ダークエルフ姉妹と召喚人間
甘い吐息と泡
「ふふっ、素敵よ。動かないでスミレ・・・。ここが一番気持ちいいの?」
「ッ・・・はい・・・ですっ・・・。気持ちいい・・・です」
温泉から立ち上る湯気に乙女の吐息が交じる。
「・・・姉さんばかりズルイ。スミレ、こっちは気持ちいい?」
「ッッッ・・・!  少し、くすぐったい・・・です」
エルザの指先が未熟なスミレの柔肌を上から下へ、ゆっくりと滑らかになぞる。
「ひゃんっ!  エルザさん・・・もっと優しく・・・です」
「・・・可愛い。下も、してあげる。」
腰から更に下の方へ指を滑らす。絹のように滑らかで、弾力のある白い肌はオグリの実のように甘い味がするだろう。
指を滑らすほど、スミレの息は荒くなる。
「私、こういうの・・・初めて・・・です」
「大丈夫よ、エルザで慣れてるから。ほら、目を瞑って」
スミレのサファイアのように透き通った青髪を撫でる。
そしてイルザは桶いっぱいにお湯を汲み、泡にまみれた頭部に一気にかけ流す。
「はい、頭は終わりっ!  どうだった?  私のヘッドマッサージは」
「とても気持ちよかっ・・・ンンッ!」
「・・・こっちはまだ終わってない。ほら、最後は足の裏」
エルザはスミレの小さな足を指の隙間まで丁寧に、指先で洗う。
「あ、あひは・・・い、いちばん、だめ、なんでひゅ・・・」
一番弱い足裏を泡によって摩擦力が無くなった指先で洗われると、この上なくくすぐったい。スミレは身体をくねらせて必死に抵抗するが、何故かイルザがスミレの身体を抱きしめるように押さえつけて反応を楽しんでいた。
「・・・終わり。後は泡を流すだけ」
スミレは戦いを終えた兵士のように息を切らしていた。
お湯を張った桶を持ってきたエルザは、うなじから丁寧にお湯をかけてスミレの泡を流した。
「エルザの体の洗い方、くすぐったいのよねぇ。初めてだとなおさらかも」
イルザはすっかり放心状態のスミレを見て苦笑いした。反応が面白くてやり過ぎたと少し反省している。
「・・・じゃあ、久しぶりに姉さんの身体も洗ってあげる」
「あ、コラ!  やめ、んッ」
エルザは後から泡だらけの手を伸ばし、イルザの腰のくびれを掴んだ。
褐色の肌が重なり合う。
くびれ部分にあった手はイルザの胸部へ伸び、柔らかな果実をそっともぎり取るように、手のひらで泡をいっぱいにする。
「・・・やっぱり大きさでは姉さんには敵わないわ」
「ダメッ!  やめなさい、エルザッ」
放心状態から戻ってきたスミレは、美女が目の前で甘い息を吐きながら茨のように絡み合う姿を見て赤面する。
「こ、これが大人の女性なのですね・・・」
「ッッ・・・違うのスミレ!  ッコラ、エルザ、いい加減辞めなさぁぁぁいぃぃ!!」
一悶着を終え、三人はお風呂に浸かっていた。
イルザの家の風呂は天然温泉が湧き出しており、24時間いつでも温泉を楽しむことが出来る。
「お家に温泉があるなんて凄いです」
体の芯まで温まるちょうどいい湯加減。スミレはリラックスした表情で率直な感想を述べた。
「亡くなった母が言うには、温泉が湧いていたのを見つけたからここに家を建てることにしたのだそうよ。おかげでお肌はすべすべよ」
イルザは白く濁ったお湯の中で、ぐーっと伸びをする。戦いの疲れが一気に吹き飛ぶようだった。
「イルザさん、エルザさんのお母さん・・・」
「ああ、ごめん。特に深い意味は無いから気にしないで!」
母が亡くなってから、いないのが当たり前。になってしまっているので、会話で気を使うことを忘れていた。
もちろん、母を忘れているという訳では無い。後ろ向きにならないように心掛けているからこそ、自然と会話できるのである。
「いえ、イルザさんの心の中にしっかりと生きているのだと感じたです」
それを聞いたエルザは微笑んでいた。自分が話したことがきちんとスミレの心に届いているのがわかり、嬉しかった。
その様子を見たイルザは察した。
「エルザから聞いたのね。そう、もう母は居ないけど、私の心の中で生きてる。私が笑ったり、悲しんだりしているのを全部見守ってくれているんだって思ってるのよ。変・・・かな?」
イルザは小恥ずかしそうに頬をかく。
「とても、とっても、素敵なことだと思うです。だから今のイルザさんが在るのだと思うです」
正直に、素直に、心から思い、言葉が出た。きっと亡くなったイルザの母の心も救われている。そう思った。
「ありがと、スミレ」
イルザはスミレを抱き寄せた、互いに肌の温もりを感じ心が温まる。
「・・・本当の姉妹みたいね」
「私は本当の姉だと思ってるわよ、ほらエルザもおいで」
イルザはエルザを引き寄せて、二人を強く抱きしめる。
「あなた達は私の大切な妹。これから先、何がなんでも守ってあげるんだから」
「・・・うん」
「はいです」
イルザの温もりは体だけでなく心まで伝わった。三人の絆は深まっていったのであった。
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