金属魔法の使い方

バリウム

〈生、行〉きなさい

「あ、ああああ。」

村が燃えてる。

意味がわからない。

なんで燃えてるの?。

最初に顔が思い浮かぶのがお母さんとお父さん、確か家にいたはずだ。

リンは足を引きずりながら走る、転びかけて手を地面につきそうになっても黒く濁った色になりつつある足で地面を蹴って家へ向かった。

向かうとそこにはすでに原型を留めていなく、骨組み状態の家がそこにはあった。

リンは全身に冷たい水を頭から被り、家の中に入っていく。

冬なのにすごく暑い。

家の奥に入っていくと人が2人、お母さんとお父さんだ!。

お母さんは燃えて全身に大火傷を負っていたがお父さんはころうじて屋根の破片が刺さっているだけなので生きていると信じて呼びかける。

「お父さん、私だよ!。」

だが、いくら声をかけても返答がない。

お父さんをいくら揺らしても起きてくれない。

「なんでっ!、なんでっ!。」

すると後ろで声がして、慌てて振り返る。

そこには大火傷をしたお母さんが少しだけ口を開いて何か言っている。

リンは口元に耳を傾けるとお母さんが小さな声で言う。

「いきなさい、羽付きが襲ってくる前に......。」

「お母さん、羽付きって何?!。」

リンはお母さんに問うが、お母さんはさっきの言葉をずっと復唱しているだけだった。

何回聞いても同じことを言っている。

「うん.....わかったよもういくね......?。」

リンは今にも目から溢れそうな涙を腕で拭き、外に出ようとする。

出かけたその瞬間、お母さんは最後の力を振り絞って大声で言ってくれた。

「あなた、リン、愛してるわ。」

それを聞いたリンは振り返るがその瞬間、家の柱が崩れて入れなくなってしまった。

それから三日間、幸い山火事にならずに村だけで治った。

リンはひたすら家を周り片っ端から生きている人を探した。

だが大人はみんな何かの刃物で刺されたり、焼かれたりしていて、見るも無残な姿になっていた。

みんなを家や瓦礫から引っ張り出して、土を掘り起こしてからみんなを1人づつ埋めていった。

だが、1人だけ見つからない、カレンがいくら探しても見つからない。

みんなと見間違えたかと思ったが、子供はリンとカレンだけなのでだとえ顔が判別出来なくても体格的にみんな違う。

リンはそこで少し希望を持った。

もしかしたらカレンがまだ生きているかもしれないと。

それから一つの希望のお陰でしばらく生き切ることができた。

なぜなら生きていたら帰ってくるかもしれないと思ったからだ。

だがいくら待っても来なかった。

その希望はこの村を襲った奴への復讐の憎悪へと変わっていった。

復讐するためにはまず生きるための食糧が必要だ。

だが子供のリンが武器を使うとしたら限られてくる。

体が小さい分、リーチが無いとまともに戦うことすらできない。

そこで倉庫から大人たちが使っていた弓を引っ張り出した。

実際に山に入ってイノシシを見つけて狙いを定めて弓を引こうとするが、それ以前に弓の弦が引けなかったのだ。

「うーん、剣はリーチが短すぎて怪我しちゃうし、弓はまず引けなくて撃てないしどうしようかな〜。」

倉庫で悩んでいると上から何かで殴られた。

「いったぁーい、何もう!....、これ。」

殴られたと思ってたものを手に持つといいことを思いついた。

後日。

リンがイノシシの脳天を突き刺す。

「やっと勝てたぁ....。」

リンは思いついたのだこの手に持つ棒とさっきの剣を先端にくっつけて槍を作ろうと。

最初は槍に振り回されていたが、今は振り回すことができるようになってきていた。

2、3年経ってこの村で1人で暮らすことに慣れてきた、自分の家を建てて、動物を狩ったり、食べられる植物を自分で採ったり、それ以前に人1人、村が燃えてから会っていない。

ある日、いつも通り動物を狩って帰ってくると、男が1人家の前にいる。

壁になるものに隠れながら近づいていく。

そして一気に首筋に刃を突きつけて、問おうとする。

「............。」

えーと、人とどうやって話すんだっけ?。

そう、リンはここ2、3年で人に会ってないので人の言葉は分かるのだが、どうやって話すのか忘れてしまったのだ。

リンがどうやって話そうか迷っていると、その刃を突きつけられた男が口を開く。

「ぼ、僕は研究者だっ!、ここら辺の地形を研究しているんだ!、だから見逃してもらえないだろうか?。」

その男が緊迫した口調で喋る。

当然である。

首筋に刃を突き付けられたら誰だって怖がるだろう。

男が唾を飲む。

するとリンが口を開く。

「ケンキュウシャって何だ?。」

と。

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