お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

コレカラ






 嫌な夢を見た。嫌な夢ほど、正夢になる気がして怖かった。大好きな君が、私の隣からいなくなってしまう夢を見た。

 「りょう…くん……」

 目を覚ますと、夢は正夢で私の隣にりょうくんはいなかった。りょうくんに電話しようと、スマホを探すが見当たらない。春香ちゃんは私の隣で寝ているが、まゆちゃんがいない。りょうくんとまゆちゃんはどこに行ったの?

 そう思いながらスマホを探していると、部屋の窓から外を歩くりょうくんとまゆちゃんを見つけた。私はすぐにりょうくんの元に向かう。正夢になって欲しくないから。ずっと、君の隣にいたいから。


 「りょうくん!」

 まゆと部屋に帰ろうと手を繋いで歩いていると正面からゆいちゃんがやってきて僕に全力で抱きついてきた。かわいい。けど、痛い。全力タックル…痛いよ。これが愛の重さ?物理的すぎる……

 「りょうくん…まゆちゃんだけずるいよ……」

 泣きそうな声で言うゆいちゃんを見て、ふざけたことを考えていた自分の愚かさを悔いる。

 「まゆ、悪いけど先に戻っててくれるかな?もし、春香が起きたら後で春香とも一緒にお散歩しよう。って伝えといてくれるかな?」
 「うん。わかった。ゆいちゃん、ごめんね」

 まゆはそう言って、僕から手を離して先に部屋に戻って行く。

 「ゆいちゃん。ごめんね。とりあえず、泣き止んでよ。ゆいちゃんが泣いてるの見たくないんだ。お願い」
 「うん…ごめん……」
 「お散歩行く前にちょっと座ろうか。一旦落ち着こう」
 「うん」

 ゆいちゃんの様子を見ると、ちょっと震えていたり、様子がおかしかったので、とりあえず近くのソファーにゆいちゃんを座らせる。ずっと、震えていたゆいちゃんの手をそっと握ってあげると、少しずつ震えは収まっていた。

 「ごめん…ちょっと…怖い夢見ちゃったの……」
 「そっか。大丈夫?」
 「うん。りょうくんが手を繋いでいてくれるから大丈夫。りょうくん…これからもずっと、私と手を繋いでね。誰に何て言われても…私の隣にいて…私をりょうくんの隣にいさせてね……」
 「ゆいちゃんの側にいるよ。いつまでも…だから、ゆいちゃんも僕の側にいてください。これから先もずっと、側にいてください」

 ゆいちゃんがどんな夢を見ていたのかわからない。だから、どうやって声をかけてあげればいいかわからなかったが、絶対に、ゆいちゃんの隣にいてあげることは約束できた。

 「じゃあ、そろそろ行こうか。さっきさ、すごく景色のいい場所見つけたからさ、そこに行こうよ」
 「うん…りょうくん、ありがとう」

 ゆいちゃんの涙を拭ってあげてからゆいちゃんに手を差し伸べるとゆいちゃんはそっと僕の手を繋いでくれる。

 ゆいちゃんの手を軽く引っ張ってゆいちゃんを立たせて、2人で歩き出す。なんか、すごく、冷たい視線を感じる気がしたけど、そんなこと気にならないくらい、幸せだった。






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