神聖具と厄災の力を持つ怪物

志野 夕刻

九十二





 「何!?」ミレイは思わず顔をガードする。
 皆も同様の反応だ。



 暫くして、闇の嵐が止んだ。すると五人は、ウロボロスが何処にいるか、辺りを見回す。

 「どこよ!」
 「もしかして、上か!?」
 シングがそう仰ぎ見ると、上空高くにウロボロスがいた。
 口からは、黒くて丸いエネルギーのようなのが発生していた。

 ヴェルストは、舌打ちをすると。
 「何だぁ、あれは?」
 その言葉にミレイは答える。
 「あれは、厄災の力よ!」
 ミレイには何故か分かったのだった。
 「気を付けなさい! ヴェルスト、頼んだわ!」

 「仕方ねぇ······」

 その時、ウロボロスは口から黒いエネルギーを放った。
 五人のいる地上に向かっていき、次の瞬間。
 着弾して、辺りを、爆発するように消し飛ばしていく。


 地上に五人の姿はなかった。
 その面々の姿は、上空高くにあった。
 「助かったのですぅ~」
 リアの声は震えている。

 「オレの飛行魔法がなけりぁ、消し炭だからな。感謝しやがれ」
 どうやら、ヴェルストの飛行魔法でかわせたらしい。
 ミレイは簡単に感謝を述べる。
 「はいはい、分かってるわよ。それより、引き続きヴェルストには魔法で空中移動を任せるわ! リアはサポートを、アイリスは、ウロボロスが無効化してくるのを光で照らし、実体に戻して!」

 「二人は?」アイリスは質問する。

 「決まってるじゃない! 前で戦うわ!」
 そこで、ミレイとシングは目配せし、微かに笑う。
 「あたし達で!」
 「僕達が!」


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