電気使いは今日もノリで生きる
習得の裏側
皐月一週目風曜日
「ミライの様子はどうですか?」
「・・・大丈夫・・・寝てるだけ」
「よかった」
ミライがベットで横になっている。そしてそれを横から眺めているシオンとシェミン。結局シオンが発見した時に誰もとおらなかったのでギルドまで運んできた。そこでシェミンが手当てをした、そういう状況だ。
「・・・」
「・・・どうしたの・・・シオンくん」
寝ているミライをどこか頼もしそうに、また同時に不安そうに眺めていたので疑問に思ったシェミンが尋ねる。また倒れもしたら・・・と不安な気持ちになるのはわかるがなぜ頼もしさが出てくるのだろう
「ミライは、一日で『領域』を変化させた新しい魔法を習得した。ずっと見てたからわかります。こうなった原因である魔法は『領域』なんかじゃなかった。もっと探知に長けた魔法だった・・・だからですかね。不安には思いますけど同時に楽しみも感じるんです」
それは、シオンにとって嬉しいことだった。もしかしたら自分と同じステージまで来てくれる一年生がいるかもしれない。強いものが誰もが思うこと自分と同じだけ強い存在、それを見つけたかもしれないのだから
「まあクレアも強くなりそうですし・・・今年の一年生は楽しみな人が多いです」
「・・・二人は・・きっと・・・強くなる」
この二人は何かある。何か隠していることがある。ミライがこの世界の人間ではないことはわかっているがそういうことではない。もっと別のこと。強くならなければならないという強い意志を感じる。強くなるために一番必要なことは強い意志だ。だから彼らは鬼ごっこの時にミライとクレアの二人を集中的に捜索した。ただし見つけてもすぐに捕まえることなく、その前に様子は見ていた。どうやって逃げようか画策をしていたのかをじっと見つめていた。二人に期待しているからこそ、見るだけにして彼らがどうやって逃げようとしたのかの様子を見ていた
「そうですね。だからこそ、僕たちで支えましょう」
「・・・うん」
これで話は終わりとばかりにシオンは立ち上がり去っていく。彼には自分のギルドでやらなければならないことがある。あまり長居はできなかった。代わりにやってきたのがサリアとグレン。
「ミライの様子はどうですか?」
「・・・もう・・・大丈夫」
「よかったぜ」
シェミンの返答を聞いて安堵する二人。能力の使いすぎで倒れることは何も珍しいことではないがミライの場合は能力の暴走によるものだと聞いていたから。起きた時に後遺症は残らないとわかっているが、それでも心配なのは変わりない。
「ただ、このペースで成長すればいずれ・・・」
「だよなぁ。他の転移者の話も聞くがミライとはまったく違う。あいつらは普通に強い。才能と言ってもいい」
「ミライにも才能があります。ですが」
「ああ」
どちらかといえば『努力』の才能。努力によって開花することは誰でもできるし、むしろそうしなければできないこともある。しかし、それは正しく導くことのできる人が正しく導いた話だ。グレンもサリアもみんな自分たちなら導くことができると思っていた。実際にシオンの力を開花させたことがあるから。でも、それなのに
「問題なのは俺たちがついていながら・・・こうして倒れてしまったってことだな」
「少し、ミライの才能を甘く見ていたのかもしれないですね」
倒れることもある。それはわかっている。だが、こんなにはやく倒れることはない。運が悪かったのだといえばそうだが・・・実際大勢の人間の位置情報など慣れていない人間からすれば一度に許容できる量などたかが知れている。今まで視覚だけで手に入れていた情報を・・・いつもなら自然に不必要な情報をカットされていた情報をカットすることなく全て必要な情報として整理しようとしたのだから。
理屈ではわかっている。でも、育てようとした人材を一発目から危険な目にあわせてしまい彼らは落ち込んでいた。
「あーもうぐだぐだも性に合わねぇ。事故だ事故。・・・次はない」
「そうですね」
「・・・うん」
事故だってわかっている。過去の事例から少し過敏になっていただけだ。
「さて、ミライが目を覚ましたら多分空腹だろうからメシの準備をしてくるぜ。シェミン、台所借りるな」
「・・・うん・・・好きに使って」
暗くなった雰囲気を払拭しようと明るく振る舞い夕飯の準備に向かうグレン。そして、それを見たサリアも
「では私も第1ギルドに行ってきます」
「おう!またな!」
「またね・・・サリちゃん」
サリアを見送ってグレンが台所にいったためにミライのそばにはシェミンだけが残る。
「・・・もう二度と・・・能力の・・・暴走なんて・・・見たくない」
だから、涙とともにつぶやかれた彼女の声を聞いたものはいなかった
「・・・・う、ぐ。ここは?」
目が覚めたら自分のベッドの中にいた。え?あれ?僕って旧修練場にいて魔法を使う練習をしていたと思うんだけど・・・確か『感知』だっけ?それを使ったら確か
「う・・・」
記憶が戻ってくると同時にあの山ほどの情報が蘇ってくる。あの時ほどの衝撃はなかったがそれでも気持ち悪いのには変わりない。
「・・・ミライ・・・目が覚めたの」
喜びにあふれた声が聞こえたからその方向へ向く。そこにはシェミン先輩がいた。もしかしてずっと看病してくれていたのだろうか
「・・・よかった」
「ご心配をおかけしました」
少し落ち着いてきたから何がどうなっていたのか教えて欲しいな。なんで僕が自分のベッドにいてこんな看病されている格好になっているのかを
「・・・ミライ・・・倒れてた」
倒れていたんですか。話を聞く限りでは僕の身の上に起こった現象はいわゆる能力の暴走らしい。別に怪しげな薬を飲んだ覚えはないんだけどな
「おー起きたかミライ。そんな軽口を言えるのなら大丈夫だな」
「グレン先輩」
「たっく、心配したぞ?お前が倒れたって聞いた時には」
「すみません」
やっぱりグレン先輩って暑苦しいけどこういう時に新身になってくれるタイプの人だよ。あれかな?普段は不良不良しているけどいざとなったら優しいやつ。ヤンキーが猫に餌を与える的な・・・なんか違うな。疲れてるのかな。いつものキレがまったくない
「いやお前いつもキレなんてないからね?」
いやいや何を言っているんですか。いつもならバリバリでこう・・・悪口を言えるんですけどね
「ついに認めたよ自分が悪口を言ってるって」
「まあいいじゃないですか・・・でも。能力の暴走ってどういうことですか?」
「一口に暴走って言ってもいろいろあるが・・・ミライのは成長痛に近いものかもな」
能力には無限の可能性があるらしい。よくわからないけど。そしてその可能性の中で新しい魔法がつけるようになった時に急なことのため体がうまいこと馴染むことができずに自分自身の魔法でダメージを受けてしまう現象。それが今回僕に起こったことらしい。
「いきなり超広範囲の探知魔法を使ったんだその情報量は多すぎる」
「そんなに範囲広かったんですか?」
確かにかなりの情報がきたけどでも『領域』の範囲から考えてそこまで大きくないと思うんだけどな
「多分一気に解放したからってのもあるんだろうが・・・おそらくこの学校全体は覆われていたな」
「え?」
「本来ならすぐに消えるはずだが暴走状態に入ってしまっていたために維持されてしまった。それが今回の全てだ」
でも学校全体ってことは・・・実戦で使えるってことか。先輩方には申し訳ないけどこれは使える。もう迷わなくて済むんだ・・・ん?探知だけど探索じゃないから迷うのは迷うか残念。
でも、先輩の話だと魔法は使えていたんだよな。と、いうことは
「ステータス」
紅 美頼 男 17歳
スキル「電気」
技能「放電」「電気鎧」「電気の領域」「感知」
「おおお」
よかった。ちゃんと身についている。これであいつらにも少しは追いつけることができたかな
僕は少しばかり浮かれていたからそんな僕を心配そうに見つめている先輩方の視線に気がつくことはなかった
「ミライの様子はどうですか?」
「・・・大丈夫・・・寝てるだけ」
「よかった」
ミライがベットで横になっている。そしてそれを横から眺めているシオンとシェミン。結局シオンが発見した時に誰もとおらなかったのでギルドまで運んできた。そこでシェミンが手当てをした、そういう状況だ。
「・・・」
「・・・どうしたの・・・シオンくん」
寝ているミライをどこか頼もしそうに、また同時に不安そうに眺めていたので疑問に思ったシェミンが尋ねる。また倒れもしたら・・・と不安な気持ちになるのはわかるがなぜ頼もしさが出てくるのだろう
「ミライは、一日で『領域』を変化させた新しい魔法を習得した。ずっと見てたからわかります。こうなった原因である魔法は『領域』なんかじゃなかった。もっと探知に長けた魔法だった・・・だからですかね。不安には思いますけど同時に楽しみも感じるんです」
それは、シオンにとって嬉しいことだった。もしかしたら自分と同じステージまで来てくれる一年生がいるかもしれない。強いものが誰もが思うこと自分と同じだけ強い存在、それを見つけたかもしれないのだから
「まあクレアも強くなりそうですし・・・今年の一年生は楽しみな人が多いです」
「・・・二人は・・きっと・・・強くなる」
この二人は何かある。何か隠していることがある。ミライがこの世界の人間ではないことはわかっているがそういうことではない。もっと別のこと。強くならなければならないという強い意志を感じる。強くなるために一番必要なことは強い意志だ。だから彼らは鬼ごっこの時にミライとクレアの二人を集中的に捜索した。ただし見つけてもすぐに捕まえることなく、その前に様子は見ていた。どうやって逃げようか画策をしていたのかをじっと見つめていた。二人に期待しているからこそ、見るだけにして彼らがどうやって逃げようとしたのかの様子を見ていた
「そうですね。だからこそ、僕たちで支えましょう」
「・・・うん」
これで話は終わりとばかりにシオンは立ち上がり去っていく。彼には自分のギルドでやらなければならないことがある。あまり長居はできなかった。代わりにやってきたのがサリアとグレン。
「ミライの様子はどうですか?」
「・・・もう・・・大丈夫」
「よかったぜ」
シェミンの返答を聞いて安堵する二人。能力の使いすぎで倒れることは何も珍しいことではないがミライの場合は能力の暴走によるものだと聞いていたから。起きた時に後遺症は残らないとわかっているが、それでも心配なのは変わりない。
「ただ、このペースで成長すればいずれ・・・」
「だよなぁ。他の転移者の話も聞くがミライとはまったく違う。あいつらは普通に強い。才能と言ってもいい」
「ミライにも才能があります。ですが」
「ああ」
どちらかといえば『努力』の才能。努力によって開花することは誰でもできるし、むしろそうしなければできないこともある。しかし、それは正しく導くことのできる人が正しく導いた話だ。グレンもサリアもみんな自分たちなら導くことができると思っていた。実際にシオンの力を開花させたことがあるから。でも、それなのに
「問題なのは俺たちがついていながら・・・こうして倒れてしまったってことだな」
「少し、ミライの才能を甘く見ていたのかもしれないですね」
倒れることもある。それはわかっている。だが、こんなにはやく倒れることはない。運が悪かったのだといえばそうだが・・・実際大勢の人間の位置情報など慣れていない人間からすれば一度に許容できる量などたかが知れている。今まで視覚だけで手に入れていた情報を・・・いつもなら自然に不必要な情報をカットされていた情報をカットすることなく全て必要な情報として整理しようとしたのだから。
理屈ではわかっている。でも、育てようとした人材を一発目から危険な目にあわせてしまい彼らは落ち込んでいた。
「あーもうぐだぐだも性に合わねぇ。事故だ事故。・・・次はない」
「そうですね」
「・・・うん」
事故だってわかっている。過去の事例から少し過敏になっていただけだ。
「さて、ミライが目を覚ましたら多分空腹だろうからメシの準備をしてくるぜ。シェミン、台所借りるな」
「・・・うん・・・好きに使って」
暗くなった雰囲気を払拭しようと明るく振る舞い夕飯の準備に向かうグレン。そして、それを見たサリアも
「では私も第1ギルドに行ってきます」
「おう!またな!」
「またね・・・サリちゃん」
サリアを見送ってグレンが台所にいったためにミライのそばにはシェミンだけが残る。
「・・・もう二度と・・・能力の・・・暴走なんて・・・見たくない」
だから、涙とともにつぶやかれた彼女の声を聞いたものはいなかった
「・・・・う、ぐ。ここは?」
目が覚めたら自分のベッドの中にいた。え?あれ?僕って旧修練場にいて魔法を使う練習をしていたと思うんだけど・・・確か『感知』だっけ?それを使ったら確か
「う・・・」
記憶が戻ってくると同時にあの山ほどの情報が蘇ってくる。あの時ほどの衝撃はなかったがそれでも気持ち悪いのには変わりない。
「・・・ミライ・・・目が覚めたの」
喜びにあふれた声が聞こえたからその方向へ向く。そこにはシェミン先輩がいた。もしかしてずっと看病してくれていたのだろうか
「・・・よかった」
「ご心配をおかけしました」
少し落ち着いてきたから何がどうなっていたのか教えて欲しいな。なんで僕が自分のベッドにいてこんな看病されている格好になっているのかを
「・・・ミライ・・・倒れてた」
倒れていたんですか。話を聞く限りでは僕の身の上に起こった現象はいわゆる能力の暴走らしい。別に怪しげな薬を飲んだ覚えはないんだけどな
「おー起きたかミライ。そんな軽口を言えるのなら大丈夫だな」
「グレン先輩」
「たっく、心配したぞ?お前が倒れたって聞いた時には」
「すみません」
やっぱりグレン先輩って暑苦しいけどこういう時に新身になってくれるタイプの人だよ。あれかな?普段は不良不良しているけどいざとなったら優しいやつ。ヤンキーが猫に餌を与える的な・・・なんか違うな。疲れてるのかな。いつものキレがまったくない
「いやお前いつもキレなんてないからね?」
いやいや何を言っているんですか。いつもならバリバリでこう・・・悪口を言えるんですけどね
「ついに認めたよ自分が悪口を言ってるって」
「まあいいじゃないですか・・・でも。能力の暴走ってどういうことですか?」
「一口に暴走って言ってもいろいろあるが・・・ミライのは成長痛に近いものかもな」
能力には無限の可能性があるらしい。よくわからないけど。そしてその可能性の中で新しい魔法がつけるようになった時に急なことのため体がうまいこと馴染むことができずに自分自身の魔法でダメージを受けてしまう現象。それが今回僕に起こったことらしい。
「いきなり超広範囲の探知魔法を使ったんだその情報量は多すぎる」
「そんなに範囲広かったんですか?」
確かにかなりの情報がきたけどでも『領域』の範囲から考えてそこまで大きくないと思うんだけどな
「多分一気に解放したからってのもあるんだろうが・・・おそらくこの学校全体は覆われていたな」
「え?」
「本来ならすぐに消えるはずだが暴走状態に入ってしまっていたために維持されてしまった。それが今回の全てだ」
でも学校全体ってことは・・・実戦で使えるってことか。先輩方には申し訳ないけどこれは使える。もう迷わなくて済むんだ・・・ん?探知だけど探索じゃないから迷うのは迷うか残念。
でも、先輩の話だと魔法は使えていたんだよな。と、いうことは
「ステータス」
紅 美頼 男 17歳
スキル「電気」
技能「放電」「電気鎧」「電気の領域」「感知」
「おおお」
よかった。ちゃんと身についている。これであいつらにも少しは追いつけることができたかな
僕は少しばかり浮かれていたからそんな僕を心配そうに見つめている先輩方の視線に気がつくことはなかった
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