電気使いは今日もノリで生きる
自分がされて嫌なことは他人にはしてはいけない
???
エルフの里から帰ってくる。その途中にクレアとは一言も話すことをしなかった。クレアもクレアで何かしら思う所があったのかずっと悩んだ顔をしていた。
「・・・」
目を閉じればすぐに、あの老人の死に顔が浮かんでくる。思い出してしまう。ふと、手を見てみれば、貫いた時の感触が、滴り落ちる血が鮮明に思い起こされる。
生まれて初めて人を殺した。こんなにもあっさり人間って死ぬんだな。テレビを見ていればいつも誰かが死んだニュースが流れていた。どこぞの誰々が自殺しただのどこどこで連続殺人事件だの「死」というものは案外近くにいたものだと気がつくことができただろうに。いや、見ていたとしても思わないだろう。自分の短で人が死ぬなんて・・・いや、確かに5年前に祖母が亡くなったからその時に感じたな。でも、まさか、自分が殺すことになるなんて・・・
「はあ・・・」
学校にたどり着く。リンナ先輩が馬車を手配してくれていたから難なくたどり着くことができた。リンナ先輩にもあれから一言も話さなかったな。リンナ先輩の大切な人を殺したっていうのに。一度きちんと話をするべきなのに。
でもなんて話したらいいんだろう。「先輩の知り合いを殺してしまってすみませんでした」?いや違う。そんな薄っぺらい言葉でいいはずがない。僕はそんな覚悟で、その程度の言葉で済むような覚悟であの時、『電気鎧・第三形態』を使ったわけじゃない。結果として確かに殺してしまったが・・・助けるために最善の手を取ったと自負している。
・・・いや、違うな。こんなのはただの自己弁護だ。こうでも考えないと僕は立ち直れないかもしれない。自分のしたことに関人が取れない・・・それは、とてもつらい。
「ミライくん!」
いつの間にかクレアと別れてギルドの寮まで歩いていた。どこをどうやって歩いていたのだろうか。いやそもそも学校についてからの記憶が全くない。どこでクレアと別れたのかも思い出せなかった。
そして今、寮にたどり着いて、シェミン先輩に会うことができた。馬車は比較的ゆっくり進んでいたからあれから2、3日たったのだと思うけど、いつぶりに会うことができたのかわからない
「よかった!・・・無事で」
無事じゃないです。精神がボロボロなんです。そう言いたかった。いつもなら、きっと軽口としていうことができただろう。というか絶対口から出ていた。癪だけど間違いない。
「先輩・・・僕・・・」
「え・・・?」
「ミライ!?」
「これは・・・どういうことですか?」
でも結局、僕がしたことはなにかといえば、近づいてきたシェミン先輩にただ、抱きついただけだった。あ、うん、ちょっと言い回しがアレだけど、勘弁してくれ。まともに思考ができないんだよ
「ミライくん!?・・え・・・あ、ちょ」
僕に抱きしめられたシェミン先輩は顔を真っ赤にしてた・・・らしい。あとでグレン先輩が教えてくれたことなんだけどね。そしてアワアワとしていたそうだ。
・・・恥ずかしい話なんだけど僕のこの行動は全部、先輩たちに正確にはたまたまギルドに遊びに来ていたグレン先輩とサリア先輩にらしいんだけどね。まあ最悪なことにグレン先輩に見られていたために速攻でいつもの先輩たちに伝達されてしまった。これからずっとからかわれることになるだろう。いつか絶対仕返しのネタを掴んでやる。
この時の僕はそんなことを考えることができずに、というか近くにグレン先輩とサリア先輩がいたことすら気がつかずにーなんとなく他に人がいたなくらいしか思っていなかったーシェミン先輩に抱きついて泣いていた。
つらいことがあった子供が母親を前にして泣きじゃくるように、僕はシェミン先輩に対して安心感を覚えたのかずっと泣いていた。幸いなことに声は出ていなかったらしいがそれでも生き恥を晒したことには変わりない。
「僕は・・・僕は・・・!」
言いたいことがある。でも口からは何も出てこない。今の気持ちを思っていることをこの焦燥感を伝えたい。誰かに今の自分が抱いている思いを打ちあけたい。胸がもやもやして頭がくらくらしてるからそれをなんとかしたい。悩みを解決するには誰かに打ち明けるのが一番だって偉い人が言っていたと思うけどそれはきっと正しいんだろうな。今聞いて欲しくてたまらないから。あ、でもできればシェミンに聞いて欲しいから信頼してる人限定になるんだろうけどな。
「・・・なにがあったの?」
「えっと・・・」
「うんうん・・・わかった・・・今は聞かない。だから・・・あとで教えてね?」
「うん」
もう、これ側から見たら僕かなり幼い子供だよな。冷静に考えると。でも、この時僕はきっとシェミン先輩にお母さんを重ねていたのかもしれない。・・・ごめんなさいお姉ちゃんです。いきなり親元を離れて(?)しまったから頼りになる人を探したかったんだろうな。
「とりあえず・・・一旦、寮に・・・かえろっか」
「はい・・・」
そしてシェミン先輩から離れる、そして手を引かれて寮の中に入っていく。完全に子供とお母さんだよ・・・幸いなことに誰にも見られていなかったらしい。これは救いだ。
「どうしたの?」
中に入って座る。そしてしばらくの間何も聞いてこなかったけど・・一時間くらい経ってからそうポツリと聞いてきた。
ゆっくりすることができたし、それに誰かに見てもらえていたことが大きいのだろう。大分落ち着くことができた。少なくとも何があったのか話すことができるくらいには落ち着くことができた。
「人を・・・ころしました」
「「「・・・!」」」
先輩たちが息を飲むことを感じた。ああ、やっぱりそうなのかな。人を殺すことってやっぱりそんな風に見られることなのかな。そういう風に腫れ物に触るような扱われるようなものなのかな
「・・・ミライくん」
「なんですか」
「私たちは・・・そとに出てるね」
ほら、そうやって僕から離れようとする。なんだかんだ言いながら結局遠ざけようとするのだろうね。
「ミライ、誤解しているみたいなのであえて言いますが・・・本来なら言いたくなかったんですけど」
サリア先輩が言いにくそうに声を発する。何を言おうとしているんだ?まあ何を言われたところでって思うけどな
「ここにいるもので、人を・・・殺していない人は・・・いません」
「あ・・・」
「今はまだ私の言葉を受け入れられないと思いますが・・・落ち着いたらもういちど言いますね」
微笑んでから出て行った。
「グレン、みんなにしばらく近寄らないように伝えましょう。私はシェミンと一緒にいるので」
「おう!任せとけ!」
そんな風に気にかけてくれている声が聞こえて来る。なんか少しだけまた落ち着けた気がする。
今僕に必要なのはなんなんだろう。落ち着く時間?いや、それならきっと先輩たちは出て行かない。僕が今かなりリラックスできていたことはわかりきっているだろうから。
じゃあ何が必要なんだろう・・・
そこで、僕は思い出した。そういえばいつも大人たちが口を酸っぱくして言っている意味のない言葉を。
『自分がやられて嫌なことは人にはしない』
それはつまり人にすることは自分がされてもいいことだって解釈することができるんだよな。
そして僕は今、人を殺した。つまりー僕は、人に殺されても文句が言えない。
ー人に殺される覚悟を、ついでにこれから多くの人を殺していく覚悟をしなければならない
それは途方もなく大変なことだし、すぐに割り切れることではない。特に今まで平和な国で過ごしていた僕にとってはかなりきつい。だから先輩たちは外に出て僕を一人にしたんだな
エルフの里から帰ってくる。その途中にクレアとは一言も話すことをしなかった。クレアもクレアで何かしら思う所があったのかずっと悩んだ顔をしていた。
「・・・」
目を閉じればすぐに、あの老人の死に顔が浮かんでくる。思い出してしまう。ふと、手を見てみれば、貫いた時の感触が、滴り落ちる血が鮮明に思い起こされる。
生まれて初めて人を殺した。こんなにもあっさり人間って死ぬんだな。テレビを見ていればいつも誰かが死んだニュースが流れていた。どこぞの誰々が自殺しただのどこどこで連続殺人事件だの「死」というものは案外近くにいたものだと気がつくことができただろうに。いや、見ていたとしても思わないだろう。自分の短で人が死ぬなんて・・・いや、確かに5年前に祖母が亡くなったからその時に感じたな。でも、まさか、自分が殺すことになるなんて・・・
「はあ・・・」
学校にたどり着く。リンナ先輩が馬車を手配してくれていたから難なくたどり着くことができた。リンナ先輩にもあれから一言も話さなかったな。リンナ先輩の大切な人を殺したっていうのに。一度きちんと話をするべきなのに。
でもなんて話したらいいんだろう。「先輩の知り合いを殺してしまってすみませんでした」?いや違う。そんな薄っぺらい言葉でいいはずがない。僕はそんな覚悟で、その程度の言葉で済むような覚悟であの時、『電気鎧・第三形態』を使ったわけじゃない。結果として確かに殺してしまったが・・・助けるために最善の手を取ったと自負している。
・・・いや、違うな。こんなのはただの自己弁護だ。こうでも考えないと僕は立ち直れないかもしれない。自分のしたことに関人が取れない・・・それは、とてもつらい。
「ミライくん!」
いつの間にかクレアと別れてギルドの寮まで歩いていた。どこをどうやって歩いていたのだろうか。いやそもそも学校についてからの記憶が全くない。どこでクレアと別れたのかも思い出せなかった。
そして今、寮にたどり着いて、シェミン先輩に会うことができた。馬車は比較的ゆっくり進んでいたからあれから2、3日たったのだと思うけど、いつぶりに会うことができたのかわからない
「よかった!・・・無事で」
無事じゃないです。精神がボロボロなんです。そう言いたかった。いつもなら、きっと軽口としていうことができただろう。というか絶対口から出ていた。癪だけど間違いない。
「先輩・・・僕・・・」
「え・・・?」
「ミライ!?」
「これは・・・どういうことですか?」
でも結局、僕がしたことはなにかといえば、近づいてきたシェミン先輩にただ、抱きついただけだった。あ、うん、ちょっと言い回しがアレだけど、勘弁してくれ。まともに思考ができないんだよ
「ミライくん!?・・え・・・あ、ちょ」
僕に抱きしめられたシェミン先輩は顔を真っ赤にしてた・・・らしい。あとでグレン先輩が教えてくれたことなんだけどね。そしてアワアワとしていたそうだ。
・・・恥ずかしい話なんだけど僕のこの行動は全部、先輩たちに正確にはたまたまギルドに遊びに来ていたグレン先輩とサリア先輩にらしいんだけどね。まあ最悪なことにグレン先輩に見られていたために速攻でいつもの先輩たちに伝達されてしまった。これからずっとからかわれることになるだろう。いつか絶対仕返しのネタを掴んでやる。
この時の僕はそんなことを考えることができずに、というか近くにグレン先輩とサリア先輩がいたことすら気がつかずにーなんとなく他に人がいたなくらいしか思っていなかったーシェミン先輩に抱きついて泣いていた。
つらいことがあった子供が母親を前にして泣きじゃくるように、僕はシェミン先輩に対して安心感を覚えたのかずっと泣いていた。幸いなことに声は出ていなかったらしいがそれでも生き恥を晒したことには変わりない。
「僕は・・・僕は・・・!」
言いたいことがある。でも口からは何も出てこない。今の気持ちを思っていることをこの焦燥感を伝えたい。誰かに今の自分が抱いている思いを打ちあけたい。胸がもやもやして頭がくらくらしてるからそれをなんとかしたい。悩みを解決するには誰かに打ち明けるのが一番だって偉い人が言っていたと思うけどそれはきっと正しいんだろうな。今聞いて欲しくてたまらないから。あ、でもできればシェミンに聞いて欲しいから信頼してる人限定になるんだろうけどな。
「・・・なにがあったの?」
「えっと・・・」
「うんうん・・・わかった・・・今は聞かない。だから・・・あとで教えてね?」
「うん」
もう、これ側から見たら僕かなり幼い子供だよな。冷静に考えると。でも、この時僕はきっとシェミン先輩にお母さんを重ねていたのかもしれない。・・・ごめんなさいお姉ちゃんです。いきなり親元を離れて(?)しまったから頼りになる人を探したかったんだろうな。
「とりあえず・・・一旦、寮に・・・かえろっか」
「はい・・・」
そしてシェミン先輩から離れる、そして手を引かれて寮の中に入っていく。完全に子供とお母さんだよ・・・幸いなことに誰にも見られていなかったらしい。これは救いだ。
「どうしたの?」
中に入って座る。そしてしばらくの間何も聞いてこなかったけど・・一時間くらい経ってからそうポツリと聞いてきた。
ゆっくりすることができたし、それに誰かに見てもらえていたことが大きいのだろう。大分落ち着くことができた。少なくとも何があったのか話すことができるくらいには落ち着くことができた。
「人を・・・ころしました」
「「「・・・!」」」
先輩たちが息を飲むことを感じた。ああ、やっぱりそうなのかな。人を殺すことってやっぱりそんな風に見られることなのかな。そういう風に腫れ物に触るような扱われるようなものなのかな
「・・・ミライくん」
「なんですか」
「私たちは・・・そとに出てるね」
ほら、そうやって僕から離れようとする。なんだかんだ言いながら結局遠ざけようとするのだろうね。
「ミライ、誤解しているみたいなのであえて言いますが・・・本来なら言いたくなかったんですけど」
サリア先輩が言いにくそうに声を発する。何を言おうとしているんだ?まあ何を言われたところでって思うけどな
「ここにいるもので、人を・・・殺していない人は・・・いません」
「あ・・・」
「今はまだ私の言葉を受け入れられないと思いますが・・・落ち着いたらもういちど言いますね」
微笑んでから出て行った。
「グレン、みんなにしばらく近寄らないように伝えましょう。私はシェミンと一緒にいるので」
「おう!任せとけ!」
そんな風に気にかけてくれている声が聞こえて来る。なんか少しだけまた落ち着けた気がする。
今僕に必要なのはなんなんだろう。落ち着く時間?いや、それならきっと先輩たちは出て行かない。僕が今かなりリラックスできていたことはわかりきっているだろうから。
じゃあ何が必要なんだろう・・・
そこで、僕は思い出した。そういえばいつも大人たちが口を酸っぱくして言っている意味のない言葉を。
『自分がやられて嫌なことは人にはしない』
それはつまり人にすることは自分がされてもいいことだって解釈することができるんだよな。
そして僕は今、人を殺した。つまりー僕は、人に殺されても文句が言えない。
ー人に殺される覚悟を、ついでにこれから多くの人を殺していく覚悟をしなければならない
それは途方もなく大変なことだし、すぐに割り切れることではない。特に今まで平和な国で過ごしていた僕にとってはかなりきつい。だから先輩たちは外に出て僕を一人にしたんだな
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