《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第34話「ヘッケラン・バートリーの戦い Ⅰ」
《血の伯爵》こと――ヘッケラン・バートリーは、孤児院に向かっていた。幼いころに孤児院を出たとはいえ、そこにいる子供たちには愛着があった。
毒でも使われたのか、帝都内には倒れている人が多数いた。帝国騎士も完全にマヒしてしまっている。今、動けるのは一部の魔術師だけだ。バートリーは土系最上位魔法の《魔力防壁》を展開している。そのため毒の影響を受けていない。
いいや。
毒なんかではない。
これはおそらく呪術の類だ。
(完全に、王国に先手を打たれた)
軽く下唇を噛んだ。
バートリーは、滅多に感情を表に出さない。面白いことは面白いと思うし、悲しいことは悲しいと思う。それを表に出すのが苦手なだけだ。こうして下唇を噛む行為は、ゆえに最大限の苦渋の表情だった。
孤児院。
バートリーが到着したころには虐殺が行われていた。呪術で動けなくなった子供たちのことを、王国騎士が容赦なく殺しているのだ。
敵国とはいえ今は停戦中だ。しかも、戦えない民間人を無闇に巻き込んではいけないという国際法まである。王国がやってることはムチャクチャだ。バートリーは大きな怒りにとらわれた。
「無為に人を殺すのはやめなさい」
そう声を発した。
子供に槍を突き立てていた紅色の騎士たちが、怪訝そうな顔をしてバートリーを見た。おそらくバートリーが動けていることに疑問を感じたのだろう。あるいはバートリーの子供じみた外見に当惑を覚えたのかもしれない。
バートリーは《魔力防壁》のために展開している魔法陣とは、別の魔法陣を展開する。
「水系上位魔法。《氷柱突き》」
バートリーの魔法陣から、ナイフのような大きさの氷柱が出てくる。それが王国騎士たちに襲いかかった。
「ぐわっ」
「うわっ」
と、王国騎士たちは悶絶する。
氷柱は騎士の甲冑を貫くことはできなかったが、鎧のつなぎ目な露出している部位に刺しこまれていた。
「よくもッ、我らが王国騎士をッ」
そう言うと、数人の青いローブを着た連中がわらわらと群がってきた。孤児院ではあまり戦いたくない。子供たちは無惨にも殺されているとはいえ、まだ助かっている人も数人はいるようだ。なかには、シスター・マリアや冒険者の姿も見受けられた。
今、生き残っている人たちに被害を出したくはない。
「こっちよ」
バートリーは孤児院の塀を飛び越えて、ストリートに跳びだした。石畳のストリートにも倒れている人たちがいたけれど、みんな殺されている。果物や、樽が散乱していた。
「無抵抗の人間に手を出すなんて、酷すぎる」
胸糞の悪い光景だ。
ガルシア魔法長官をはじめとする、帝国の大臣たちがつくりあげてきたものを踏みにじられたような屈辱もあった。
「これは王国に抵抗してきた帝国への鉄槌である。愚かなる帝国臣民に正義のさばきを下したまでのこと」
愚かな……。
バートリーが魔法陣を展開すると、王国魔術師たちも魔法陣を展開する。
「水系上位魔法。《氷柱突き》」
さきほどと同じ魔法を発する。
魔法を発動するときにその名前を言わなくちゃならない――なんてことはない。呪術の中には言葉を発する必要があるものもある。だが、魔法は無言でも発動する。それでも、こうして口に出す魔術師は少なくない。口に出したほうはちゃんと発動している感じがする。要するに、気持の問題だ。
「炎系基礎魔法。《炎の壁》」
王国魔術師たちの足元に展開された魔法陣からは、いくつもの火柱がたちのぼった。バートリーの氷が溶かされてゆく。
「ちッ」
素の舌打ちが出た。
基礎魔法とはいえ、思いのほか威力がある。これだけの戦力を整えているとは想定外だ。誰にも見つからずに奇襲をかけてきたのだから、即席の部隊か何かだと思っていた。逆だ。これは綿密に計画されたことなのだろう。
「炎系基礎魔法。《火球》」
一般的な基礎魔法だが、数が多い。
あわてて防御魔法を展開する。
「土系基礎魔法。《土壁》」
石畳の地面が盛り上がってくる。多少、帝都の美しい外観を汚すことになるが、魔法で発現されたものは一時的なものであって、すぐに修復されるはずだ。盛り上がった土壁が、火の球を防いだ。
毒でも使われたのか、帝都内には倒れている人が多数いた。帝国騎士も完全にマヒしてしまっている。今、動けるのは一部の魔術師だけだ。バートリーは土系最上位魔法の《魔力防壁》を展開している。そのため毒の影響を受けていない。
いいや。
毒なんかではない。
これはおそらく呪術の類だ。
(完全に、王国に先手を打たれた)
軽く下唇を噛んだ。
バートリーは、滅多に感情を表に出さない。面白いことは面白いと思うし、悲しいことは悲しいと思う。それを表に出すのが苦手なだけだ。こうして下唇を噛む行為は、ゆえに最大限の苦渋の表情だった。
孤児院。
バートリーが到着したころには虐殺が行われていた。呪術で動けなくなった子供たちのことを、王国騎士が容赦なく殺しているのだ。
敵国とはいえ今は停戦中だ。しかも、戦えない民間人を無闇に巻き込んではいけないという国際法まである。王国がやってることはムチャクチャだ。バートリーは大きな怒りにとらわれた。
「無為に人を殺すのはやめなさい」
そう声を発した。
子供に槍を突き立てていた紅色の騎士たちが、怪訝そうな顔をしてバートリーを見た。おそらくバートリーが動けていることに疑問を感じたのだろう。あるいはバートリーの子供じみた外見に当惑を覚えたのかもしれない。
バートリーは《魔力防壁》のために展開している魔法陣とは、別の魔法陣を展開する。
「水系上位魔法。《氷柱突き》」
バートリーの魔法陣から、ナイフのような大きさの氷柱が出てくる。それが王国騎士たちに襲いかかった。
「ぐわっ」
「うわっ」
と、王国騎士たちは悶絶する。
氷柱は騎士の甲冑を貫くことはできなかったが、鎧のつなぎ目な露出している部位に刺しこまれていた。
「よくもッ、我らが王国騎士をッ」
そう言うと、数人の青いローブを着た連中がわらわらと群がってきた。孤児院ではあまり戦いたくない。子供たちは無惨にも殺されているとはいえ、まだ助かっている人も数人はいるようだ。なかには、シスター・マリアや冒険者の姿も見受けられた。
今、生き残っている人たちに被害を出したくはない。
「こっちよ」
バートリーは孤児院の塀を飛び越えて、ストリートに跳びだした。石畳のストリートにも倒れている人たちがいたけれど、みんな殺されている。果物や、樽が散乱していた。
「無抵抗の人間に手を出すなんて、酷すぎる」
胸糞の悪い光景だ。
ガルシア魔法長官をはじめとする、帝国の大臣たちがつくりあげてきたものを踏みにじられたような屈辱もあった。
「これは王国に抵抗してきた帝国への鉄槌である。愚かなる帝国臣民に正義のさばきを下したまでのこと」
愚かな……。
バートリーが魔法陣を展開すると、王国魔術師たちも魔法陣を展開する。
「水系上位魔法。《氷柱突き》」
さきほどと同じ魔法を発する。
魔法を発動するときにその名前を言わなくちゃならない――なんてことはない。呪術の中には言葉を発する必要があるものもある。だが、魔法は無言でも発動する。それでも、こうして口に出す魔術師は少なくない。口に出したほうはちゃんと発動している感じがする。要するに、気持の問題だ。
「炎系基礎魔法。《炎の壁》」
王国魔術師たちの足元に展開された魔法陣からは、いくつもの火柱がたちのぼった。バートリーの氷が溶かされてゆく。
「ちッ」
素の舌打ちが出た。
基礎魔法とはいえ、思いのほか威力がある。これだけの戦力を整えているとは想定外だ。誰にも見つからずに奇襲をかけてきたのだから、即席の部隊か何かだと思っていた。逆だ。これは綿密に計画されたことなのだろう。
「炎系基礎魔法。《火球》」
一般的な基礎魔法だが、数が多い。
あわてて防御魔法を展開する。
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