お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
いつも通り
 安心した。まだ、会いたいって言ってくれて、すごく安心した。わかってたよ。りっちゃんさんが…陽菜を捨てるわけはない。って…
 でも、陽菜と喧嘩した後に男の人と2人でいるのを見て、ついカッとなってしまった。陽菜、すごくめんどくさい女の子だよね…でも、そんなめんどくさい女の子をまだ、好きって言ってくれる。陽菜には、やっぱり…あなたしかいない。本気でそう思った。
 「お待たせ…りょうちゃん……ありがとう。陽菜の側にいてくれて…」
 「いえいえ、じゃあ、僕は春香とまゆとゆいちゃんが待ってるので行きますね」
 「うん。ありがとう。ほら、陽菜もちゃんとお礼言って」
 居場所を伝えてから、すぐにりっちゃんさんは来てくれた。汗をかいて、めっちゃ息を切らしているところを見ると走ってきてくれたのだろう。りっちゃんさんが入ってきてすぐに、りょうちゃんは気を利かせて部屋を出ようとする。りっちゃんさんに言われて、陽菜はりょうちゃんにありがとう。と短くお礼を言ってりょうちゃんを見送った。
 「ちょ…陽菜!?」
 りょうちゃんが部屋を出てすぐに陽菜はりっちゃんさんに抱きついた。我慢できなかったんだもん。最近、会えてなかったし…すごく、懐かしい感じがした。りっちゃんさんはいきなり抱きつかれて驚いていたが、すぐに優しい表情をして陽菜を抱きしめ返してくれる。いつものやり取りをすることができて、陽菜は幸せだった。
 「陽菜、約束して…お願いだからさ、もう…無理はしないって…そうしてくれないと、私、陽菜の側にいられないから……私の側にいたいから、って陽菜が無理するのなら…私はもう、陽菜のためにも陽菜の側にいられなくなる」
 「ごめんなさい……」
 「約束、して……約束してくれたら私はこれからも陽菜の側にいるよ。陽菜が入院しても、出来る限り陽菜の側にいるから…約束、して……」
 りっちゃんさんは陽菜を思いっきり抱きしめて言う。まるで、会えなかった期間の分も陽菜を抱きしめてくれるみたいで、ぎゅっと陽菜を抱きしめて離してくれない。
 「約束…します。その代わり…これからも陽菜の側にいてください。めんどくさい女だけど…これからも陽菜の側にいてください」
 「うん。いつまでも側にいるよ。陽菜も、これからもずっと私の側にいてね」
 「もちろんです」
 気づいたら、また、泣いていたけど、これは悲しくて泣いてるのではなく、幸せだから泣いていた。
 「ほら、涙拭いて…せっかくのかわいい顔が台無しだよ」
 「りっちゃんさんだって泣いてるじゃないですか…かわいい顔が台無しですよ」
 陽菜の涙を拭いてくれたりっちゃんさんにそう言って、陽菜もりっちゃんさんの涙を拭いてあげる。
 「陽菜、ごめんね。今朝はひどいこと言って…あと、今回、入院した時…ずっと…陽菜を1人にさせて…ごめんなさい…」
 「りっちゃんさんは悪くないです。隠し事してた陽菜の自業自得なので気にしないでください」
 「ありがとう。もう、今日は離さないから…」
 そう言って、陽菜を思いっきり抱きしめてくれるりっちゃんさん…陽菜、隠し事をしてた悪い子なのに…こんなに幸せでいいのだろうか……
 「陽菜も…離さないです。ずっと、一緒にいたいです」
 「夜ご飯、何食べたい?」
 「りっちゃんさんが作ってくれるものならなんだって喜んで食べます」
 遠回しに、今日、泊まりに来て。と言われたので、遠回しによろこんで!と返事をする。いつも、りっちゃんさんから陽菜を誘う時はこんな感じだ。
 りっちゃんさんは今日、講義は終わったらしくて、陽菜の講義が終わるまで陽菜を待ってくれて、講義が終わった後に陽菜はりっちゃんさんと手を繋いで、りっちゃんさんの部屋に向かう。
 いつも通りの幸せな時間を、りっちゃんさんと過ごして陽菜はすごく幸せで…これから先も一生、りっちゃんさんと一緒にいたい。と思った。
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