お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

幸せな時間






 「まゆ、おはよう」

 朝、まゆの部屋のまゆのベッドの上で目を覚ますと、まゆが1番大好きな人がまゆにおはよう。と言ってくれる。いつから起きていたのかわからないけど、まゆが望んだようにまゆにおはよう。って1番に言ってくれてすごく幸せだった。

 「りょうちゃん、おはよう」
 「改めて、お誕生日おめでとう」
 「ありがと」

 以前、まゆがりょうちゃんにリクエストした誕生日の過ごし方を覚えてくれていたみたいだ。すごく、嬉しいな。

 「まゆ、起きていきなりだけど、ちょっとお散歩しよう」
 「うん。いいよ。ありがとう」

 まゆとりょうちゃんは入れ替わりでまゆの部屋で着替えを済ませてから2人で手を繋いで家を出る。家の鍵を閉めてりょうちゃんと歩き出す。まゆの家は海が近いので海沿いの景色を堪能して、ちょっと強めの風にあたりながら2人で歩く。そして、まゆがよくママと行っていた行きつけの喫茶店に入りモーニングをする。りょうちゃんと春香ちゃん、そして、ゆいちゃんとアパートで暮らすようになってからはなかなか来る機会がなくなっていたから、久しぶりに来れてちょっと嬉しかった。

 喫茶店でりょうちゃんとお話しながらゆっくりコーヒーを飲む。まゆに気を遣ってくれているのかはわからないけど、最近のまゆとゆいちゃんの行動についてはノータッチでいてくれた。

 「まゆ、このあとは何したい?」
 「お菓子作りしたい!あと、お昼ごはんも一緒に作ろう」
 「うん。いいよ」

 りょうちゃんは料理とかあまり得意じゃないけど、嫌な顔一つしないでいいよ。と言ってくれた。

 りょうちゃんと喫茶店を出て近くのスーパーで材料を買って家に帰ってすぐにお菓子作りと料理に取り掛かる。りょうちゃんと並んで台所に立つ時間は、前からすごく好きだ。なんか、新婚さんみたいで…ちょっとだけ恥ずかしいけど…すごく、幸せ。

 一緒にお菓子作りをした。シュークリームを作ったんだけど、パイ生地をオーブンに入れて、パイ生地がゆっくり膨れ上がるのをりょうちゃんと顔を並べて見つめるひとときがすごく幸せ。そして、お昼ごはんを一緒に作って2人でゆっくりお昼ごはんを食べて、そのあとはゆっくり吹奏楽の曲を聴きながらお喋りとかしてたらまゆはうたた寝してしまって、おやつの時間に目を覚ました。目を覚ますとまゆはりょうちゃんにもたれかかっていた。朝とは違って、りょうちゃんはおはよう。と言ってくれない。りょうちゃんもまゆにもたれかかって寝ちゃってるから。

 りょうちゃんの寝顔をゆっくり眺めていたらちょっとくしゃみをしてしまってその振動でりょうちゃんを起こしてしまう。だから、今度はまゆからりょうちゃんにおはよう。と言ってあげた。りょうちゃんは笑顔でおはよう。と返事をしてくれる。

 おやつの時間になり、膨れあがったパイ生地にカスタードを挟んでまゆはコーヒーを、りょうちゃんはオレンジジュースを飲みながらゆっくりお喋りする。今日作ったシュークリームは今までで一番美味しくできた気がする。

 こんなに幸せな時間を過ごしてしまっていいのだろうか。春香ちゃんやゆいちゃんに申し訳ない気もする。でも、今だけは、お誕生日と言う言葉に甘えて、りょうちゃんと春香ちゃんとゆいちゃんの善意に甘えて、この幸せな時間を堪能したい。






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