お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
来年の…
 「今年一年あっという間だったね…」
 大晦日の夜、年越し蕎麦をのんびりと食べながら春香が呟く。本当に、あっという間だった。これだけあっという間に過ぎ去ってしまった1年は今までになかったと思う。
 「今思えばなかなか強引だったよね…私たちが一緒に暮らすの……」
 今年が始まって割とすぐに決まった春香との同居…たしかに、普通に考えればかなり強引だったと思う。それだけ、お互いの両親が僕と春香のことを認めてくれていたのだと思う。僕たちまだ付き合ってすらいなかったのに…笑
 「春香ちゃんがりょうくんと一緒に暮らしてなかったら私たちどうなってたんだろうね」
 僕の膝に頭を乗せてのんびりしていたゆいちゃんが言う。たしかに、どうなってたんだろ。少なくとも、今みたいに4人で一緒にいることはなかった気がする。
 「春香ちゃんがりょうちゃんと一緒に暮らしてなかったらまゆがりょうちゃんを独り占めしてたかもねぇ」
 「えー、まゆちゃんじゃなくて私です。りょうくんはきっと私にメロメロになってたよね?」
 「一緒に暮らしてなくてもりょうちゃんは絶対渡さなかったもん…」
 まゆとゆいちゃんが春香を煽るようなこと言うからちょっとムキになってしまった春香かわいい。そんな春香の頭を撫でてあげながら一年を振り返る。
 春香と一緒に暮らして、春香とまゆと付き合って、合宿とか旅行とかコンクールとかいろいろあって、ゆいちゃんとも付き合うことになって、学園祭とかいろいろなイベントがあった。すごく楽しくて、本当にあっという間に時間は過ぎていった。きっと、来年も、再来年もそれより先の未来もずっと、あっという間に4人の時間は過ぎて行く。今より幸せになったら、きっと、もっともっと時間が経つのはあっという間に感じてしまうのだろうな。
 春香とまゆとゆいちゃんと、4人で今年一年のアルバムを見ながら盛り上がった。今年一年のアルバムは、今までの人生のアルバムよりも分厚く、いろいろな笑顔で溢れていた。いっぱい笑っていっぱい泣いて、いっぱい思い出を作った。
 「来年もいっぱいいろんな思い出を作りたいね」
 僕がそう言うと春香もまゆもゆいちゃんも黙って頷いてくれた。
 「ねえ、もうすぐ年変わっちゃうからさ、その前に来年の目標と来年4人でしたいことを1人ずつ話さない?」
 大晦日の23時半、あと数十分で年が変わるタイミングで、まゆはアルバムを閉じて提案する。
 反対意見が出なかったので、せっかくだから各々の来年の目標と来年4人で作りたい思い出を話すことにした。
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