金属魔法の使い方

バリウム

二つ名。

セリーヌ邸へ向かうついでにギルドにも向かい、事情を知らせた。

「…………かしこまりました!。」

「よろしくお願いします。」

帝国の方から調査団が来るらしい。

「ついでに、ユウトは今ギルドの登録をしちゃいましょう。」

「ん?、ちょっと待て、お前の昨日の話を聞く限りなんか試験やらないといけないんだろ?。」

「ええ、普通ならね、でも私にはこれがあるから。」

と言ってカードのようなものを受付嬢に渡す。

ユウトはそのカードを目で追うとランクの枠にSと書かれている。

「ええ、最初はAランクだったのだけど、3年間は流石に私を成長させたみたいね。」

言い方がまわりくどい。

「で、Sランクが俺の試験をしないのとなんの関係があるんだよ。」

「Sランクでは親しい人とか戦闘を何度もみた人のランクをランク付けできるのよ、Sランクにしとくわね。」

「へぇー、ちょっと待て俺のランクはBでいい!。」

ユウトは慌てて紙を書きながら話すリンの手を止める。

「俺は自分の立っている場所をハッキリさせときたいんだ、俺に実力があればSランクにはいつかいけるんだろ?。」

リンはそれを聞いて苦虫を噛んだかのような顔をした。

「………………めんどくさ。」

「それは言わんといてください。」

リンはランクの欄にBと書いて提出した。

調査団は順調にいけば今日中に来て明日には調査、そのまま帰ると受付の人に聞いた。

ギルドにセリーヌ邸を聞くと少し離れにあるらしい。

歩いているとユウトがボソッと呟いた。

「電話が無いのによくそんな早く帝国に伝えることができるんだな。」

「デンワ?、何のことか知らないけどギルドには最低でも一人は遠距離伝達系統の魔法が使える人を置くのが普通なのよ、時間は………そうね、何らかの障害がない限り1分もあれば大体繋がるわ。」

「魔法ってほんと便利だなぁ。」

「あなたの世界にはやっぱり魔法は無かったの?。」

「ああ、魔法がない代わりに科学って言う人間の知能を使って擬似的な魔法を作り出した、この世界でいう銃とかみたいなものだ、しかも魔物みたいな行き過ぎた凶暴な獣もいないしな。」

「なんだか退屈そうな世界ね。」

「そうだろうね、でも俺の周りが平和すぎたんだよきっと。」

「………………ちょっとなにいってるかわかんない。」

「おい。」

せっかくいいことっぽいこと言ってたのに。

村の外れにある少し盛り上がった丘にセリーヌ邸はあるらしい、なんでもセリーヌ本人いわく高いところから見たら村の異変にもすぐに気づくでしょう?とのことらしい。

セリーヌ邸に近づくにつれて丘に花が咲いている、いや、綺麗な花が満遍なく咲き乱れている。

「待っていましたわ。」

「どうも。」

セリーヌとアルグリッドが出迎えてくれた。

「話は聞いていますわ、すでに調査団の方には昨日のうちに連絡を入れていますわ。」

どうやら入れ違いで連絡を入れてしまったようだ。

「また連絡を入れておきますわ、セバス。」

「アルグリッドです、かしこまりましたこちらから伝えておきます。」

多分今日中には終わるので調査団と一緒に帰るようにしてそれまでの時間潰しとしてセリーヌさんとお話をすることになった。

「アイスティーよ、ここで獲れた茶葉で作ったのお口に合うかしら?。」

メイドがテーブルの上に置くとティーカップではなく、もといた国のコップと似ていた。

「「ああ、美味しい!。」」

思わず口から出てしまった。

「ふふ、気にいってなによりだわ、そのコップはここの村の特産品なのほとんどそのコップはここから作られているわ。」

ユウトとリンが一息つくとセリーヌがテーブルを乗り越して顔を近づけて言った。

「さあ、あなたたちのお話を聞かせて!。」

「………………はしたないですぞ、お嬢様。」

後ろで連絡から戻ってきたアルグリッドがボソッと呟いた。

「…………………それでそれで?。」

「それで綺麗な水晶になったのがこれです。」

そういうとポケットから水晶の塊を取り出した。

「これに魔力を注ぐと武装できます。」

「お嬢様、そろそろお時間です。」

3人で話しているとアルグリッドから声がかかった。

「あら、もうそんな時間?。」

「敷地の前に一台馬車をご用意いたしました。」

「わかりました。」

「時がすぎるのが早いでしたわ、また近いうちに帝国の方に行きますのでまた会いましょう。」

「はい、親切にありがとうございました。」

ユウトが言うと二人ともお辞儀をする。

二人が帝国に戻ったのは日が沈みかけた頃だ。

「短かったけど、長かったなぁ。」

そう言ってため息をつくユウト。

「そうね、付き合ってくれてありがとう、そういえばあのこと王様に伝えたほうがいいのかな。」

「そうだな………………馬車が止まった。」

馬車を降りると村ののどかな感じじゃなく、賑やかな、というより騒がしいくらいの色々な音が聞こえる。

「おーかーえーりーユ〜ウ〜ト〜!!!。」

ミサイルの如く飛んで抱きついてきたのはお姉ちゃんだ。

「話を聞いて心配したんだよ〜?お姉ちゃんがいい子いい子してあげるヨーシヨシヨシヨシヨシヨシ。」

「お、お姉ちゃんただいまあとすごく頭皮が燃えそうだからちょっとだけ優しくしてもらえる?あと王様に伝えに行きたいんだけど。」

ユウトがソフトに言うとパッとお姉ちゃんはやめてくれた。

「あ、そういえば王様は伝えるのは明日でいいよっていってたよ?、疲れているから報告は明日にしろって。」

「とりあえずこの話は明日にするか。」

「そうね、また明日、本当にありがとう。」

リンは最後の言葉だけユウトの耳元で言ってあっという間に帰ってしまった。

部屋に戻るとあれからずっとツーンとしているお姉ちゃんに思い切って聞いてみた。

「イイナーワタシモユウトニアレヤッテホシイナー。」

「あれ?何のこと?。」

「耳ふーだよ耳ふー!!。」

そう言って耳をこっちに向けてくる。

ええ、それ耳ふーじゃなくて耳元で囁いただけだよ………。

「………………フー。」

仕方なく耳に息を吹きかけると「キャー、寝る!!。」とか言ってベッドに向かって走って飛んでいってしまった、ほんとにお姉ちゃんのことまたに分からなくなる。

次の日ユウトとリンは待ち合わせをして王様のいる玉座の間に向かった。

時間は9時から10時の間くらい。

「ユウト・アルサーマル、リン・メイユイ、昨夜到着しました。」

「うむ、何があったか話せ。」

「はい。」

ユウトは一通り話した。

「そうか、よくやった、レットスパイダー・ユウト、ホワイトナイト・リン…………ブフッ!」

「「ありがたきしあわ…………………は?。」」

この日、ユウトとリンは二つ名がついた。

第一章  あなたの心の氷が溶けるまで


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