お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

特別な日





 「りょうちゃん、お待たせ」

 とある休日の朝、目を覚まして春香とまゆが作ってくれた朝食を食べて、春香とゆいちゃんと朝食の後片付けをしていると、普段よりも気合いの入った服装のまゆが僕に声をかける。

 冬用に新しく買っていた服といつもはあまりしていないお化粧をしっかりしてリビングに戻ってきたまゆ。いつもかわいいけど今日はめちゃくちゃかわいい。

 「りょうちゃん、行こ」
 「うん。行こうか」

 僕とまゆがバイトお休みで春香とゆいちゃんがバイトの日だったので、今日、この前のまゆの誕生日の埋め合わせでまゆと2人でデートに行くことになっていた。

 「まゆ、どこに行きたいの?」
 「今日は時間いっぱいあるから、まずゆっくり映画とか観に行こうよ」
 「うん。いいよ」

 春香とゆいちゃんに見送られてアパートを出てまゆの車の助手席に座り、最初の目的地が決まった。今日のデートは基本的はまゆの好きなことをするデートプランなので、まゆの提案には絶対服従と決まっていた。

 「りょうちゃん、手…」
 「もう…まゆは甘えん坊さんだなぁ…危ないよ……」

 そう言いながらも拒絶しないでまゆと手を繋ぐ。まゆと手を繋いでいると本当に落ち着くしすごく幸せだ。

 僕とまゆはバイト先のショッピングセンターに行って、ショッピングセンター内の映画館でチケットを買う。チケットを買った後、まゆが観たい映画が始まるまで時間があったので、いつもバイト前にゆっくりしている喫茶店でお茶をして時間を潰した。

 そのあとはまゆとゆっくり映画を楽しんで、そのあとはお買い物。まゆが冬用の服をもう少し増やしたいと言っていたので、まゆの冬用の服を見て回った。普段はバイトとかでしか来ないショッピングセンターだから、いつも歩いてる道をゆっくり歩いて、まゆに似合う服を探しているといっぱいまゆに似合いそうな服が見つかってちょっと驚いた。

 こんなにまゆに似合う服がいっぱいあって、春香とゆいちゃんに似合いそうな服もいっぱいあるから今度4人でゆっくりお買い物とかしたいなぁ。

 「りょうちゃん、ずっとまゆのお買い物に付き合わせちゃってごめんね」
 「いいよ。でも、本当によかったの?もっと違う場所に出かけてもよかったのに…」

 せっかくの特別なデートなのに、少しだけもったいない気もしていたから、つい、まゆにそう尋ねてしまった。

 「うん。いいの。まゆが、りょうちゃんと初めてデートした場所だから。ここがよかったの」

 まゆは笑顔でそう言ってくれた。すごく、懐かしい。まゆと出会って、数日で2人でお買い物して…あれから、半年以上経つのに、昨日のことのように思い出すことができる。月日が流れるのはあっという間だと感じた。

 「りょうちゃん、次の場所はどこかわかるよね?」
 「うん」

 映画館で映画を観た。映画を見終わってからの行動を思い返してみると、まゆと初めてここに来た時に回った順番でお店を回っていたことに気づいた。次の目的地に向かいながら、こんな細かいことまでまゆが覚えてくれていて、まゆに本当に大切に想ってもらえてることがわかって幸せな気分になった。








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