《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

執筆用bot E-021番 

第8-12話「バートリーの後悔」

 ドゴォォォ――ッ。



 3国会議が行われている城塔に、強烈な一撃が与えられた。その振動をバートリーは石の円卓にしがみついてやり過ごした。砂ケムリに景色が濁った。



 砂ケムリが晴れる。周囲の状況がわかった。壁に大穴が開いている。ドラゴンゾンビが突っ込んできた穴だ。白骨のドラゴンは室内で暴れまわっている。かなり凶悪なモンスターだが、バートリーの手に負えない相手ではない。が、ドラゴンゾンビ1匹なら――だ。ガーゴイルや幽霊ゴーストたちまで入り込んでいる。



「御無事ですか?」
 バートリーはエルシェントとウオリンに問うた。



「無事だよ。私たちをなんだと思ってんだ。エルフ筆頭候補が1人エルシェントだよ。こんなアンデッドごとき」



「しかし。こいつら、どこから来た?」



 エルシェントは背の低い少女だが、ウオリンは図体の大きな男だ。2人が並んでいるとあまりの体格の差に、遠近感でクラッとさせられる。ドラゴンゾンビがその隙を突くかのように突っ込んできた。



 バートリーは身を転がして、ドラゴンゾンビの猛進を避けた。ドラゴンゾンビは壁に衝突して、さらに建物を崩している。



「あ……」
 たった今、身を転がしたことによって、ポケットからカギを落としたことに気づいた。拾おうとしたが、先に拾ったものがあった。その者の姿を見て、バートリーは息を呑んだ。



「意外と簡単に取り戻せちゃいましたね。カギ」
「ケネス……カートルド……」



「すみません。会議荒らしちゃって。でも、ここに3点そろってるって聞いたんで」



『アースアースの鉱石』『エルフタンの耳』『ポテルタンの槍』3点とも、ケネスの手の内にあった。背中に氷を当てられた気分だった。エルシェントのほうを見ると、耳をおさえてうずくまっていた。切られたのだ。



 記憶が戻っていたのだ。
 もしや、とは懸念していた。
 だから念のために腕輪をしていたのだが、外されてしまった。



「ケネスがどうしてここにいるのです? それに、このアンデッドは?」



「ガルシアさんのテロ活動に合わせて、城を抜けださせてもらいました。アンデッドはヴィルザハード城から連れてきたヤツらです」



「アンデッドを従えてくるとは、まるで悪の親玉のようですね」



「たしかに今のオレは、世界にとって悪人かもしれません。ヴィルザに肩入れするっていうのは、そういうことになるんでしょうね」



 くくっ、とケネスは暗く笑う。



「その3つは、渡せません」
 バートリーは魔法陣を展開する。



「バートリーさんには世話になりました。まぁ、記憶をいじられたりしましたけどね。オレ、バートリーさんのこと嫌いじゃないですよ。だから、黙って見逃してやくれませんかね」



「笑止ですね。やはりあなたは……」



 魔神ヴィルザハード復活。
 それを目論んでいるのだ。



「《帝国の劫火》。その異名がただの飾りでないことは、ご存知でしょう。オレも学生の頃とは違うんですよ」



 あれが《帝国の劫火》か……と、エルシェントとウオリンが2人とも魔法陣を展開した。



「水系最上位魔法《血の凍結フリーズ・オブ・ブラッド》」



 殺す。
 殺意を込めて、氷を放った。



「すみません。でも、自分なりに考えた結果なんですよ。オレは魔神ヴィルザハードを信じてみたい」



 ケネスの全身を炎が包む。バートリーの魔法をイッサイ受け付けない。



「やはり私では……」
 と、バートリーは歯噛みした。



 この男の魔法は、すでに帝国最強レベル。あのガルシア・スプラウドを凌駕していると言っても過言ではない。強くなったり、弱くなったりする、ケネスの正体はすでにわかっている。魔神ヴィルザハードのチカラを使っているときと、自身のチカラで戦っているときがある。



 前者が最強なのは、昔からだ。けれど、後者も――ケネス自身の強さもすでに、バートリーの手に負えるレベルではない。あの禍々しい狂気を帯びた魔力ではない。ケネスの魔法は清々しいまでに赤い炎をあげる。常人の炎ではない。何か、特別な清らかさがある。



「エルシェント一族の宝を渡すわけにゃいかねェんだよ!」
「魚人も同意」



 エルシェントとウオリンの2人が魔法を放つ。



「風系A級上位魔法《葉刃リーフ・カッター》」。新緑の葉っぱが周囲のガーゴイルを切り刻み、ケネスに襲いかかる。「水系上位魔法《氷の手アイス・ハンド》」巨大な氷の手がケネスにつかみかかる。



「すみません。ってオレ、謝ってばかりですね。まあ、謝ることばかりしてるからなんですけど。抵抗させてもらいますよ」



「火系固有魔法《魔神の劫火デビルズ・フレイム》」
 目が痛くなるほど鮮烈な紅色の炎が、巨大な魔神をかたどっていた。魔神。そうとしか言えない風貌をしている。その炎でかたどられた魔神が、すべての魔法を焼き尽くしてゆく。



 強い。
 強すぎる。
 あまりにデタラメな強さだ。



「これが……《帝国の劫火》か」



 エルシェントは呆然と立ち尽くしていた。その耳があった場所から血がながれている。炎が鎮火されたとき、ケネスの姿も、アンデッドの姿も消えていた。そして、《神の遺物アーティファクト》の3点も。



「やはり……」
 殺しておくべきだった。



 こんなに強くなる前に――記憶をいじるだけじゃなくて、抹殺しておくべきだったのだ。

「《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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コメント

  • ノベルバユーザー307888

    面白いので三日でここまで来てしまった笑作者の方無理せずに頑張れるだけ頑張ってくださいとても楽しみにしています

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