お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

静かな時間





 キスをした後、まゆの表情を見つめてしまう。まゆも、僕を見つめていて、お互いに目があって、お互いに顔を真っ赤にする。

 「え、えっと…そろそろ車戻ろう。りょうちゃん、風邪ひいちゃうといけないし…」
 「そ、そうだね…」

 ちょっとだけ照れくさくなってお互いに目線を外した。まゆの顔をまともに見られないくらいドキドキしていて、なんか、まゆといつもより少しだけ距離が空いている気がした。

 それでも、まゆはそっと僕と手を繋ごうと手を伸ばしてくるが、恥ずかしいのか、まゆは手を引っ込めてしまう。それを見てかわいい。と思いながらまゆの手をそっと握る。

 お互い無言のまま温かい手をぎゅっと握りあって車まで戻って車に乗る。

 「りょうちゃん、これ…ありがとう。りょうちゃんの手みたいに温かかったよ」
 「う、うん……」

 そんなこと言われるとますます照れくさくなってしまう。まゆから上着を受け取って、また照れくさくなって無言になってしまうとまゆに笑われてしまった。

 「りょうちゃん、なんか喋ってよ」
 「えぇ……」

 まともに頭が働いてないのに、無茶振りやめてよ。何話せばいいの?今から僕がどれくらいまゆを愛しているか語ってまゆの顔を真っ赤にしてやろうか?笑

 「えっと…春香とゆいちゃん、今頃何してるかな…」

 まゆをどれだけ愛しているかを語ったら僕の顔も真っ赤になってしまうので、別の話題を提供すると、まゆにこういう時にそういう話する?と、少しだけ不満そうな表情をされた。たしかに、せっかくの2人きりの時間だから…ちょっと反省。

 「ゆいちゃんはまだバイトでしょ。春香ちゃんは今頃ゆいちゃんと食べる夜ご飯の支度してるんじゃない?」

 不満そうにしながらもまゆは笑顔を見せながら答えてくれた。2人きりの時間…とか言いながらもなんだかんだで4人でのことを大切にしてくれていることがわかってなんか嬉しかった。

 そして、春香やゆいちゃんの話をしていると、先程のような気まずさは消えて僕もまゆも笑顔でいろいろ話すことができて移動中は楽しかった。たぶん、キスをした後のドキドキの他に、少しだけ、春香とゆいちゃんに申し訳ない気持ちがお互いにあったのかもしれない。

 春香とゆいちゃんの夜ご飯なんだろうね。とか話していると次の目的地に到着した。まゆがずっと行きたい。と言っていたレストランでディナーをする。

 ゆっくり夜ご飯を楽しんだ後、レストランを出てからまゆの様子がおかしかった。なんていうか、ちょっともじもじした感じで…

 「りょうちゃん、今からまゆの行きたい場所に来てくれない?」

 と聞いてきた。断る理由がなかったので、僕は当たり前のようにいいよ。と答えた。







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