金属魔法の使い方

バリウム

ギリシア星団。

これはユウトとリンが二つ名を付けられた時とほぼ同時期の話である。

ギリシア星団はギリシア文字二十四文字を基にして構成されている。

最初の文字のアルファ以外は穴ができたら埋める方式だ。

なのでこの星団の一人一人の性格は十人十色なのだ。

「いやー、もうほんとに最高だったよタウ………プ、ははははは!。」

「もうやめていただきたい、正直恥ずかしいのですゼタ様!。」

「えー、ヤダ、この間さあタウがね、初任務行く時に星具忘れてやんのwww。」

みんなの前で暴露しまくるゼタ、それを今にも男らしい顔を梅干しみたいに真っ赤にして泣きそうになりながら止めているタウの構図が出来上がっていた。

「しかもタウと戦ったやつに不意打ちくらって一発KOされてやんの、やばいお腹痛いしぬぅwww。」

タウが不意打ちとばかりにとっ捕まえようとするとゼタが満点の星が彫刻されたナイフ、エイセイを取り出すと黒い意志の持ったかのような煙が溢れ出す。

身を包みきったと思ったら、煙の動きが止まり中心に向かって吸い込まれていく煙が吸い込まれきった場所にはいなく、ゼタはタウの後ろにいた。

「えぇーやだぁ〜、私の自身座標転送に追いつくわけないじゃない〜。」

そう言ってゼタはタウの頭を撫でる。

「お遊びはそこまでだ。」

唐突な掛け声。

そこにいた誰もがこの変わった空気を感じとる。

さっき声をかけた女が玉座の間の椅子に座る。

するとそこにいたギリシア星団の名前付きが一斉に跪く。

「お待ちしておりましたアルファ様。」

今言ったのはギリシア星団の一人、青年のベータである。

「オメガは?。」

「あのおっさん?いつもの遅刻だよ〜。」

アルファが聞くとゼタが手をひらひらさせて言った。

「いや〜、ごめんなさいごめんなさい、お待たせしました〜。」

スーと入ってきた50から60歳いかないくらいの男が入ってくる。

「皆揃ったな、話を始める。」

アルファが持っている杖状の星具、アカボシを床に打ち付ける、するとそこから波打つように場所が変わり先ほどまで玉座の間にいたのがいつの間にか会議室に変わった。

みんなが座るとアルファが話し始めた。

「タウ、はじめての任務はどうだったか?。」

「は、任務自体は果たせましたが一人の男に挑み、敗北しました、今後はそれを糧としさらに鍛…………。」

「長すぎ〜。」

長々と説明しているタウの足をゼタが思いっきり蹴った。

「まあよい、誰にでもはじめてはあるものさ、次からはしっかり星具を持っていくことだ。」

アルファが冗談まじりに言うとみんながクスクス笑う。

「次の議題だ、オメガ、お前最近星具をどこかに忘れたそうじゃないか。」

すると一斉に「え?、自分の武器何処かに忘れる?。」みたいな顔で顔を真っ赤にしているタウ以外オメガに一斉に目をつけた。

「いや〜、そうなんですよ〜ほんとおじさんになると何でもかんでも忘れがちで、でも今日戻ってきたんですよ、これが!、今日は運が良い日かもしれませんね。」

そう言って二つセットのヒヨクをみんなに見せびらかす。

「タウみたいな最近入ったやつが星具を持参し忘れるのは仕方が無いことだと私は思っている、だがな?、25年間やっていて忘れるのは無いと思っているのだが?。」

「はい気をつけます。」

ニコニコした表情で言うオメガ。

全く反省していないこの男。

「私たちの目的は一つ、世界を一つにすることだ。」

「そのためにはこの世界に落ちてきたキーを見つけなければならない、もう半年も経っているのだ、そろそろ見つけても良い頃合いだが。」

「元はといえば〜、オメガっちが魔法陣に組まれてた触媒を躓いて蹴っとばしたからじゃね?。」

「それは本当に反省してます……………。」

大正論を言ったゼタにペコペコ謝るオメガ、まるでJKに謝るおじさんの構図で非常にカッコ悪い。

「まあ……………それっぽいのは見つけたんだけどね〜。」

ゼタが誰にも聞こえない程度にボソッと発した。

「もし、キーが見つかれば最悪魂だけ持って帰ってきても構わない、全力で探せ時間は刻一刻と迫っている、一通りの議題は終わった質問がなければ終わりとする………………解散!。」

全員が立つとアルファがまたアカボシを床に打ち付ける、すると先ほどいた玉座の間に戻ってきた。

みんながバラバラに帰る中、オメガの後をベータが追いかける。

「オメガ様、このたびは弟がご無礼をはたらき申し訳ありません。」

オメガに追いつくと即座にベータが謝った。

「ベータさん?、今回は私のミスですよ、弟さんのことは本当に申し訳なく思っている、意図せずして私の魔法が働いてしまって結果的には操ったことになりますし。」

「傍観ですか…………。」

「そういうことです、あまり自分を責めないで下さい。」

「ではオメガ様、失礼します。」

オメガはベータが曲がり角を曲がる所まで手を振り続けた。

振り上げた手を下に下ろすと顔を下に向けた。

「ククククク、ごめんなさいねぇ〜ほんとに、ベータさんにあんな顔されたら………ほんとはわざととかいえないじゃないですかぁ〜w。」

この時のオメガの表情は歪んだ笑顔が出ていた。

「それにゼタさん、独り占めは良くないですよ?、次はなにをしましょうかねぇ〜?。」

そう言いながらヒヨクの水晶をそっと撫でた。

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