お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

繰り返し






 「春香、まゆ、ゆいちゃん、今までごめんなさい。僕が、3人の気持ちから目を逸らして問題を先送りしていたからこうなったんだ。僕が悪かった…ごめんなさい」

 真っ先に僕は謝った。春香もまゆもゆいちゃんも何も言わずに黙って聞いてくれた。

 「僕は…これからも春香とまゆとゆいちゃんと一緒にいたい。4人で幸せになりたい。3人を幸せにするって誓ったから…3人に僕の側で幸せになって欲しい」

 謝って、自分の想いを…望みを…わがままを…春香とまゆとゆいちゃんに伝える。3人とも黙って聞いてくれていた。

 「春香、まゆ、ゆいちゃん…3人がこれからどうしたいのか教えて欲しい…遠慮しなくていいから…3人が何を考えているのか教えて欲しい……」

 僕がお願いすると春香とまゆは黙って僕を見つめてくれていてゆいちゃんはちょっとだけ苦しそうな表情をする。3人ともなかなか口を開いてくれない。1人ずつ、個別に聞くべきなのかとも思うが…4人で幸せになるにはこうやって、みんなの前で意見を言うことが大切だと思う。

 「まゆはりょうちゃんと一緒にいたい。りょうちゃんのこと大好きだし、りょうちゃんがいない人生なんて嫌だから…春香ちゃんとも一緒にいたい。大学入ってからずっと一番の親友だし、春香ちゃんのこともすごく大好き。まゆはね。ゆいちゃんのことも大好きだよ。ちょっと手がかかるけどかわいい後輩だしさ…でも、ごめんね。今のゆいちゃんにはりょうちゃんの側にいて欲しくない…全部をゆいちゃんのせいにするわけじゃないけど…また、こうなったり、まゆとりょうちゃんと春香ちゃんの関係まで崩れたりしたら嫌だから…」

 1番最初にまゆがそう言い切った。自分が言いたいことを全て言い切ってくれた。話し合いをする上ですごくありがたかった。まゆの言葉を聞いてゆいちゃんはごめんなさい。と何度も言いながら泣いてしまったので、僕はゆいちゃんを慰めながら春香とゆいちゃんの言葉を待つ。

 「私も、まゆちゃんと大半は同じ意見だよ。現状のままなら3人に戻りたい……でも、私もまゆちゃんも1番は4人で幸せになることだって思ってるからね」

 春香も、本音を包み隠すことなく伝えてくれる。ゆいちゃんは泣きながら何度も何度もごめんなさい。を繰り返す。

 「りょうちゃん、ゆいちゃんから離れて…」
 「え…」
 「早く」

 まゆに圧をかけられて僕はちょっとだけゆいちゃんから離れる。

 「ゆいちゃん、泣くのもいい加減にしなよ。泣いて、りょうちゃんに慰めてもらえば満足?りょうちゃんに同情してもらえれば満足?違うよね?まゆはりょうちゃんと一緒にいたい。それが1番大切なこと…春香ちゃんも同じ…ゆいちゃんは?どうしたいの?泣いてないで、はっきり、思ってることを言って…」

 泣き続けるゆいちゃんに厳しい口調でまゆは言う。ゆいちゃんは泣きながら、まゆの表情を見た。真っ直ぐゆいちゃんを見つめるまゆの瞳がゆいちゃんの視界に映り、ゆいちゃんは覚悟を決めたような表情をする。

 「私は…私も……りょうくんのことが大好き。世界で一番、りょうくんのことが大好き。だから、りょうくんの側にいたい。りょうくんと幸せになりたい。りょうくんに幸せにしてもらいたい。りょうくんを幸せにしてあげたい。でも…わ、私がいたら……りょうくんが苦しんじゃう……私、わがままで欲張りでバカだから…いっぱいりょうくんに迷惑かけちゃう。りょうくんから大切なものをいっぱい離れさせちゃうかもしれない…りょうくんの幸せを壊しちゃうかもしれない…それが怖いから……私はもう、1人になりたい…です……」

 泣きながら、ゆいちゃんはそう言った。泣きながら、声を震わせて、ぐちゃぐちゃなことを言う。また、この子は、以前のように、自分を犠牲にして、僕の幸せを願おうとする。

 あの時は、それでよかったかもしれない。何も知らなければ僕はゆいちゃんの犠牲で、春香とまゆと幸せでいたと思う。でも、今はダメだ。ゆいちゃんが諦めたら僕は絶対に幸せになれない。あの時、ゆいちゃんが望まない恋をした時とは違う。

 今の僕は、ゆいちゃんのこともすごく大好きだから……

 「ほんっとうにバカだね。ゆいちゃんは……」

 春香がそう言ったのを聞いて、その場にいた全員がびっくりした。







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