《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。

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第6-11話「学院祭 ⅩⅠ」

 本校舎を出る。校庭にはいくつもの屋台が出ていたが、ほとんど機能していなかった。横倒しにされているものもあれば、ケムリをあげているものもあった。生徒たちが、互いを貪りあうように、抱き合っていた。



「凄まじい光景だな。こりゃ。後片付けが大変だぜ」
 と、ケネスは呟いた。



 騒ぎに巻き込まれないうちに、ケムリのもとを辿ろうと思った。しかし、そう簡単にはいかしてもらえない。



『見つけたのですよーッ』
 と、風の声で大きくしたと思われる声音が響いた。高台の上に立って、ケネスを指差しているのはユリだ。



「な、なんだ?」



『あの男を捕まえて、私のもとに引きたててくるのですよ。ケネス・カートルドを捕まえた者には、生徒会から学院通貨を1000枚授与するのです!』



 うぉぉぉ――と蛮声をあげて、生徒たちがケネスに押し寄せてきた。その風景はまるで土石流のようだ。



「ユリのヤツ……ッ」
 あわてて逃げた。



 ユリの指示に従ってケネスを追いかけてくる者もいるが、個人の思惑によって追走してくる者もいるようだった。



「ケネスさまー」「こっちにいらしてくださいなー」と女たちの黄色い声が飛来してくる。ケネスはいちおう、《帝国の劫火》として、後輩たちからも、それなりの人気を獲得しているのだ。その人気が火種となり、媚薬が油となって、ケネスを追いかけるという事態を引き起こしているのだった。



「私のケネスに触れようなんて、下等な虫ケラどもめ。私が一掃してやろう」
 と、ヴィルザがキバをむく。



「いや。よせって、媚薬でオカシクなってるだけなんだから」



「仕方あるまい」



「すぐに殺そうとするのも、ヴィルザの悪い癖だ。すぐにチカラを使えない状態だからこそ良いものの、封印を解いたら、ちゃんと自制してくれるんだろうな」



「自制する。自制する。と、いうか、ケネスが強くなって、私をいさめてくれれば良いのだ」



「カンベンしてくれよ」



 魔神をいさめるほど強くなるには、もう数倍は強くなる必要がありそうだ。



「私をいさめることが出来んと、床ではやはり、私に組み伏せられることになるぞ」



「そういう話じゃないから」



 校舎の壁の一部に、くぼんでいるところがある。そこに身をうずめて、追っ手をやり過ごした。媚薬に狂った者たちは、ケネスに気づかずに走り去って行った。



「ふう。ひとまず、やり過ごしたか」



「ああいうのは、まだ良いが、気を付けろよ。刺客がまぎれ込んでいるかもしれん」



「わかってるさ」



 誰かはわからぬが、このアクロデリアの香水を焚いたものは、まぎれもなくケネスの命を狙う何者かだ。ならば、この騒乱を利用して、ケネスを仕留めに来るのが道理というものだ。

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