お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

兄と姉と妹と弟







 ちょっと状況が理解できない。何これ?どういう状況?さっきまで春を怖がっていたゆいちゃんは春にめっちゃベタベタだし、それを春香が妬ましそうな表情で見つめているしわけわかんない。何があった?誰か状況説明してよ。

 春香に戻ってきていいよ。と言われたのでりょうたくんとリビングに戻るとこの状況が出来上がっていた。先程、りょうたくんから春がみんなに謝りに来た。と言うのは聞いていたが…急に仲良くなりすぎじゃない?

 「もう、春ちゃん本当にかわいい。私、陽菜ちゃんみたいにこのまま春ちゃんに引き取ってもらおうかな」
 「りょうさん、ゆいさんを春ちゃんから引き剥がしてください…」

 ゆいちゃんは冗談で言ったつもりなのだろうが、りょうたくんは間に受けて真顔で僕にそう要求してきた。慌てるりょうたくんかわいい。

 「春ちゃん…ぼ、僕…捨てたりしないよね?」
 「そんなことしないから安心して」

 そう言ってゆいちゃんから離れて春はギュッとりょうたくんに抱きついた。その光景を僕の隣にいた春香がにやにやと見つめていた。

 「りょうた、そろそろ行こうか。春香ちゃん…」 
 「何?」
 「ごめんなさい。そこのクズ兄貴のあることないことを春香ちゃんのご両親に吹き込んだのは私なの…」

 うん。まあ、そうだと思ったけどさ…実の妹にそんなことされるとお兄ちゃん泣いちゃうよ。

 「えっと、その、春香ちゃんのご両親は私が責任持って説得します。だから、春香ちゃんはこれからもここで幸せでいてください」
 「うん。ありがとう」

 改まって春に言われた春香は春を優しく抱きしめてありがとう。と言ってあげていた。このやり取りを見ると、以前の2人の関係に戻れたみたいで安心した。

 「おい、そこのクズ兄貴」

 口悪いよ。せめてさ、りょうたくんの前ではもう少しかわいらしくしてなよ。りょうたくんに嫌われるぞ…

 「春香ちゃんと…ま、まゆお姉ちゃんと…ゆ、ゆいお姉ちゃん、みんな幸せにしなかったら絶縁だから…」
 「うん。わかってる。みんな幸せにするよ」

 春がまゆとゆいちゃんをお姉ちゃん。と呼ぶから何があった?と思ったが、まゆもゆいちゃんも笑顔で受け入れているからよしとした。

 「あと、お父さんとお母さんがきちんと、説明しろって連絡してきたから後でゆ、ゆいお姉ちゃんのこと…きちんと説明しなさいよ」
 「うん。わかったよ。お父さんとお母さんによろしく伝えといて、またそのうち4人で帰るからさ」
 「はいはい」

 そう言い残して春はりょうたくんと手を繋いで歩いて行った。春香のご両親と一緒に来たみたいで、今からまた合流するみたいだった。

 春香のご両親にも僕の両親にも、説明、しっかりしないとな……





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