《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

エピローグ「完全完結」

「へぇ。お父さんと、お母さんって、そんなすごいケンカをしたんだね」



 兵士のいない城の食堂。
 ヴィルザハード城――。



 途方もない大きさの長机が置かれてあり、純白のテーブルクロスが敷かれている。床はピカピカに磨き上げられており、石でできているけれど、眩しいぐらいに光っている。やたらと大きな窓からは、さんさんと日光が差し込む。



 食堂の壁面には巨大なヴィルザハードの油絵が飾られている。しかしだだっ広い部屋のわりに、座っているのはたったの3人だけだ。



「そうそう。オレはその後、世界中の憎悪の対象になってな。魔神を復活させた罪を償えってことで」



「処刑されたの?」



「されたらここにはいないよ。このヴィルザハード城でヴィルザのメンドウを、死ぬまでみることを任せられたわけ」



「お母さんのメンドウ?」
 と、赤毛の女の子が首をかしげる。



 ヴィルザが朝食のパンをかじりながら、意地悪そうに微笑む。



「そうじゃ。私は怒ると怖いからな。私のことを怒らせんように、ケネスは私の尻に敷かれて生活しておるわけじゃな」



「ふぅん」
 と、わかっているのかいないのか、ヴィネス・カートルドは首をかしげた。



「カートルド家に託された使命。それはゼッタイに母さんを怒らせないこと。母さんを怒らせたら、世界中がひっくり返るからな」



 なにそれー、とヴィネスは笑っていた。
 面白おかしく言ったけれど、冗談ではない。



 ケネスは処刑を免れた。
 そのかわりに、大役をまかされることになった。
 カートルド一族は一生ヴィルザのメンドウを看ること。ケネスもそうだし、その子供であるヴィネスもそうだ。そしてその後に続く者たちも、一生ヴィルザのメンドウを看なければならない。



「それでガルシアさんと、バートリーさんって人は、どうなったの?」



 ヴィネスは口にパンを放り込んで尋ねる。



「ガルシアさんは魔法をさらに究めるために、世界中を旅してる。バートリーさんは今でも、よく来てるだろ」



 ヴィルザの腕には、魔法封じの腕輪が装着されている。そのカギを握っているのがバートリーだ。上手くやっているのか、ときおり様子を見に来る。差し入れもよく持ってきてくれる。バートリーはあくまで、帝国のためを思う人だ。ヴィルザが大人しくしてくれるならば、協力を惜しまないということだろう。


「じゃあ、フーリンって人は?」



「あの人は今でも、バートリー魔法長官の副官としてやってるよ」
 第一皇女はミファのところで、依然として楽しくやっていると聞いている。



「あ、そろそろ行かねばならんぞ」
 とヴィルザが言う。



「あ、うん。行ってきますねー」
 ヴィネスが食パンを口にくわえて、出て行こうとする。



「行儀が悪い! 食べるか、行くかのどちらかにせい!」
 ヴィルザの怒鳴り声はよく響く。
 ヴィネスは青ざめて、
「ごめんなさい!」
 と、食パンを詰め込んで城を出て行った。




 城を出て行く様子をヴィルザは窓から張り付いて見下ろしていた。



「なあ。大丈夫じゃろうか? ケネス。ヴィネスはイジメられたりせんじゃろうか? あの娘はケネスに似て、気が弱いところがある」



 ヴィネスは今日から、ハーディアル魔術学院に通うことになっているのだ。



「心配ないって。むしろ、オレは誰かイジメるんじゃないかと心配なぐらいだ」



「バカもん! 私の子が、人を苛めるわけなかろうが!」



「ヴィルザが言っても、説得力ないんだよなぁ」



 ヴィネスは生まれながらにして、尋常ならざる魔力を有していた。そりゃそうだ。文字通り、神の子、なのだ。



 ケネスは自分の弱さに悩んで成長していった。きっとヴィネスはそうはならない。おそらく、自分の強さに怯える日が来ることだろう。



 そういった悩みはケネスにはよくわからない。それは母親であるヴィルザの管轄になるだろうと思う。ヴィルザのほうを見ると、ボーッとした顔でケネスを見ていた。



「どうした?」



「いや……なんというか、二人きりになるのは、久しぶりじゃと思うて」



「まあ、ヴィネスはずっと家にいたしな」



 子育てに奮闘してきた。
 魔神すら震え上がらせるほどに、赤子というのは悪魔だった。ヴィルザは一所懸命にヴィネスを育てていた。



「じゃから、久しぶりに……な」



 ヴィルザがケネスに肩を寄せてきた。ケネスはその肩を抱き寄せる。ヴィルザの左手にはいまも、ケネスの指輪が輝いている。

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