《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第4-2話「ミファ・フリードリッヒとの出会い」
雨がますます強くなる。ケネスは大人しく雨に打たれていた。となりには、ミファと名乗った少女がいる。
不思議な雰囲気を持った少女だった。田舎娘のような純朴な美しさでもなければ、貴族のような上品な美しさもなかった。顔立ちは整っているのに、儚げに見えるのだ。本来、貴族が持っている上品なものを、誰かにゴッソリと奪われたような感じだった。
白髪を長く伸ばしており、瞳は銀色の輝きがあった。
「助けてくれてありがとう。いちおう感謝しておくわ」
「ああ。礼金をもらえるなら、なんでも良いよ」
ここはケリュアル王国領だ。
ココルという都市になる。
シュネイの村を滅ぼした王国軍を追いかけてきたのだ。
バートリーを捕虜にとった、ソルト・ドラグニル率いる部隊は、このココルまで戻って行ったのだ。
ケネスもそれを追いかけてきた。戦争のゴタゴタに紛れることが出来たおかげか、国境や都市の城門棟は難なく潜り抜けることはできた。が――、一文無しである。憎悪に駆られて跳び出してきたせいで、何も考えていなかった。金があったとしても、王国通貨はもともと持っていない。
連れて行かれたバートリーは、たしかにこのココルの都市のどこかにいるはずだった。一刻もはやく見つけ出して、救い出そうと彷徨っていた。都内をうろつき、風体垢じみてきたというときに、このミファという女性に救いを求められたのだった。
(金をくれるってなら、都合が良い)
と、ケネスは思っていた。
ここ数日の漂泊のせいか、それとも久方ぶりの雨のせいか、心の内にて発生していた憎悪の炎は鎮火していた。珍しく、冷静な気持ちでいられた。
「追っ手はまいたみたいだな」
「ええ」
爆発を起こした。
目立ちたくないので、なるべく距離をとった。今は、なにげない様子をよそおって、ストリートを歩いていた。もう夜も遅く、人どおりもない。街灯が雨のなかを潜り抜けて、光を発している。
「王国治安維持騎士部隊とか名乗っていたけど
「ええ」
「魔力覚醒剤取締り法がウンヌンとも言っていたな」
「変なこと、聞いてるのね」
ミファは恨みがましいような目で、ケネスを見上げてきた。見上げられたはじめて、ケネスのほうが背丈が高いことに気づいた。最近、日に日に大きくなっている気がする。骨がバキバキと音を立てているかのようだ。
「薬。やってるのか?」
魔力覚醒剤というと、違法薬物だ。帝国でも使用禁止になっている。使えば一時的に魔力を増幅させることができるが、依存性が酷く、幻覚症状や倦怠感などを使用者に引き起こす薬だ。なにより、そういった薬は、暗黒組合の資金源にもなって、各国厳しく取り締まっている。
「やって……ないわよ……。売ってるだけ」
「それでも、相当だがな」
こんな小さい娘が扱うようなシロモノではない。
「悪いけど、センサクはなし。そういうことをするなら、礼金は渡さないから」
「センサクなんてしねェよ。こっちも、探られたかねェしな」
帝国から来たとは言えない。
ここは、ケネスにとっては敵陣真っただ中とさえ言える。それにしても、今の自分の粗暴な口調にビックリしていた。ロールの口調が感染したのかもしれない。
「そう。ならチョウド良いわ」
あ、ここが、私の家よ。上がってちょうだい――と、ミファは足を止めた。夏の熱気をさます冷雨のなかにて、黒っぽい豪邸が眼前にそびえていた。
不思議な雰囲気を持った少女だった。田舎娘のような純朴な美しさでもなければ、貴族のような上品な美しさもなかった。顔立ちは整っているのに、儚げに見えるのだ。本来、貴族が持っている上品なものを、誰かにゴッソリと奪われたような感じだった。
白髪を長く伸ばしており、瞳は銀色の輝きがあった。
「助けてくれてありがとう。いちおう感謝しておくわ」
「ああ。礼金をもらえるなら、なんでも良いよ」
ここはケリュアル王国領だ。
ココルという都市になる。
シュネイの村を滅ぼした王国軍を追いかけてきたのだ。
バートリーを捕虜にとった、ソルト・ドラグニル率いる部隊は、このココルまで戻って行ったのだ。
ケネスもそれを追いかけてきた。戦争のゴタゴタに紛れることが出来たおかげか、国境や都市の城門棟は難なく潜り抜けることはできた。が――、一文無しである。憎悪に駆られて跳び出してきたせいで、何も考えていなかった。金があったとしても、王国通貨はもともと持っていない。
連れて行かれたバートリーは、たしかにこのココルの都市のどこかにいるはずだった。一刻もはやく見つけ出して、救い出そうと彷徨っていた。都内をうろつき、風体垢じみてきたというときに、このミファという女性に救いを求められたのだった。
(金をくれるってなら、都合が良い)
と、ケネスは思っていた。
ここ数日の漂泊のせいか、それとも久方ぶりの雨のせいか、心の内にて発生していた憎悪の炎は鎮火していた。珍しく、冷静な気持ちでいられた。
「追っ手はまいたみたいだな」
「ええ」
爆発を起こした。
目立ちたくないので、なるべく距離をとった。今は、なにげない様子をよそおって、ストリートを歩いていた。もう夜も遅く、人どおりもない。街灯が雨のなかを潜り抜けて、光を発している。
「王国治安維持騎士部隊とか名乗っていたけど
「ええ」
「魔力覚醒剤取締り法がウンヌンとも言っていたな」
「変なこと、聞いてるのね」
ミファは恨みがましいような目で、ケネスを見上げてきた。見上げられたはじめて、ケネスのほうが背丈が高いことに気づいた。最近、日に日に大きくなっている気がする。骨がバキバキと音を立てているかのようだ。
「薬。やってるのか?」
魔力覚醒剤というと、違法薬物だ。帝国でも使用禁止になっている。使えば一時的に魔力を増幅させることができるが、依存性が酷く、幻覚症状や倦怠感などを使用者に引き起こす薬だ。なにより、そういった薬は、暗黒組合の資金源にもなって、各国厳しく取り締まっている。
「やって……ないわよ……。売ってるだけ」
「それでも、相当だがな」
こんな小さい娘が扱うようなシロモノではない。
「悪いけど、センサクはなし。そういうことをするなら、礼金は渡さないから」
「センサクなんてしねェよ。こっちも、探られたかねェしな」
帝国から来たとは言えない。
ここは、ケネスにとっては敵陣真っただ中とさえ言える。それにしても、今の自分の粗暴な口調にビックリしていた。ロールの口調が感染したのかもしれない。
「そう。ならチョウド良いわ」
あ、ここが、私の家よ。上がってちょうだい――と、ミファは足を止めた。夏の熱気をさます冷雨のなかにて、黒っぽい豪邸が眼前にそびえていた。
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