神聖具と厄災の力を持つ怪物

志野 夕刻

八十四





 帝国警備兵が上げた声で、沢山、他の兵士が集まってきた。

 「まずいわね」
 ミレイは苦笑いを浮かべる。
 「うん······。皆、突破しよう!」
 シングの言葉を合図に、五人は戦闘態勢に入る。

 帝国警備兵達は、斬りかかってきた。



 ミレイ達は、あらかた倒していく。すると、城内に入っていった。

 「ここが帝国の城内······なのですか~。凄い豪奢なのですよ」
 「リア、無駄話はそこら辺にして、行くわよ」
 ミレイは、リアを促した。
 「はいなのです~」

 五人は走り出す。
 「それでミレイ、何処に行く?」
 「決まってるじゃない、あんた。皇帝のところよ」

 皇帝の間に向かう中、帝国兵が出てきて斬りかかってこようとする。
 「やあっ!」
 ミレイは、問答無用に大斧で切り伏せていくが。



 「ここね」
 「うん、開けよう」
 ミレイとシングは大扉を開いていく。
 ギィィィィィィ······。
 やがて、扉が開かれた時。

 そこにあったのは。

 帝国兵士達だけだった。
 「なっ!? 逃げたわね」
 「仕方無いね。違う所を探そう」
 シングの言葉にヴェルストが声を発する。
 「おい、そんな事しなくても方法はあるだろうが? あいつらに聞けば良い」
 ヴェルストは、言い終わると同時に素早く駆け出した。
 「まさかお前らが侵入者······」

 ヴェルストは即座に、上段蹴りを喰らわし吹っ飛ばす。続けてダガーナイフを両手に持って、鎧の隙間、首を狙って切りつけた。
 他の帝国兵も同様に屠る。

 程無く、皇帝の間の帝国兵を倒し終えると、最初に蹴り飛ばした兵士に近づいていった。

 「おい、聞きてえ事がある。目を覚ませ」ヴェルストは、帝国兵を軽く蹴る。

 すると。

 「うぅ······」
 帝国兵士は目を開けた。
 「おい、時間がねえんだ。さっさと話しやがれ」
 ヴェルストは、首にナイフを突き付ける。
 「ひっ! 分かった、話すから命は助けてくれ」
 「お前らが、最後のディザスターを復活させようとしてんのは知ってんだ。儀式をしてる場所を話せ」

 「それは俺も知らない。只、ある扉には近付くなと言われてる。それが関係してるかも」
 「その扉は何処だ? 言え」
 「その扉は······」
 帝国兵士は、場所を話していく。



 「だ、みてえだ」
 
 「一階だと、かなり遠いね。間に合うかどうか」
 シングの言葉に、ミレイは不適な笑みを見せる。
 「そんなの簡単じゃない」
 「どうするの、ミレイ?」

 「遠いなら、近道を造れば良いだけよ。リア、後ろからあたしに掴まって!」
 「はいなのです! でも何をするのです?」
 「決まってるじゃない!」
 ミレイは断罪の大斧を上へ振り上げていく。

 「まさか······」
 シングは苦い表情を浮かべる。

 「そのまさかよ!」
 ミレイは、渾身の力で大斧を振り下ろし、床に叩き付ける。
 五人の足元の床に、亀裂が入っていき、盛大に砕かれたのだった。

 ミレイ達は、下の階に落ちていった。


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