お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

ずっと側に





 「本当に…お泊まり、するの?」

 まゆの実家の駐車場に到着するとまゆは困った表情で僕に尋ねる。

 「約束…したよね?まゆとの約束、守らせてよ。まゆが本当に嫌なら…残念だけど今日は帰るよ……」
 「い、嫌じゃ…ないもん……」

 なんか訳ありでも絶対に僕を傷つけようとしないまゆ。かわいいなぁ。

 「じゃあ、今日は一緒にいさせてよ。前から…約束してたよね?」
 「う、うん……」

 まゆの返事を聞いてからまゆの車から降りるとまゆも車から降りる。僕が荷物を車から出している間にまゆは僕の隣にやってきて僕が荷物を持つとすぐに僕の手を握ってくれた。

 「離さないから…こうなったらとことん気が済むまで明日はまゆの側にいてもらうから…」
 「明日は…じゃなくて、これからは。にしてよ。ずっと、まゆの側にいるよ…」
 「………大好き」
 「僕も、まゆのこと大好きだよ」

 そう言って手を繋いだまま歩いてまゆの実家に入る。久しぶりに来た感じがするまゆの実家の玄関に入ると家の中は真っ暗だった。まゆのご両親は偶然、夜勤が入ってしまった。と今朝連絡が来ていたが、まゆは知らなかったみたいでちょっと驚いていた。

 「よ、夜ご飯、どうする?」
 「久しぶりにまゆが作ってくれたご飯食べたい」
 「簡単なのでいい?」
 「うん。楽しみだなぁ」
 「りょうちゃんも手伝ってよ…」
 「もちろんだよ」

 まゆと台所で一緒に料理をする。こうやって、台所に立って隣にまゆがいてくれるのは久しぶりですごく嬉しかった。嬉しくて、何も言葉が出てこない。きっと、まゆも僕と同じなんだろう。少しだけ頬を赤くしてさっきから何も言わずにテキパキと料理を進めている。

 簡単なもの。と言ったのに、まゆは僕の大好き料理をいっぱい作ってくれた。久しぶりにまゆの作ってくれた料理を食べれて幸せだった。

 「りょうちゃん…お風呂…」
 「まゆ、先に入りなよ」
 「ずっと…まゆの側にいてくれるんだよね?」

 そう言われてまゆにお風呂場まで強制連行される。そしてお布団から出てまゆがドライヤーで乾かしているとその時が来た。

 「まゆ、お誕生日おめでとう」
 「え?あ、うん。ありがとう……」

 0時になり、日付けが変わった瞬間、まゆにおめでとう。と伝える。まゆはいきなりおめでとう。と言われてびっくりして反応が遅れていたが、ちょっと戸惑いながら笑顔を浮かべてありがとう。と言ってくれた。

 そして、僕がまゆにおめでとう。と伝えた数秒後にまゆのスマホが震える。

 「出てあげてよ」
 「う、うん…」

 まゆがスマホを手に取り通話ボタンを押すと、スマホからまゆちゃん、誕生日おめでとう。と言う声がいっぱい聞こえてきた。春香とりっちゃんさん、陽菜とゆいちゃん…どうやら、春香もゆいちゃんと一緒にいられているみたいでホッとする。

 まゆはびっくりしながらありがとう。と答えていた。そのあとみんなでまゆの誕生日を祝って、僕とまゆは早めに寝ることにした。今日の朝は、まゆに1番におはよう。って言ってあげるんだ。それから、デートする。前々からそう決めていたから……







「お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く