《完結》異世界最強の魔神が見えるのはオレだけのようなので、Fランク冒険者だけど魔神のチカラを借りて無双します。
第27話「ガルシア・スプラウドの愛弟子」
「一度、バートリーと戦わせてみたいな」
今のところ、ガルシアが育てた魔術師のなかでは、もっとも優秀な人材だ。もっと魔法に長けた人間は、他にもたくさんいる。だが、16歳という若さが、バートリーを輝かせる。
まだまだ伸びしろがある。
育てがいがある。
強い者にこそ心を動かされるガルシアは、この幼い女弟子にたいしても恋心のようなものを抱いているぐらいだ。
最初に、出会ったころを思い出す。
出会ったというよりも、拾ったというほうが正確かもしれない。ガルシアは孤児院の視察に行った。子供が好きなわけではない。むしろ、嫌いだ。自分が子供を生むということも考えたことすらない。
言うことを聞かないからとか、ワガママだからとか――そういった理由で嫌ってるわけじゃない。
弱いからだ。
ガルシアの嫌悪の判断は、そこに尽きる。
じゃあ、なんで孤児院に行ったかというと、特別秀でた魔力を持った少女がいると聞いたからだ。
それが、3歳のバートリーだった。たしかに膨大な魔力を持っていた。育てれば化けるという直感に従って、バートリーを拾ったのだ。それ以来、魔術師として徹底的に育て上げてきた。
バートリーの表情にイッサイの変化がないのは、幼いころから魔法の特訓をさせすぎたからかもしれない。バートリーはあまりの魔力量に、悩まされることも多いようだ。バートリーが私と同じ年になったときには、私より優秀になっている。そういう確信が、ガルシアにはあった。
「ケネス・カートルドとやらと私が、戦うんですか?」
バートリーは無表情のまま首をかしげた。
「勝てると思うか?」
「私は闘技大会を見ていなかったので、わかりません。しかし、16だという情報があります」
「ああ。闘技大会の参加者名簿には、16歳と書かれていた。それが真実かどうかはわからんが、ちょうどバートリーぐらいの年齢だったことには違いない」
「冷静に考えれば、私が勝つでしょう」
「ほぉ」
その根拠はどこから来るのか――とガルシアは目で問いかける。
「16歳で最上位魔法を使えるのは今のところ、私だけです。帝国のその情報からかんがみれば、私より優秀だとは考えにくいかと」
情報の上でなら、たしかにそうだ。
そうだが、在野の巨人ということはある。
「私の見立てでは、私よりも強いかもしれん、と思っている」
「ありえません」
即答だ。
「ありえない。たしかにそうだ。だからこそ、これだけ人員を割いて、捜索させているのだ」
「1人に固執するのもどうかと思います。停戦中とはいえ、王国軍が何か企んでいる可能性はあります」
と、バートリーは冷静に忠告する。
「たしかにな」
固執しすぎている感はある。
それは重々承知している。帝国のために優秀な人材を確保したいという気持は4割。残り6割は、ガルシアの食指が動くからだ。
魔法長官という立場だ。
それぐらいのワガママは許される。
ガルシアは今まで自分より強い、魔術師を見たことがない。敵国でも何でも良いから、一度は見てみたいと思っている。
「捜索に人員を割いているので、警戒が薄くなっているかもしれんが、お前がいるだろう」
バートリーのスキル。
《探血》
血の臭いを嗅ぎ分けるのだ。その範囲は、この帝国ほぼ全域となっている。もし、殺人などが起これば即座に探知できる。
「私のスキルに頼りすぎるのも考えものです」
その時。
外で大きな爆発音がした。
「なんだ?」
あわてて窓辺に駆け寄る。帝都の町を眺望できる。城壁のほうから土煙が上がっているのが見えた。
『ガルシア魔法長官。聞こえますか?』
《通話》だ。
「どうした?」
『敵襲です。敵は王国軍と思われます』
「まさか!」
ここは帝都である。
常識的に考えて、こんなところまで王国軍がやってくるはずがない。国境警備隊だっているし、バートリーの《探血》だってあるのだ。しかし、眼下に見見える町並みからは、歴として土煙があがっている。
あの方向は、孤児院のほうだ。
「ガルシア魔法長官。私が様子を見てきます。あのあたりには――」
孤児院が心配なのだろう。
この表情のない愛弟子にも、心配するという感情はあるのだ。
「わかってる。その間に、魔術師部隊を編制する」
「はい」
バートリーは小走りで部屋を出て行った。
今のところ、ガルシアが育てた魔術師のなかでは、もっとも優秀な人材だ。もっと魔法に長けた人間は、他にもたくさんいる。だが、16歳という若さが、バートリーを輝かせる。
まだまだ伸びしろがある。
育てがいがある。
強い者にこそ心を動かされるガルシアは、この幼い女弟子にたいしても恋心のようなものを抱いているぐらいだ。
最初に、出会ったころを思い出す。
出会ったというよりも、拾ったというほうが正確かもしれない。ガルシアは孤児院の視察に行った。子供が好きなわけではない。むしろ、嫌いだ。自分が子供を生むということも考えたことすらない。
言うことを聞かないからとか、ワガママだからとか――そういった理由で嫌ってるわけじゃない。
弱いからだ。
ガルシアの嫌悪の判断は、そこに尽きる。
じゃあ、なんで孤児院に行ったかというと、特別秀でた魔力を持った少女がいると聞いたからだ。
それが、3歳のバートリーだった。たしかに膨大な魔力を持っていた。育てれば化けるという直感に従って、バートリーを拾ったのだ。それ以来、魔術師として徹底的に育て上げてきた。
バートリーの表情にイッサイの変化がないのは、幼いころから魔法の特訓をさせすぎたからかもしれない。バートリーはあまりの魔力量に、悩まされることも多いようだ。バートリーが私と同じ年になったときには、私より優秀になっている。そういう確信が、ガルシアにはあった。
「ケネス・カートルドとやらと私が、戦うんですか?」
バートリーは無表情のまま首をかしげた。
「勝てると思うか?」
「私は闘技大会を見ていなかったので、わかりません。しかし、16だという情報があります」
「ああ。闘技大会の参加者名簿には、16歳と書かれていた。それが真実かどうかはわからんが、ちょうどバートリーぐらいの年齢だったことには違いない」
「冷静に考えれば、私が勝つでしょう」
「ほぉ」
その根拠はどこから来るのか――とガルシアは目で問いかける。
「16歳で最上位魔法を使えるのは今のところ、私だけです。帝国のその情報からかんがみれば、私より優秀だとは考えにくいかと」
情報の上でなら、たしかにそうだ。
そうだが、在野の巨人ということはある。
「私の見立てでは、私よりも強いかもしれん、と思っている」
「ありえません」
即答だ。
「ありえない。たしかにそうだ。だからこそ、これだけ人員を割いて、捜索させているのだ」
「1人に固執するのもどうかと思います。停戦中とはいえ、王国軍が何か企んでいる可能性はあります」
と、バートリーは冷静に忠告する。
「たしかにな」
固執しすぎている感はある。
それは重々承知している。帝国のために優秀な人材を確保したいという気持は4割。残り6割は、ガルシアの食指が動くからだ。
魔法長官という立場だ。
それぐらいのワガママは許される。
ガルシアは今まで自分より強い、魔術師を見たことがない。敵国でも何でも良いから、一度は見てみたいと思っている。
「捜索に人員を割いているので、警戒が薄くなっているかもしれんが、お前がいるだろう」
バートリーのスキル。
《探血》
血の臭いを嗅ぎ分けるのだ。その範囲は、この帝国ほぼ全域となっている。もし、殺人などが起これば即座に探知できる。
「私のスキルに頼りすぎるのも考えものです」
その時。
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「なんだ?」
あわてて窓辺に駆け寄る。帝都の町を眺望できる。城壁のほうから土煙が上がっているのが見えた。
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《通話》だ。
「どうした?」
『敵襲です。敵は王国軍と思われます』
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