お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

グウゼン






 本当に、お財布を出させてくれなかった…高速代もガソリン代も食事代も出させてくれなくてなんか、ちょっとだけ、肩身が狭いよぅ…

 そうやって多少の申し訳なさを感じていると宿泊先の温泉旅館に着いたので、部屋に荷物を置いてさっそく温泉に向かう。

 「りょうちゃん、お待たせ…」

 ゆっくり30分ほど温泉に入った後、待ち合わせのロビーで時間を潰していると春香がやってきて僕の隣に座る。

 「まゆとゆいちゃんは?」
 「まだお風呂入ってるよ。サウナ対決の真っ最中…私、サウナ弱いから先に出てきたの…あ、私牛乳飲むけど、りょうちゃんは何か飲む?」
 「じゃ、じゃあ、牛乳お願いします」
 「はーい」

 お風呂上がりでいつもより色気のある春香が少し赤くなった顔を赤くしてスキップしながら自販機に向かって行く。めっちゃかわいい。

 「春香ちゃーん、まゆの分もお願い……」

 顔がゆでたこ状態のまゆが倒れるように僕の隣に座って速攻でソファーで姿勢を崩して僕に膝枕される。かわいい。

 「はいはい…まゆちゃん、後で交代してね」

 笑顔でそう言って少し離れた場所にある自販機でゆいちゃんの分も合わせて4人分の牛乳を春香は買ってきてくれる。

 「ゆいちゃんは?」
 「あはは…だいぶふらついてて今、水風呂…心配だからまゆも一緒にいようか?って言ったら大丈夫です。って言われたから先に出てきたの」

 なるほど…ゆいちゃん、大丈夫かな。ちょっと心配……

 ゆいちゃんが来るまで、割と心配しながら牛乳を飲んでいるとこっちに向かって誰かが歩いて来る音が聞こえた。ゆいちゃんかな。と思いながら、そちらを見ると……

 「ちゃ、ちゃんと歩けます?大丈夫です?」
 「う、うん…大丈夫。迷惑かけてごめんね……」

 ふらふらと歩きながら…誰かに連れて来てもらっているみたいだったので、僕は立ち上がってゆいちゃんを迎えに行く。

 「ここで彼氏たちと待ち合わせてるから…もう、大丈夫です。本当にありがとう」
 「そうですか。私も彼氏と来ててそこのロビーで彼氏と待ち合わせてるのでそこまでご一緒しますよ」
 「ありがとう……」
 「ゆいちゃん、大丈夫?すみません、彼女が……ご迷惑を……え?」

 完全に時が止まった。びっくりしすぎて……

 「え、あの…か、彼氏って……」
 「うん。この人が私の彼氏!かっこいいでしょう」

 なんか、やばい気がする。

 「おい、クズ…どういうことか説明しろや。あ?あれか?春香ちゃんとまゆちゃんに飽きたからって新しい女捕まえて不倫旅行か?え?」

 な、なんでこんなところに…妹の春がいるんだ?やばい、めっちゃ怒ってる…と、とりあえず説明……

 する前に全力で殴られた。






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