神聖具と厄災の力を持つ怪物

志野 夕刻

六十七





 アジ・ダハーカの眼の色が変わると、広範囲の魔法陣が展開され輝いた。

 すると、魔方陣の範囲にいた者達の動きが止まる。
 勿論、ミレイ達もだった。
 まるで、時が止まったみたいだ。


 ◇


 ミレイはいつの間にか、距離感も分からないような漆黒の空間にいた。

 「どこよ······ここ?」
 ミレイは辺りを、見渡す。次に暫く考えるが、程無くして歩きだした。
 「まっ、考えてても仕方ないわね」

 それから少しして。

 幾ら歩いても何もない。あるのは、この黒い空間だけだった。
 「一体、何なのよ、ここは? ······んっ?」
 ミレイは、何かを見据える。遠くに何かの人影があったのだ。


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