お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

前哨戦






 12月も終盤に差し掛かり、世はクリスマスシーズンを迎えていた。

 「もうすぐクリスマスだね」
 「そうだね」

 バイトが終わり、クリスマスムードに飾り付けられたショッピングセンターの中をまゆと手を繋いで歩く。

 「サンタさん来てくれるかなぁ」
 「まゆはすごくいい子だから、サンタさん来てくれるかもね。ちなみに、何かサンタさんにプレゼントお願いしてみてよ」

 彼女がいる状態で迎えるクリスマスは初めてだから、なんかいつものクリスマスより特別な感じがする。せっかくだから、普段、良くしてもらっている春香とまゆとゆいちゃんにクリスマスプレゼントという形でお返しをしたい。

 そう思って、前々から春香とまゆとゆいちゃんにクリスマスプレゼントは何がいいか探りを入れているのだが…

 「まゆはね。クリスマスにりょうちゃんと一緒にいられればいいよ。それだけでまゆはすごく幸せ。りょうちゃんと春香ちゃんとゆいちゃん、4人でクリスマス一緒にいたいなぁ…」

 まゆだけでなく、春香とゆいちゃんも全く同じような返事をしてきた。まるで、事前にこう答えよう。って決めていたのか。と思ってしまうくらい、春香とまゆとゆいちゃんの回答は一致していた。

 「もちろん、クリスマスの日も一緒にいようね。でもさ、ほら。一緒にいる以外に何か欲しいものとかないの?」
 「えーないよ。りょうちゃんと春香ちゃんとゆいちゃんと一緒にいられればあとは何も望まないから」

 春香とゆいちゃんと全く同じ返事をするまゆを見て、やはりあらかじめこう答えると決めていたことを確信した。では、何のためにみんなはこのようなことをしてくるのか。なんとなく、深く考えない方がいい気がしたのでこのことについては考えるのをやめて、春香とまゆとゆいちゃんへのクリスマスプレゼントは頑張って選びました。







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