《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第4-22話「ケネスVSソルト Ⅰ」
「おーっと。そこを動くな。ガキども」
地下牢から地上にのぼると、昼日中の陽光が突き刺すように視界に入り込んでくる。そこは領主館の手前にあたる。白く輝く屋敷の手前は、石畳の敷かれた広場になっている。噴水からは水がジャージャーと勢いよく吹き上がっている。そんな広場は、ソルトの部隊によってスッカリ包囲されていた。
そのなかには、もちろんソルトの姿もあった。ケネスのところからは、噴水から吹き出る水のカーテンごしに、その姿を認めることができた。相変わらず赤い髪を逆立てており、そり残された無精髭が目立つ。
「都市で混乱を起こして、その間に、捕虜を救い出す。なかなか考えたじゃねェーか」
ケネスたちは、警戒態勢をとった。
バートリーなんかは、咄嗟に魔法陣を展開している。
「おーっと。待て待て」
と、ソルトはあわてたように言った。
「わかってる。わかってる。オレを殺そうってのは、わかるさ。けれど、こんなところで暴れられたら困るわけ。とくに、そこのコゾウ。ケネスくんだっけか。君の魔法はこの目で見ている。あんなのされたら、この都市そのものが吹っ飛んじまう」
「……」
なんのことを言っているのか、わからない。ヴィルザはいったい、この男に何を見せたのだろうか。
「とはいえ、オレも男の子だ。大人しく負けを認めるわけにもいかねェ。そこで提案があるんだが」
と、ソルトは続けた。
「ケンカなら都市の外でやろうぜ。そのほうがオレも伸び伸びと動けるし、そっちも同じだろう。無駄な被害は出したくねェんだ」
「オレの村を滅ぼしておいて、よく言う」
ケネスが一歩前に出ると、ソルトはあからさまに狼狽していた。
「しょーがねぇーだろ。あれが戦争ってもんだ。代わりと言っちゃなんだが、場所を移してくれるなら、面白い条件をつけてやる」
「なんだ?」
「一騎打ちだ」
「なに?」
「オレと、そっちの代表。まぁ、ケネスくんだろうな。2人で一騎打ちを行う。それが手っ取り早くて良いだろ」
これから殺し合いをしようっていうのに、ソルトは軽薄な口調で言う。もともと、こういう人間なのかもしれない。
「一騎打ちか……」
ケネスの仲間になってくれるのは、バートリーとフーリンとミファの3人しかいない。しかも、ミファは戦力にならない。そう考えれば、軍隊で包囲されるよりかは、まだ良いかもしれない。
復讐のチャンスをくれているのだ。
ケネスにとっても都合が良い。
「どうだい? もし話に乗ってくれるなら、馬車はこっちで用意する。もちろんオレも同乗するし、罠を仕掛けるつもりはねェ。それでも信用できねェっていうなら、そっちで馬車を用意してくれても良い」
ずいぶんと譲歩してくれる。むしろ、ソルトは苦しそうだ。
それもこれもすべて、ケネスの能力を見誤っているおかげだろう。ヴィルザの能力を、ケネスの能力と勘違いしているのだ。むしろ、それはケネスにとっては好都合。ソルトの話を受けることになった。
地下牢から地上にのぼると、昼日中の陽光が突き刺すように視界に入り込んでくる。そこは領主館の手前にあたる。白く輝く屋敷の手前は、石畳の敷かれた広場になっている。噴水からは水がジャージャーと勢いよく吹き上がっている。そんな広場は、ソルトの部隊によってスッカリ包囲されていた。
そのなかには、もちろんソルトの姿もあった。ケネスのところからは、噴水から吹き出る水のカーテンごしに、その姿を認めることができた。相変わらず赤い髪を逆立てており、そり残された無精髭が目立つ。
「都市で混乱を起こして、その間に、捕虜を救い出す。なかなか考えたじゃねェーか」
ケネスたちは、警戒態勢をとった。
バートリーなんかは、咄嗟に魔法陣を展開している。
「おーっと。待て待て」
と、ソルトはあわてたように言った。
「わかってる。わかってる。オレを殺そうってのは、わかるさ。けれど、こんなところで暴れられたら困るわけ。とくに、そこのコゾウ。ケネスくんだっけか。君の魔法はこの目で見ている。あんなのされたら、この都市そのものが吹っ飛んじまう」
「……」
なんのことを言っているのか、わからない。ヴィルザはいったい、この男に何を見せたのだろうか。
「とはいえ、オレも男の子だ。大人しく負けを認めるわけにもいかねェ。そこで提案があるんだが」
と、ソルトは続けた。
「ケンカなら都市の外でやろうぜ。そのほうがオレも伸び伸びと動けるし、そっちも同じだろう。無駄な被害は出したくねェんだ」
「オレの村を滅ぼしておいて、よく言う」
ケネスが一歩前に出ると、ソルトはあからさまに狼狽していた。
「しょーがねぇーだろ。あれが戦争ってもんだ。代わりと言っちゃなんだが、場所を移してくれるなら、面白い条件をつけてやる」
「なんだ?」
「一騎打ちだ」
「なに?」
「オレと、そっちの代表。まぁ、ケネスくんだろうな。2人で一騎打ちを行う。それが手っ取り早くて良いだろ」
これから殺し合いをしようっていうのに、ソルトは軽薄な口調で言う。もともと、こういう人間なのかもしれない。
「一騎打ちか……」
ケネスの仲間になってくれるのは、バートリーとフーリンとミファの3人しかいない。しかも、ミファは戦力にならない。そう考えれば、軍隊で包囲されるよりかは、まだ良いかもしれない。
復讐のチャンスをくれているのだ。
ケネスにとっても都合が良い。
「どうだい? もし話に乗ってくれるなら、馬車はこっちで用意する。もちろんオレも同乗するし、罠を仕掛けるつもりはねェ。それでも信用できねェっていうなら、そっちで馬車を用意してくれても良い」
ずいぶんと譲歩してくれる。むしろ、ソルトは苦しそうだ。
それもこれもすべて、ケネスの能力を見誤っているおかげだろう。ヴィルザの能力を、ケネスの能力と勘違いしているのだ。むしろ、それはケネスにとっては好都合。ソルトの話を受けることになった。
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