《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第8-14話「最後の呪痕」

「な、なんだ?」
「8角封魔術。最後の呪痕を壊させてもらう」



 ヴィルザの笑みが深くなるにつれて、ケネスの右手が勝手に動きはじめる。何かよくわからないチカラに動かされて、ケネスは本能的に抵抗した。



「な、なんだ。最後の呪痕って。まだ1つ足りないはずだろ」



「じゃからな、7つ壊したじゃろう。そして最後の1つは、そこにあるじゃろうが」



 ヴィルザはそう言うと、ケネスの右目を指差した。



「そこって、どこだよ」
「コゾウの右目。『主神ゲリュスの慧眼』」
「オレの右目が、《神の遺物アーティファクト》だっていうのか?」



「じゃから、そう言っておろうが。『エルフタンの耳』と同じく、人の遺伝子に宿るタイプのものじゃ」



 こうして問答を繰り広げている間にも、ケネスの右手がその右手に迫っている。ケネスは左手で、己の右手を抑え込んだ。が、物凄いチカラでそれを振りほどこうとしてくる。



「オレに、《神の遺物アーティファクト》が宿っているなんて、信じられるか!」



「いいや。間違いない。たかが固有スキルごときで、私の姿が見えるはずがないのじゃ。それはあの大猿の天使が言っておったであろうが」



 大猿のセリフが、ケネスの記憶によみがえる。



『何故だァ。何故、それを持っている!』『たかが人間ごときが、虚無の世界に落ちた魔神を見つけたのは、そのせいか!』



 そう言っていた。
 それはつまり、ケネスの右目に宿った『ゲリュスの慧眼』を見て言ったのではないか?



「コゾウは無効化のポーションを飲まされておる。もう《可視化》のスキルは使えんくなっているはず。しかし、私が見えておるじゃろう」



「ああ」



「スキルではない。《可視化》は、『主神ゲリュスの慧眼』によるチカラじゃ」



「でも《神の遺物アーティファクト》は、人が扱うと精神に異常をきたすって言ってたじゃないか」



「コゾウには使えるんじゃろう。じゃから、『ポテルタンの槍』も使えた。コゾウは、おそらく選ばれたのだ」



「選ばれた?」



「そう。主神ゲリュスに選ばれた。主神ゲリュスがどうしてその目を、コゾウに宿したのかは知らんがな。偶然か必然か。ゲリュスとケネス。名前の音もすこ似ておる」



「で、お前はオレの目を奪おうっていうのか」
「私のためだ。その右目、潰してくれ」



 ヴィルザはあっけからんと言う。



「この右手は……」
 ケネスの言うことをきかない。右目を奪おうと襲いかかってくる。



「それは今さら説明するまでもなかろう。コゾウの右手には私の魔力が宿っておる。この日のため――いつかコゾウの右目を奪わねばならんからな。この日のために、宿しておいた私の魔力じゃ」



「じゃあ、最初からオレの右目を奪うつもりだったのか」



「むろん。しかし、呪痕を見つけられるのは、その目だけじゃからな。最大限に利用させてもらうことにしたわけじゃが」



 ヴィルザの表情は、あのときの顔になっていた。人を殺すときに見せる、殺戮と凱歌に頬をつりあげ、目には爛々と法悦の色を浮かべ、醜悪に微笑む鬼女の笑みだ。



「こんなことしなくても。お前のためなら、オレは自分で右目を潰していた」



 その言葉にヴィルザはわずかにたじろいだ気配を見せた。



「しかし、抵抗しておる」



「封印が解けたら、どうするつもりだ。それを聞いてからだ」



「……世界征服」



「それはしないと、約束したはずだ」



「魔神の約束などを信じるほうが、どうかしておる。大人しくあの大猿天使の言葉を聞くべきであったな。私は人を利用して、殺し、楽しむ、最悪の魔神じゃからな」



 右手の人さし指と中指が、ケネスの右まぶたを――親指が下まぶたを押し開けてゆく。



「最初から、オレを利用するつもりだったか」



「その通り。憐れな人間じゃな。この姿に見惚れたか? カワイソウじゃと思ったか? 見事、その心を利用されたわけじゃな」



「今まで、オレたちが積み上げてきた時間は? すべてウソだったのか!」



「むろん。すべてはマヤカシ。魔神に恋した愚かな人間よ。私のために死んでくれ」



 ケネスの右目が、己の右手によってえぐり出される。



「うわぁぁぁぁッ」



「良い悲鳴じゃ。やはり人が苦痛に苛む姿は、見ていて美しい。さあ。8つめの封印が解かれるぞ」



 ヴィルザは狂気の笑みを浮かべていた。
 グチュ……。

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