お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

緊張






 「よし。まゆ、行こうか」
 「うん。じゃあ、春香ちゃん、ゆいちゃん、少しだけりょうちゃん借りるね」
 「はーい」
 「まゆちゃん、りょうちゃん、寄り道しないで帰ってきてよ」

 まゆと手を繋いでアパートを出ようとすると春香に釘を刺された。春香にわかった。と返事をして僕はまゆと手を繋いでアパートを出る。

 「春香ちゃんとゆいちゃんも一緒にこればよかったのにね」
 「うーん。立場的にちょっと遠慮してるのかもね…」

 今から、まゆのご実家に新年のご挨拶に伺う。春香とゆいちゃんも一緒に。と、まゆのお母さんから言われていたが、春香もゆいちゃんもちょっと不安そうな表情だったので僕とまゆの2人で行くことにした。

 彼氏である僕の実家に行くのとは違い、同じ彼女という立場のまゆの実家に行くのは心情が違うのだろう。まゆが春香の実家に行く時もちょっと不安を感じていたから、まゆも春香とゆいちゃんの気持ちはわかるだろう。でも、まゆのお母さんの性格を考えると春香とゆいちゃんも笑顔で迎え入れてもらえるとまゆは思っているからこういうのだろう。

 「まあ、また別の機会に春香とゆいちゃんはご紹介させてよ」
 「うん。そうだね」

 まゆとそんなやり取りをしながらまゆの車でまゆのご実家に向かう。田舎のお正月は外で凧を飛ばしていたり羽付きをしていたりお餅つきをしていたりしていて風流がある。まゆとせっかくの新年だから何かしたいよね。という話をしながら何度もまゆと2人で通ったことがある道をまゆの車で通り、まゆのご実家の駐車場にまゆの車を停める。

 「なんか緊張してきた…」 
 「えー、りょうちゃん、何言ってんの?いい加減慣れてよ」

 まゆは笑いながら言うけど、彼女のご実家で彼女のご両親に挨拶なんてかなり緊張するからね。もう、心臓バクバクだよ。

 「ほら、行くよ。手、繋いであげるから…」
 「うん。ありがとう」

 まゆと手を繋いで心を落ち着かせるために一度深く深呼吸をする。

 「準備できた?」
 「うん。ありがとう」

 まゆに答えた後、まゆと手を繋いでまゆのご実家の玄関に向かって歩いてまゆのご実家のインターホンを鳴らす。インターホンを鳴らした後、誰かが出てくるよりも前にまゆはさっさと扉を開けてまゆのご実家に入って行く。インターホン鳴らした意味ある?と思いながらただいま。と言って玄関に入るまゆに手を引っ張られてお邪魔します。と言いながらまゆのご実家に入った。







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