しているっていうのに」
「確かにそうですけど・・・それをわざわざ言わなくても」
なんでそれを言っちゃうのかなぁ。かまってもらえているってことがわかったからとても嬉しいことだけどなんでここまで回りくどいことを。。でも確かにこのままの状態でダンジョンに入ってしまえば僕はすぐに死んでしまうからそれを避けたかったのかな?
「戦えミライ!お前はそういう道を選んだんだのだろ」
「そうですよ・・・」
なるほどねグレン先輩からのエールというわけか。クレアがダンジョンに囚われてしまって戦わなければならなくなった僕を気遣ってちょっと荒療治をしているのか。本来ならばもう少し長い時間をかけて克服させなければならないけれどもそうもいっていられないしね。
ならば、僕も覚悟を決めよう。自分の手を合わせて一つの円をつくる。
「ミライ?」
「ふー」
できれば使いたくなかったけど・・・でも、いや、言い訳をするわけにはいかないな。グレン先輩がこういう風に踏み切ったのだって僕の性格を考えてのことだろうし。こうでもしないと、僕は結局前に進むことができないから・・・だから、僕は僕のためにこの魔法を使う。なんだかんだで『電気鎧』も短時間なら発動できる、その状態で誰かを殴ろうとすると魔法がなくなるだけだし
「『電気鎧・第3形態・自己催眠』」
「ミライ!?」
『電気鎧・第3形態』を初めて使った時のあの状態を考えると、頭に電気を流すことによって強制的に体を動かすことができる。つまり自分に暗示をかけることができるはずだ。一度かけてしまえばおそらく解除は不可能になるはずだし、僕の性格が変わる可能性だってある。それでも、何度でも思うがこのままだと僕は絶対に前に進めない。それで変わるなら・・・
命令する内容は一つー仲間を守れーそうすればきっと暴走することは防げるはず・・・あとは・・・
「『緊急停止』」
「!?」
急に僕の魔法が止まった?これはどういうことだ?
「ミライ!さすがにそれは許しませんよ!自分に催眠をかけてなんとかしようとするなんて」
「すまない、少しばかりやりすぎた。そこまで追い込む気はなかったんだ」
「えっと、僕が何をするのかわかったんですか?」
「・・・なんとなく・・・ミライくんの・・・考えそうなこと」
先輩たちには筒抜けだったらしい。でもいい案だと思ったんだけどな。
「確かに時間がない今それも有効でしょう。しかしクレアはそこまでして助けて欲しいとは思いませんよ」
「それは・・・」
自分を助けるために性格を変えたと知ったらクレアのやつそうとう怒るだろうな。
「・・・大丈夫・・・魔法が使えないのは・・・ミライくんが・・・優しいから」
「人を傷つけたくないというのもわかります。だからその気持ちを大切にしてください・・私達はもう無くしてしまった感情ですので」
「ま、気楽にやれ。別にすぐにダンジョンから出てきたっていいんだ」
「それは嫌です!」
クレアを見捨てるなんて・・・それこそそんなことするくらいなら僕は今の魔法を使う
「あーまああれだ。これは話すつもりなかったんだがお前が一週間経っても戻ってこない場合、それからすぐに戻ってきた場合。その時は俺たちも潜るつもりだったんだ。だから気楽にやれ」
「・・・」
「グレンのいうとおりです。あなたは何も考えず、クレアを救うことだけに集中してください」
「・・・わかりました」
自分にできることをする。そして無理なこと、誰かが悲しむことは決してしない、それを心がけるべきか
「それでは休めたことだし、また移動しましょう」
そしてまたセリア先輩の近くに集まると、二回目の転移をした
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