お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お姉ちゃんと妹





 「えっと…春ちゃん、その…大丈夫?」

 私と春ちゃんがリビングに入るとまゆちゃんがめちゃくちゃ不安そうな表情で春ちゃんに尋ねる。まゆちゃんは私のことなんだと思ってるのかなぁ?

 「え、えっと…その…大丈夫……です……」

 散々まゆちゃんに酷いこと言ったのに心配されたからか春ちゃんはすごく戸惑っているように見えた。ただ単に気まづいだけかもしれないが私の背中に隠れてまゆちゃんとやり取りする春ちゃんめっちゃかわいい。

 「りょうちゃん、りょうた、悪いけど少しりょうちゃんの部屋にいてくれない?」
 「え、お姉ちゃん…また?」
 「行け」
 「は、はい」

 春ちゃんのことが心配だからか、りょうたはリビングに残りたい。と言うような表情をしていたが私がちょっとだけ声を怖くして命令すると逃げるようにりょうちゃんを連れて出て行った。やばい。なんか、これ、ちょっと楽しいかも。と思ったが、リビングを出て行く時のりょうちゃんの表情を見てもう二度とりょうちゃんの前でこういうことをするのはやめようと思った。私、そんなに怖い?

 「まゆちゃん、ゆいちゃん。春ちゃんが話があるって言うから聞いてあげてくれない?」

 私がまゆちゃんとゆいちゃんに尋ねるとまゆちゃんは、春ちゃんの話ならなんでも聞くよ。と優しい言葉をかけてくれるが、ゆいちゃんはすごく憂鬱な表情をする。

 春ちゃんはまず、この現実を受け入れなければならない。ゆいちゃんの態度から、春ちゃんがどれだけまゆちゃんとゆいちゃんに酷いことしたか…賢い春ちゃんなら理解できるよね?

 「えっと…あの…その……」
 「春ちゃん、落ち着いて」

 言葉が詰まって、涙目になる春ちゃんを見てまゆちゃんは春ちゃんに立ち寄って春ちゃんの頭を撫でながらそう言う。まゆちゃんに優しくされて、春ちゃんは泣いてしまった。

 「まゆちゃん…ゆいさん…ごめんなさい。私、今まで…いっぱい酷いことして……ごめんなさい……」
 「許さないから」

 正直、私も背筋がゾッとした。春ちゃんは先程とは違う涙を流してまゆちゃんは慌てた表情をする。

 「ゆいさんは嫌…それだと許さないから。ゆい…お姉ちゃん。って呼ぶこと!それが許す条件だから」
 「え、ゆいちゃんずるい!じゃ、じゃあ、まゆもまゆお姉ちゃんって呼んでくれないと許さないから……」

 2人とも優しいのかちょろいのかよくわからない。まあ、きっと、優しいんだろうな。

 「えっと…ま、まゆ…お姉ちゃん……」
 「えへへ。なあに?」
 「その、ごめんなさい」
 「許す」

 即答して思いっきり春ちゃんに抱きつくまゆちゃん。まゆちゃんに妹を取られたみたいで何か嫌だ。

 「ゆ、ゆい…お姉ちゃんも…ごめんなさい」
 「許すよ。春ちゃんかわいいなぁ」

 まゆちゃんに抱きしめられていた春ちゃんに聞こえるようにゆいちゃんがわざとらしく咳払いすると、春ちゃんはゆいちゃんにも謝って許してもらってゆいちゃんにも抱きしめられていた。

 2枚ともちょろすぎ…(優しすぎるだけか)
 って言うか私のかわいい妹取らないでよ!







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