お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

幸せと余計な心配





 「りょうくん、まゆちゃん、おかえりなさい」

 帰るとゆいちゃんが笑顔で出迎えてくれる。幸せだわぁ。

 「ゆいちゃん、ただいま」
 「夜ご飯もうすぐできるから待っててね」
 「うん。ありがとう」
 「あ、まゆも手伝うよ」

 台所に戻ろうとするゆいちゃんの後をまゆは慌てて追いかける。ゆいちゃんが少し休んでていいですよ。というが、まゆはゆいちゃんについて行く。僕も何もしないのは申し訳ないので、食器を用意したりするくらいだけどお手伝いをする。

 「さ、じゃあ…食べようか……」

 春香とゆいちゃんが主体で作ってくれた夜ご飯を運び終わり春香がエプロンを外したので4人で手を合わせて夜ご飯をいただく。夜ご飯を食べながら、今日の部活の練習はどうだったかとか、つぎの休みの日は何をするかとか楽しい話をいっぱいする。

 「ねえねえ、次の休みの日はさ、4人でデートに行かない?」
 「いいけど、まゆはどこか行きたい場所あるの?」
 「うーん。行きたい場所とかは特にないんだけどさ、これから定期演奏会の練習も本格化するし、アンサンブルコンテストの練習も休日に入ったりするじゃん。だから、忙しくなる前にデートしたいの」

 たしかに、これから先定期演奏会の練習やアンサンブルコンテストの練習が忙しくなる。それに加えて後期の学年末試験やレポート提出などもあるから余裕がなくなってしまうだろう。今のうちにみんなで楽しくデートしておくのもありだな。ていうか、普通にデートしたい。

 次の休日のデートは何をするか、4人でいろいろと話し合いながらデートプランを立てる。デートを実際にする時も幸せだけど、こうやってデートで何をするのか話し合う時間もすごく楽しくて、すごく幸せだ。

 たまに意見が割れてちょっとだけ揉めたりすることもあるけど、結局はじゃんけんが行われて、じゃんけんが終われば勝っても負けても楽しみだね。と言ってくれる3人のことが本当に大好きだ。

 デートプランを決めた過程やデートプランがどうであっても、結局は4人でいられれば幸せだということを僕たち4人は知っているからこうやって自分の希望が通らなくてもまあ、いっか。と笑って楽しみだ。と言えるのだろう。春香もまゆもゆいちゃんも本当に幸せそうにしてくれるから僕も幸せになれる。

 きっと、この幸せは、今まであったさまざまな困難を4人で乗り越えてきたから得られたものだろう。4人で助けたって、幸せになれた。僕たち4人は…4人で助け合ってきた。そう思った時、じゃあ、りっちゃんさんはどうなんだ。と思ってしまった。りっちゃんさんが陽菜のことを本当に好きなことは知っている。でも、好き。と思い続けているだけでは、本当に幸せにはなれないのではないか。そんなことを考えてしまう。余計なお世話だと思うけど、りっちゃんさんは…本当に幸せなのだろうか。と思ってしまった自分が嫌になる。あんなに幸せそうなりっちゃんさんをずっと見ているのに、それを疑うなんて我ながらどうかしている。そう思った。





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