お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

帰りたい






 「まゆ、この後どうしたい?」
 「デート…したい…」

 おやつを食べてからまゆに尋ねると、まゆは顔を赤くしながら要望を伝えてくれる。かわいいまゆの頭を撫でながら僕はまゆと一緒にまゆの実家を出た。デートはまゆの要望でドライブデートをした。いつもとちょっとだけ違う道を通っていつものように海に行く。すごく寒いけどまゆと手を繋いでいるとすごく温かい。

 「最初におでかけした時に…まゆが望んだのは…今みたいな感じじゃなかったな…」

 風に髪を揺らされながらまゆはボソッと呟いた。どういう意味?とは聞けない。怖くて、聞けない。

 「あ、えっと、違うよ。誤解しないでね。まゆは4人でいる時間は本当に好きだから。ただ…今みたいに…りょうちゃんと一緒にいることに罪悪感を感じるのが嫌なだけなの」
 「まゆはさ、誰に遠慮してるの?春に言われたから?春香、泣いてたよ。毎日、毎日、泣いてたよ。まゆだって…いっぱい泣いたんでしょう?たぶん、ゆいちゃんもいっぱい泣いてたでしょう?何でまゆは苦しんでるの?」
 「わ、わかんない。ねえ、りょうちゃん…なんでまゆは苦しんでるの?毎日、ゆいちゃんと電話しながら泣いてたの?わかんないよ」
 「わかんないなら、苦しんでないでさ、僕に言ってよ。まゆが苦しんでたら隣にいる。側にいる。これからずっと、側にいさせてよ。側にいてよ…僕も春香も寂しいから…助けてよ」
 
 僕がそう言うとまゆは僕を抱きしめてくれる。もう離さない。と言ってくれるように…涙がいっぱいで声すら出せないから…まゆは行動で返事をしてくれていた。

 「まゆ、泣き止んでよ。まゆが泣いてるの見たくないよ」

 ずっと泣き続けて僕を離してくれないまゆにちょっと困惑する。だから…

 「まゆ、プレゼント、今、渡していい?」

 返事をしてくれないから勝手に渡すことにした泣いてるまゆの頭をそっと撫でてそのまま手をまゆの耳に移動させてそっと、ポケットに入れていた箱から取り出したプレゼントをまゆの耳につけてあげる。

 まゆへのプレゼントを選んでいる時に、1番最初にこれだ。と思った。イヤリング。普段、まゆはイヤリング付けてないしピアスも開けてない。春香がイヤリング付けてるのを見てまゆも付けたい。って言ってたからこれにした。

 「このタイミングで渡す?」
 「泣き止んでくれるかなって…」
 「嬉しくて余計泣く。ばか…」
 「ごめん……」
 「ありがとう。すごく嬉しい。でも、まゆはね。1番欲しいもの、伝えておいたよね?」
 「うん。これからもずっと、まゆの側にいるよ」
 「ありがとう」

 まゆの返事を聞いて僕はまゆとキスをする。久しぶりに、まゆが最高に幸せそうな表情をしてくれているのが嬉しかった。

 「このあと、どうしたい?」
 「帰りたい。春香ちゃんとゆいちゃんも呼んで4人でいたい。りょうちゃんとのデートはまた後日に持ち越しでいい?」
 「うん。いいよ。じゃあ、帰ろう」
 「うん」

 まゆと手を繋いで、車まで歩いて、まゆの運転でアパートに帰る。帰り道のまゆは、すごく幸せそうな表情をしていた。






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