お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

お菓子作り






 「それじゃあ、お菓子作り始めよっか」
 「うん。何を作るの?」
 「えへへ。秘密〜りょうちゃんが好きなものだよ」

 まゆは笑顔で答える。材料を見ると、卵とかバターとかお菓子作りに必要そうなものがいっぱい揃っている。

 「ヒントあげるね。今から3つのお菓子を作ります。全部りょうちゃんが好きなもので2つは作ってあげたことあるよ。もう1つはまだりょうちゃんに食べさせてあげたことないもの」
 「食べたことあるものかぁ…まゆが作ってくれたお菓子は全部大好きだからわからないなぁ…」
 「それをまゆだけに言ってくれたらまゆはもっと幸せなんだけどなぁ」

 春香とゆいちゃんにも同じことを言っていることがちょっと不満なのだろうか…私が作ったお菓子を一番美味しい。って言ってってことなのかなぁ。

 「まゆが作ってくれたお菓子だと特にクッキーとか好きだなぁ。まゆが淹れてくれた紅茶と合わせると本当に最高なんだよね」
 「えへへ。今から作るよ」
 「やった。じゃあ、後でお茶したいなぁ」
 「えへへ〜いいよ〜」

 めっちゃ上機嫌になってくれためちゃくちゃかわいい。

 「他は何作るの?」
 「チーズケーキとシュークリームだよ。チーズケーキ、今回は春香ちゃんのよりも美味しく作るから」

 以前、まゆがチーズケーキを作ってくれたことがあった。僕がまゆのチーズケーキを絶賛しながら食べていると翌日、僕とまゆがバイトから帰ったら春香が作ったチーズケーキが置かれていて…春香とまゆのチーズケーキ合戦が行われていた過去がある。毎日チーズケーキ食べれて幸せだったけど…ちょっと太ったんだよね……春香もまゆも体重が気になり始めたらしく、引き分けで終わったチーズケーキ合戦の記憶が蘇る。

 シュークリームは食べたことない。って言うかシュークリームって家で作れるの?すごいなぁ。

 「何を手伝えばいい?うーん。まゆは生地とか作る準備するからクリーム作って欲しいなぁ。まゆがいいよ。って言うまでひたすらかき混ぜて」

 そう言って卵白が入ったボウルを渡される。まゆと春香とお菓子作りする時、僕の役割はいつもこれだ。うん。これしかできないもん。僕はひたすらボウルの中身をかき混ぜる。

 「これくらいでどう?」

 めっちゃかき混ぜた後、まゆに確認をお願いしてまゆにボウルを渡す。まゆはちょっとボウルをかき混ぜて確認のために中身のクリームを少し指につけてペロリと指を舐める。

 「うん。これくらいかな。ありがとう。あ、りょうちゃん、ほっぺにクリームついてるよ」

 まゆはそう言いながら僕のほっぺに顔を近づけて僕の頬を舐めるようにしてクリームをとってくれる。まゆに頬を舐められてめっちゃドキドキしながら顔を真っ赤にする。

 「うん。いい感じに甘い」

 まゆの一言を聞いて意識が飛びそうなくらいドキドキした。やばいよ。この子可愛すぎるよ。

 「ん?なぁに、りょうちゃんもしかしてドキドキしちゃった?」
 「し、してないもん」

 僕は照れ隠しをするようにまゆにそうやって言うが、僕がドキドキしていることはまゆからしたら一目瞭然だろう。

 「生地とか焼いてる間、まゆを好きにできる時間あるけど、どうする?」
 「だ、だめ…そういうことは禁止の約束…だもん……」
 「そっかーりょうちゃんは真面目だねぇ。春香ちゃんとゆいちゃんには2人の秘密にできるんだよ」

 まゆはそう言いながら僕を抱きしめて誘惑してくる。だめだ。この誘惑をこれ以上続けられたら……

 「まゆ、好きだよ」

 そう言ってまゆにいきなりキスをする。僕が唇をまゆの唇から離すとまゆはえ?え?と状況が理解できずに混乱していた。

 「今からまゆを好きにしていいんだよね?」
 「あ、え、あ…や、やっぱだめぇ……」
 「じゃあ、やめとく」

 まゆからだめ。と言う言葉を引き出して言質を取った僕はいたずらっ子のような笑顔を浮かべてまゆに言う。

 「はめられた…」
 「あはは。ごめん。でも、春香とゆいちゃんとの約束だからさ…」
 「そう、だよね。まあ、りょうちゃんとキスできたから妥協してあげる」

 まゆは笑顔でそう言ってくれる。お菓子作りとまゆの柔らかくて甘い唇、いろいろな経験を味わいながら午前中のお菓子作りは進んでいった。







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