魔王から領主にジョブチェンジ!? ~ダンジョンから始める領地経営~

一条おかゆ

第24話 領主、ステータスを隠蔽する


 そして、一方その頃。
 当のダイーオの領主キマドリウスは、領主の部屋にて……

「『ステータス鑑定!』」

 ――――――――――

【名前】キマドリウス
【種族】悪魔
【現職業】領主LV3
【個人LV】2

【職歴】
 ・魔王軍兵卒LV10 
 ・魔王軍指揮官LV10 
 ・雑貨屋LV2
 ・魔王軍幹部LV10
 ・四天王LV10
 ・魔王LV10

【職業スキル】
 ・『ステータス鑑定』
 ・『ステータス隠蔽』

【個人スキル】
 ・『全属性魔術』
 ・『魔法究極強化』
 ・『魔法鑑定』
 ・『魔導具鑑定』
 ・『軍団指揮』
 ・『形態変化』
 ・『ダンジョンの主』

 ――――――――――

「おぉ! 領主レベルが上がっている! し、しかもこのスキルは……!」

 彼のステータスの、職業スキルに堂々と浮かぶ『ステータス隠蔽』の文字。
 この七文字が彼の心を何よりも喜ばせる。

 おそらく、最近素性を隠そうとする機会があったから得られたのだろう。
 マッキーやマッキーや……マッキーの事だ。

 しかし、これがあれば『ステータス鑑定』を持った人間、例えば他の領地の領主や鑑定士とも、人間として話し合うことが出来る。
 彼としては、このスキルを得られたのはでかい。

「よっし! これで俺は人間だーー!!」

 キマドリウスは両手を上げて喜ぶ。
 だが、

「その言い方だと『早く人間になりたい』と思ってた時期があるのですね、妖怪人間領主様」

 アオイがどこからともなく現れた。

「アオイさん!? なんでいつもそんな急に現れるの!?」

「これでもニンジャの末裔ですからね」

「二、ニンジャ?」

「私の国での間者の名称です」

「へー。アオイさんは間者の一族なの?」

「……嘘です」

「へー……って嘘なの!!?」

「はい」

 真面目な顔で嘘をつくアオイ。
 それにはキマドリウスも「ははは……」と乾いた笑いが出てしまう。

「はは……それで何の用なの?」

「前回の商人さんがダンジョンの周辺に来ていらっしゃるようなので、お呼びいたしました」

「そういう事ね、すぐ行くよ」

 キマドリウスとアオイは部屋から出て、屋敷の外へと向かった。
 そして屋敷の馬小屋の前で、

「馬車まで用意してくれたんだ、手際が良いな」

「時間がありましたからね。本当はいつも用意したいんですけど……」

「ごめん。俺が一人で勝手に出ていくからだよね」

 キマドリウスは素直に謝る。

「別にいいですよ。仕事量が減りますから」

「いや!? それ俺の前で言っちゃダメでしょ!?」

「大して仕事もせずに書斎で叫ぶ人には言ってもいいんですよ」

「うぐっ!」

「はぁ……変なリアクションしてないで早く行きますよ」

「ま、待って!!」

 そんな話をしながらも、二人は馬車へと乗り込んだ。

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