ダークエルフ姉妹と召喚人間

山鳥心士

VS騎士魔王ニルス


 北国ジュデッカ、王都グリシノゼルグ王城応接間。

 騎士魔王雪女族のニルスが語る、先代雪女族アリスの千年戦争の終幕を聞かされたイルザ一行は涙を零し、苦い顔をしていた。

 「これが余が知る真の千年戦争だ。記憶というのは否が応でも掠れ消えゆくもの。人間族の愚かさ、それに対する先代の憎しみは余でも計り知れぬ。余自信が見た訳でも無いがそれでも、人間族が行ったことは愚かなのは間違いない。余は余である。それ故に、先代アリスの様に人間族に牙を向けるほどの憎しみは持ち合わせておらんから安心するが良い」

 グレンはニルスの言葉を受けて、さらに胸を痛めた。自分とは関係ない人間の行った行為。それが魔族全員含め、世界にまで害を為した。自分がその人間族であるという事実に、罪を償うための魂だったということに、喉の奥が酸っぱくなるほどの嫌悪感を抱く。

 スミレもまた、耐え難い悲壮感に支配されていた。今聞いた話を忘れてしまいたいという気持ちと、そう思ってしまう自分の愚かさに。

 「人間族の住む大地が灰色の砂漠って聞いていた時点である程度は覚悟していましたが、まさか、まさか千年戦争がここまで凄惨な史実だとは思いもしませんでした」

 イルザは今まで知っていた千年戦争と事実とのあまりの差異に動揺を隠し切れない。魔族の起源が、人間という種族が、恐ろしく、手が震える。

 「そう気を落とすでない。少なくともジュデッカの民に真の千年戦争を知るものは居ない。余と余の直属の配下であるリスティア、そしてお主らしか知らぬことよ。リスティアですら立ち直るのに三日かけて泣き通したのだ。常人ならば即発狂ものよ、お主らは強い。今をしっかりと見るのだ」

 「ニルス様!?  三日泣き通しは盛りすぎかと!?  いや、確かに激しく気分は沈みましたけれど!」

 部屋に漂う静謐とした雰囲気に合わないツッコミを入れるリスティア。ニルスもニルスで「はて?」とわざとらしく惚けてみせる。

 「どちらにせよあまり気分が良くなるお話ではありませんでしたし、本日はお休みになってもらい明日にまたお話の続きを伺うとしましょう」

 咳払いと共にリスティアが仕切り直し、席を立とうとしたその時。

 「ニルス、様、は俺達が憎いとはなぜ思わないのですか?  世界に害を為した人間族ですよ?  先代の仇を討とうとか思わないのですか!?」

 グレンが怒声を上げる。まるで自分自身にその言葉を浴びせるように、また憎くないと断言したニルスに糾弾するように。

 「痴れ者め、先も申したであろう。余は余であり、語り聞かせたのは泡沫の記憶に過ぎん。無論、人間族は愚かだ。しかしだぞ? だからといって過去の人間族が愚かな行為を行い、今を生きるお主ら人間族も同じく愚かな種族だと余は思わぬ。先代の記憶は先代の主観にすぎん。余は余の意思で今を生きるまでよ」

 そう諭されるグレン。反論は無い。出来ない。魔王ニルスの考えが正しいと思ってしまった。それでも、腹の中に煮えたぎる行き場のない怒りが、グレンを止めることはできなかった。

 「ふ、ふざけるなよ・・・ッ! 納得できねぇ! どう考えたって人間族は生きる価値がねぇじゃあないか! お前の意思って何なんだよ! お前の! お前の―」

 「・・・もういい、これ以上話さないで」

 グレンの言葉を遮っていたのは、無表情を貫いていたエルザだった。グレンに向けられたその無表情は酷く、冷たい憐みを帯びていた。

 この場にいる人間族はグレンだけではない。

 青髪の少女、スミレも同じく人間族。

 グレンが発した言葉はそのままスミレにも突き刺さる。

 「――ッ! クソッ!!」

 自分自身が既に愚かな行為を行ってしまったことに酷く後悔する。

 「頭を冷やすがよい、リスティア、メイド長を呼び客室へ案内させよ」

 凛とした王たる威厳を保ちつつ、リスティアに指示を出す。千年戦争のことで頭がいっぱいの一行はこれ以上、意見を述べることは無く、案内されるがまま一人用の客室にそれぞれ案内された。

 ニルスの厚意で夕食は個々で食べることになり、客室専属メイドが料理を運んできた。赤い月が照らすグリシノゼルグ城は、赤と蒼が入り混じり、明るい若紫色の輝きを放つ。





 
 そして、闇がより深くなった夜。

 一応は冷静さを取り戻したグレンは、就寝前のトイレを済ませたが見事に迷子になっていた。

 (おいおい、勘弁してくれよ。むやみやたらと部屋を開けるのはマズい気がするしなぁ。というか、この城の中広すぎな上景色が変わり映えしなさすぎだろ)

 などと毒づきながら迷子のグレンは水晶の城を歩む。

 灯魔石があるとはいえ、城は薄暗い。足元を照らす程度の灯を手に、慎重に歩みを進めていたはずだったが、曲がり角でグレンの頭一つ分小さな何かにぶつかった。

 「―って・・・。あ・・・」

 ぶつかった何かに灯を照らすと、銀色の髪が薄く輝いた。目の前に鼻を押さえたエルザが立っていた。応接間でのこともあり少しだけ気まずい。かといって黙ったままにしておく方が余計に気まずく感じたグレンは口を開く。

 「お、おうエルザ。灯魔石も持たずに何してんだ?」

 鼻を擦りながら若干涙目のエルザ。強くぶつかった感じはしなかったが、エルザの方はそうでもなかったらしい。

 「・・・トイレ。部屋までの帰り道に迷ったの。灯は魔力切れになってしまったみたいだわ」

 「このタイミングで魔力切れだなんてツいてねぇな。という俺も道に迷ってたんだ。一緒に探すか」

 エルザは「ん」とだけ。この様子だと特に気にしてはなさそうで一安心した。エルザが来た方面は間違いの道なので、曲がらず真っ直ぐ進むことにした。

 いつも通りの無言。二人はただ薄闇を歩む。

 数分道に迷いに迷い、光が漏れている扉を見つけた。

 「誰かいるかもしれねぇな。案内をお願いするか」

 扉をノックすると陽気な声で「入ってこーい」と返事があった。聞き覚えのあるような無いような明るい声。扉を押し開けると四人の女性がいた。

 「ググググ、グレン君!? そ、それにエルザさんも!?」

 貴族然とした、シンプルだが上質なワンピース型の寝間着を着用したリスティア。長椅子から急に立ち上がり何故か慌てふためいている。その証拠に狐耳と尻尾が立っている。

 奥にはプラチナブロンドの眼鏡のメイド長。男性の様な涼しげな顔立ちをした黒髪の執事。何故か今回は女性であると直感した。

 そして、謁見の間と応接間では大きく印象を変える姿勢で長椅子に堂々と座る騎士魔王ニルス。

 「もう! 酔ってるからって確認もせずに入室を許可しないでよ!」

 「あははは! 気にするなティア、久しぶりなのだから楽しく遊ぶのだ!」

 ため息をつきながら頭を押さえるリスティア。

 「もしかして、入るのマズかったですかね?」

 「あ、い、いえ、グレン君たちに落ち度は無――」

 「おう、グレンじゃあないか、頭は冷えたか? 冷えてないなら勝負だ! 無論冷えていても勝負だ!」

 「ああぁ」と言葉を遮られたリスティアは何故か崩れ落ちた。

 (なんなんだこの部屋は・・・。というか喧嘩吹っ掛けられているのか!?)

 混沌としている長椅子とテーブルの部屋。卓上にはカードと酒が入ったグラスが置いてある。

 戸惑っていると、エルザが服を軽く引っ張って小声で囁いた。

 「・・・扉、閉められたみたい」

 「ッげ、クソっ。仕方ねぇ、その勝負乗るしかねぇみたいだな」

 わがだまりは無くもないが、ニルスは酔っている。適当に勝負を済ませれば部屋に帰してくれるだろう。

 「威厳もクソもないですね」

 真顔で主人に毒を吐いたメイドが居た気がするが聞かなかったことにしておこう。
 


 「それではディーラーは私わたくしハイドが務めさせていただきます」

 勝負内容はカードゲームの一種であるポーカーだった。カードゲームは初めてだと伝えると、ルールの説明と役のメモ書きを用意してくれた。単純なルールだったのでグレンとエルザはポーカーで遊ぶたたかうことにした。

 「あの、俺らこの国の通貨なんて持っていないのでチップがないのですが―」

 「チップなんてくだらないものいらないいらない。賭けるモノは身に付けている服ね、賭けた分だけ脱いでいく感じで」

 「ちょ、ちょっとニルス!?」

 「ああ、もちろんあたしらも同じ服を賭けるからねティア」

 満面の笑みを見せる魔王ニルス。さっきまでの「余」とか言葉遣いが随分と幼くなっている。それに釣られてか、リスティアも若干物腰が柔らかくなっている。

 「マジか」

 グレンの素の声がでた。

 「あー! つべこべうるさいティア! 魔王様の言うことは!」

 『絶対!』

 ニルスのコールに拳を突き上げて応える執事とメイド。

 (こいつら絶対楽しんでるだろ)

 「それでは、カードを配ります」

 第一ラウンドプリフロップ初期ベッド:四

 執事のハイドはカードをよくシャッフルし、一枚づつ裏面にしてカードを配る。それを二周。それぞれの手元には二枚のカード。

 
 グレンの手札
  クラブ:5
  ハート:3


 グレンの手札は何とも言えない手札だった。まだ第一ラウンド、この次に山札から三枚開示される。それを見てからでもいいだろう。

 ポーカーにもいくつかルールがあり、今回行っているのはプレイヤーが強い役で競い合うテキサスホールデムというルールらしい。

 プレイヤーは初めに裏面二枚のカードをディーラーから受け取り、次に全員が共通で使用できる表向けのカードを三枚並べられる。四枚、五枚と並べていき、最終的に最も強い役を持っていたプレイヤーが勝利することができる。もちろん途中でゲームを降りることができ、今回の脱衣ルールの場合、その時点で賭けられたチップの分だけ着用している分を脱ぐことになる。

 そして、ターン回しの順番はゲーム開始前にカードで決めていた。一番弱い数字を引いたものから時計回り、といった感じだ。そして一番弱いカードを引いたのはグレンだった。

 「チェック」

 グレンが様子見を決め込むと。

 「レイズ1」

 「リレイズ1で」

 「・・リリレイズ1」

 ニルス、リスティア、エルザの順で、何食わぬ顔でベッドを上乗せした。

 (マジかよ、俺以外の全員そんなに引きが良かったのか!? いや、これは心理戦か! 
手札が弱くても上乗せすることで威圧することができる。クソ、もっと早く気がつけばよかったぜ)

 危うく動揺が表情に現れそうになったグレンは、ポーカーフェイスを貫き通す。

 「よろしいですね? それでは」

 第二ラウンドフロップベッド合計:七

 ハイドは山札の一番上のカードを除外し、その次のカードから三枚、テーブルの中央に表向けて並べる。
 
 
 グレンの手札
  クラブ:5
  ハート:3


 場札
  クラブ:6
  スペード:K
  ダイア:9


 (ええいクソったれ! 全然揃う気配が無えじゃねぇか! こうなったら安全な今のうちに降りるか!?)

 「まさかとは思うが、“勝負を降りる”などという腑抜けたつまらんことをしてくれるなよ?」

 不敵な笑みを浮かべつつ、魔王の持つ巨大な魔力で退路を塞いだ。
 (腐って酔っぱらっても魔王、そう簡単には逃がしてくれないってか。ならッ!)

 「つまらない男じゃない証拠をみせてやるぜ魔王サマ」

 「ほう?」

 「レイズ! 2だ!」

 第一ラウンド終了時点でベッドは七。そしてグレンの上乗せで合計ベッドは九となった。

 「ふん、リレイズ1」

 「私もリリレイズ1で」

 「・・・チェック」

 (相変わらず魔王ニルスとリスティアさんは強気だな。エルザが様子見に入ったのは意外だったが。なに、最低でもワンペアかツーペアが完成すれば・・・)

 と、現状を分析していたグレンは一つ引っかかった。

 「もし、最終ラウンドまで全員降りずに勝負して負けた場合、誰が脱ぐんだ?」

 と、通常ルールなら賭けたチップを勝者が独り占めできるが、今回は勝者を決める、というよりは敗者を決めるに近い。負けた側のルールが曖昧だった。

 「答えは単純明快よ。敗者は勝者に平伏すの、つまり敗者全員合計ベッドの数だけ脱ぐのよ」

 「お願い、ニルス、勘弁してぇ」

 「・・・帰りたい」

 威風堂々とグレンへの回答を聞いたリスティアとエルザの二人は嘆き始めた。

 「ええい! 魔王様の言うことは!」

 『絶対!』

 そして騒がしくなると例のコールをかける魔王ニルスと配下二人。

 (あれ? これはどちらにしろ美味しい思いをするのでは? 俺以外女性しかいない、しかもとびきりの美女二人と美少女。俺が脱ぐことになっても・・・。いや、違う、そうじゃない。これは勝負なんだ。確実に勝たなければならない。魔王ニルスに勝って、その布を確実に剥いでやるからな)

 「よろしいですね?」

 第三ラウンドターンベッド合計:十

 ハイドは続けて山札から一枚、表向きで並べた。


 グレンの手札
  クラブ:5
  ハート:3

 場札
  クラブ:6
  スペード:K
  ダイア:9
  ダイア:8


 (あっ、負けたわ俺。無理じゃん、ツーペアどころかワンペアすら出来上がらなかったぞチクショウ! 何となくは察していたわ、都合よく勝てるわけがない)

 「先はああ言ったが、グレン。お主だけ別に“勝負に降りても”構わないわよ?」

 酔っているせいでキャラがブレブレの魔王ニルス。だが、魔力による威圧は変わらない。そして「え、私は!?」という視線を送るリスティア。

 (リスティアさんのあの様子なら俺と役の強さは変わりなさそうだな。問題は魔王ニルス。このタイミングで挑発・・・。無駄に挑発するということは、自分の力を大きく見せたいということ。ならば)

 「そんな見え透いた挑発に乗ると思うか? レイズ1だ」

 「後悔しても知らぬぞ、リレイズ2」

 ベッドを終えたニルスは高らかに笑い声を上げる。

 「リリレイズ1・・・」

 完全に戦意喪失しているリスティア。先程までのポーカーフェイスは見事に崩れている。

 (頑張れリスティアさん、敵だけど! ていうか負けそうなら上乗せしなくていいのでは? 俺が言うのもなんだけど)

 「・・・チェック」

 ポーカーフェイスを徹底しているエルザ。

 (さすがはエルザというところか、何考えてんのかさっぱりわからねー。様子見を繰り返してるが、強い役が揃いそうなのか、あるいは適当に遊んでいるのか・・・。ええい! そんなこと考えても意味がない。 揃う確率が高い役はワンペア、そして一発逆転のストレート。ワンペアじゃあ太刀打ちできない。来い! 何でもいいから7よ! 来い!)

 「それでは次が最後です」

 第四ラウンドリバーベッド合計:十四

 山札から最後の一枚がテーブルへ。

 (来い!)

 
  グレンの手札
   クラブ:5
   ハート:3


 場札
   クラブ:6
   スペード:K
   ダイア:9
   ダイア:8
   ダイア:7


 (っしゃおらぁぁぁ! ストレートの完成だ! 奇跡だ! 他の奴らは出来たとしても精々スリーカード程度だろうよ! 美女美少女パラダイスだぜへへへ)

 自身の勝利を確信したグレンは歓喜に満ちていた。そして、その自信は声に変わる。

 「レイズ2だ!!」

 「随分と自信がありそうだなグレンよ。そうだな、ハイド、この国で局部を露出した男性の処分について教えてやるがよい」

 (今更脅したって無駄無駄。俺はこの手札勝つんだよ)

 「はい、我が国ジュデッカにおいて男性が局部を露出した場合、性器の切断が認められております」

 「嘘だろ・・・!? 後だしにも程があるだろ!」

 「それがあたしの国の法律ルールよ。ほれ、リレイズ2。次のコールで降りることを勧めるわ」

 とんでもない脅しを喰らってしまった。念のためもう一度手持ちの役を確認する。ストレートが完成しているのは変わりない。問題は無いはずだと、グレンは自覚のない動揺のあまり息を呑む。

 「私はチェックでお願いします」

 リスティアは様子見、そしてこの回最後のコール。エルザが取った行動は意外なものだった。

 「・・・ハイドさん、全賭けは可能ですか?」

 (は?? エルザさん、あなたは、何を、言って、いるの、ですか?)

 「え、ええっと、通常のポーカーであれば可能ですが、今回の脱衣ルールの場合どうなるのでしょう」

 執事のハイドは突然の問いかけに困惑しながら、魔王ニルスに視線を送る。

 「ええい! 全賭けなぞ認められるか!」

 「とのことです」

 魔王ニルスも予想外だったのか、エルザの全賭けは不適用となった。しかし、まだまだエルザのターンは続く。

 「・・・そう。なら、リレイズ100」

 そんな馬鹿な! と各々、悲鳴を上げる。パンが無ければケーキを食べればいいじゃない的なノリで全賭けと変わらない数字をだしたエルザ。寝間着姿で小物含めて百点も身に付けているものはこの場にいない。実質、敗北は全裸である。

 「ちょ、ちょっと待てエルザ! 負けたら全裸だぞ!? 俺のアレがチョンパされるんだぞ!? 正気か!?」

 「・・・うん、大丈夫」

 いつもの親指を上げたグーサイン。

 (いやいやいやいや、大丈夫、じゃねぇよ! 仮に俺が勝ってもエルザが全裸になる。そのことを分かっているのか? まさか、かなり強い役が揃っているのか?)

 静観を決め込んでいたはずのエルザによるテロ。しばらくの間、遊戯室に静寂が訪れる。

 (ベッド数が全裸確定になってしまった以上、俺のターンで勝負を仕掛けるしかないか。ここにきて神頼みっていうのは皮肉も皮肉だ)

 「グレン様、いかがなさいますか?」

 ディーラーとしてハイドはグレンに行動を促した。

 「コールしかねぇだろ、ショーダウンだ」

 諦め半分、グレンは勝負に出た。手札を開示し、ストレートが完成していることをプレイヤーに見せつけた。

 「おお! 初めてのプレイでストレートを完成させるなんて凄いですね!」

 ハイドが称賛を送る。

 (そんな褒め言葉なんてどうだっていい。次に開示するニルスの役、リスティアさんはまぁアレとして、ニルスに勝ったとしても何を企んでるのか一切不明なエルザが重要だ。)

 「くっ、まさかストレートを完成させておったとは・・・」


  ニルスの手札
   クラブ:K
   ハート:K
    役:スリーカード


 苦い顔をする魔王ニルス、現段階の勝者はグレンとなった。

 (よし! 第一の壁は突破したぞ!)

 「ううう・・・」

 完全に涙目のリスティア。手札を見るまでもなく、結果が見えている。


  リスティアの手札
   クラブ:J
   ハート:6
    役:ワンペア


 (リスティアさんが序盤で強気だったのは既にワンペアが出来ていたからか・・・。もしかして、この手のゲームは苦手なのか? でも、しっかりとその御姿を目に焼き付けますよ!)

 心の中でガッツポーズとグーサインをリスティアに送るグレン。確定した羞恥に耐えきれないのか、顔を赤くして手で隠している。

 そして大波乱を呼ぶであろう最後の砦、エルザの手札が開示される。

 (頼む、アレをチョンパされるのは嫌だチョンパされるのは嫌だチョンパされるのは嫌だ)

 グレンはただただ祈る。男の尊厳アレを守るために。



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