《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第3-7話「伯爵との再開」
ゴブリン――またの名を「緑の子鬼」。
背丈は人の腰あたりまでしかなく、ちょうどヴィルザと同じぐらいの身長だ。そのくせ顔は人の2倍ぐらいの大きさがある。目はむきだされており、キバが口からのぞいている。全身は緑色に染まっていて、雄は腰巻を、雌は胸当てもしていた。木陰から目視できたゴブリンの数は3匹。3匹は農園に咲いていたスフルを引っこ抜くと、その根菜を貪り食っていた。
「モンスターって、根菜も食うんだな。人間しか食べないのかと思ってた」
モンスターは総じて、人肉を食らう。
だから、ダンジョンに潜る冒険者が返ってこないときは、モンスターの胃袋に入っているときだ。
ゴブリンたちは、荒らすだけ荒らすと満足したようで、引き返して行った。
「よし。距離を開けて尾行しよう」
と、ロビンが先陣を切った。
農園を出る。ゴブリンたちは踏み固められてできた道とは、すこし外れた草地を歩いていた。ゴブリンたちに怪しまれないように、一定の距離を開けたまま尾行した。《透明化》の魔法を使えば、もう少し大胆に近づくことが出来る。が、ヴィルザのチカラは極力、使わないでおこうとケネスは決めていた。
やがて、ゴブリンたちは丘陵の傾斜にある茂みへと消えていった。見失ったかと思って、あわてて近づいてみると、洞窟があった。入口が草木で巧妙に隠されているようだった。中からは、ダンジョン特有の血なまぐさい臭いが吹きつけてきた。
「上手く見つけれたな」
「どうするんだ。ロビン? すぐに入るか?」
3人パーティは、ロビンがスッカリ仕切っていた。ケネスはもとより、あまり人の前に立つのが得意ではない。大人しくロビンに従おうと決めていた。
「チョット待ちな」
あらぬ方向から声がかかった。
振り向くと、そこには帝国騎士が3人いた。先頭に立っている帝国騎士に見覚えがあった。シュネイの村にケネスが到着したさいに、ロールと言い争っていた騎士だ。
「なんだよ。税金泥棒」
と、ロールが言いかえす。
「誰が、税金泥棒だァ。……っと、そんなことはいい。それより、さっきのネックレス」
帝国騎士はロールを押しのけると、ケネスに詰め寄ってきた。
「な、なんですか」
「そうだ。その首からかけてるネックレス。そりゃ、帝国魔術部隊を統べるガルシア・スプラウドさまの印だ。考えてみると、テメェみたいなガキが持ってるわけがねェ」
「いや、これはたしかにガルシアさんから、もらったもので」
「ウルセェ。怪しいヤツめ。ひっ捕らえてやる」
ケネスは3人の帝国騎士に取り囲まれてしまった。これは厄介なことになった。ケネスの不幸を楽しむかのように、ロビンはニヤニヤと笑っていた。厭なヤツ。でも、ロールは口をはさんでくれた。
「そいつは、私たちの村の出身だ。怪しくなんかねェよ」
「黙れ。女。こんな田舎村の男が、ガルシアさまの印を持ってるなんて、なおさら怪しいんだよ」
よせよせ――とロビンがロールのことをいさめていた。
「ぶっ殺すか?」
と、ヴィルザに至っては、またしても考え無しのことを言う。何か困ったことがあれば、この魔神はすぐにチカラを使いたがる。
しかし、帝国騎士を傷つけるわけにもいかない。身分の証明に時間がかかるのはメンドウだなぁ――と思っていると、また別の声が割り込んできた。
「常備兵の連中。何をしているのです?」
透き通るような声だった。その声の主を見て、ケネスは「あ」と声をあげることになった。
青い髪をキレイに7・3分けにしている。青く澄んだ瞳の片側には、片メガネをかけており、清らかな印象を受ける。清いと同時に、色素の薄いような――どことなく、存在感の希薄な感を受けるその人は、帝国副長官にして、《血の伯爵》の異名を持つ女性だった。
背丈は人の腰あたりまでしかなく、ちょうどヴィルザと同じぐらいの身長だ。そのくせ顔は人の2倍ぐらいの大きさがある。目はむきだされており、キバが口からのぞいている。全身は緑色に染まっていて、雄は腰巻を、雌は胸当てもしていた。木陰から目視できたゴブリンの数は3匹。3匹は農園に咲いていたスフルを引っこ抜くと、その根菜を貪り食っていた。
「モンスターって、根菜も食うんだな。人間しか食べないのかと思ってた」
モンスターは総じて、人肉を食らう。
だから、ダンジョンに潜る冒険者が返ってこないときは、モンスターの胃袋に入っているときだ。
ゴブリンたちは、荒らすだけ荒らすと満足したようで、引き返して行った。
「よし。距離を開けて尾行しよう」
と、ロビンが先陣を切った。
農園を出る。ゴブリンたちは踏み固められてできた道とは、すこし外れた草地を歩いていた。ゴブリンたちに怪しまれないように、一定の距離を開けたまま尾行した。《透明化》の魔法を使えば、もう少し大胆に近づくことが出来る。が、ヴィルザのチカラは極力、使わないでおこうとケネスは決めていた。
やがて、ゴブリンたちは丘陵の傾斜にある茂みへと消えていった。見失ったかと思って、あわてて近づいてみると、洞窟があった。入口が草木で巧妙に隠されているようだった。中からは、ダンジョン特有の血なまぐさい臭いが吹きつけてきた。
「上手く見つけれたな」
「どうするんだ。ロビン? すぐに入るか?」
3人パーティは、ロビンがスッカリ仕切っていた。ケネスはもとより、あまり人の前に立つのが得意ではない。大人しくロビンに従おうと決めていた。
「チョット待ちな」
あらぬ方向から声がかかった。
振り向くと、そこには帝国騎士が3人いた。先頭に立っている帝国騎士に見覚えがあった。シュネイの村にケネスが到着したさいに、ロールと言い争っていた騎士だ。
「なんだよ。税金泥棒」
と、ロールが言いかえす。
「誰が、税金泥棒だァ。……っと、そんなことはいい。それより、さっきのネックレス」
帝国騎士はロールを押しのけると、ケネスに詰め寄ってきた。
「な、なんですか」
「そうだ。その首からかけてるネックレス。そりゃ、帝国魔術部隊を統べるガルシア・スプラウドさまの印だ。考えてみると、テメェみたいなガキが持ってるわけがねェ」
「いや、これはたしかにガルシアさんから、もらったもので」
「ウルセェ。怪しいヤツめ。ひっ捕らえてやる」
ケネスは3人の帝国騎士に取り囲まれてしまった。これは厄介なことになった。ケネスの不幸を楽しむかのように、ロビンはニヤニヤと笑っていた。厭なヤツ。でも、ロールは口をはさんでくれた。
「そいつは、私たちの村の出身だ。怪しくなんかねェよ」
「黙れ。女。こんな田舎村の男が、ガルシアさまの印を持ってるなんて、なおさら怪しいんだよ」
よせよせ――とロビンがロールのことをいさめていた。
「ぶっ殺すか?」
と、ヴィルザに至っては、またしても考え無しのことを言う。何か困ったことがあれば、この魔神はすぐにチカラを使いたがる。
しかし、帝国騎士を傷つけるわけにもいかない。身分の証明に時間がかかるのはメンドウだなぁ――と思っていると、また別の声が割り込んできた。
「常備兵の連中。何をしているのです?」
透き通るような声だった。その声の主を見て、ケネスは「あ」と声をあげることになった。
青い髪をキレイに7・3分けにしている。青く澄んだ瞳の片側には、片メガネをかけており、清らかな印象を受ける。清いと同時に、色素の薄いような――どことなく、存在感の希薄な感を受けるその人は、帝国副長官にして、《血の伯爵》の異名を持つ女性だった。
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