お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

ミトメテ





 「春ちゃんもりょうた君もめっちゃかわいい」

 ダブルデートすることになり、どうする?と考えているとせっかくの温泉なんだからぐだぐだしてたい。と春がわけのわからないことを言い出したので僕たちが借りていた部屋に春とりょうた君を呼んでぐだぐだしていた。

 ゆいちゃんはよほど春とりょうた君のことを気に入ったらしく、2人にメロメロ状態だ…あ、ゆいちゃんにハグされてる。春とりょうた君が羨ましい…僕もゆいちゃんに抱きしめてもらいたい。

 「ちょ、私のりょうたを誘惑しないでよ。りょうたもニヤニヤすんな。胸なら私のいくらでも触らしてあげるから…」

 僕は何を聞かされているのだろう。ゆいちゃんに抱きしめられてゆいちゃんの胸の感触で顔を真っ赤にするりょうた君からゆいちゃんを引き離しながらやばいことを言う春を見て、これが妹かぁ…とため息を吐いてしまう。

 「妬いちゃって〜春ちゃんは本当にかわいいなぁ〜」

 ゆいちゃんに全力で抱きしめられる春…羨ましい……

 「りょうちゃんにはまゆがハグしてあげる」
 「わ、私も……」

 春に夢中のゆいちゃんに気づかれないように小さな声で囁いたあと、春香とまゆは僕を抱きしめてくれる。やばいめっちゃ幸せ。

 「ほら、私なんかよりもお兄ちゃん!春香ちゃんとまゆちゃんに取られるよ」

 ゆいちゃんに抱きしめられていた春がそう言うとゆいちゃんは慌てて僕たちの方に視線を向けて、ズルい。と言いながら僕たちの方にやってきて勢いよく僕に抱きついてくる。ゆいちゃんかわいいわぁ。

 「私だけ仲間はずれにしないでぇ」
 「ごめんね。ゆいちゃんだけ仲間はずれとか絶対にしないから安心して」

 うっすらと涙を浮かべて悲しそうな声のトーンで言うゆいちゃんを僕は抱きしめて、大丈夫だよ。と何回も伝える。

 春香とまゆもゆいちゃんにごめんね。と謝るとゆいちゃんの機嫌も元に戻り、ゆいちゃんは落ち着いてくれた。

 「あざと…」

 ゆいちゃんを見て春はボソッと呟く。

 「絶対、みんな騙されてる…」

 僕と春香とまゆに聞こえるように春は言うが、気にしない。だって、ゆいちゃんは天然でこれをしているって僕も春香もまゆもわかっているから。

 そんなこと言われたくらいじゃびくともしないくらい、僕と春香とまゆとゆいちゃんはお互いのことをわかっているし、今が幸せだから、ずっとこのままでいられればいい。とすら思っている。だから、まゆの時みたいにゆいちゃんのことも認めてあげて欲しいな。妹として…もしかしたら、将来の家族として……





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