お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

深夜のお客さん






 「深夜遅くにごめん。起こしちゃったかな?」

 1人で寂しい夜を過ごしていた時にやってきた来客はりっちゃんさんだった。こんな深夜にどうしたのだろうか。

 「春香ちゃんとまゆちゃんいる?」
 「あ、えっと…2人は今日、ゆいちゃんのアパートで女子会してます」
 「もしかして、りょうちゃんからのLINEとかにも反応してくれないパターンのやつ?」
 「あ、はい」
 「なるほどね。何回電話しても出てくれない理由がわかったわ……りょうちゃん、めっちゃ申し訳ないんだけど…今晩泊めて……」
 
 ………え?は?ん?どゆこと?え?

 「何かあったんですか?」
 「陽菜と喧嘩して追い出されたの…」
 「りっちゃんさんの部屋なのにりっちゃんさんが追い出されたんですね……」
 「あはは。まあ、追い出されたって言い方が悪かったかな。最初は陽菜が怒って出てく。って言い出したんだけど…陽菜、体弱いから心配じゃん?それにめちゃくちゃかわいい私の陽菜をこんな時間に外歩かせるわけにいかないから私が自主的に追い出されたの」

 喧嘩した。って言ってる割に陽菜のこと大好きオーラ全開だなこの人……

 「ほら、りょうちゃんもかわいい彼女が3人家出しちゃって寂しいでしょう?お泊まりさせて」
 「家出されたわけじゃないですから!」
 「まあ、細かいことは置いといて…お邪魔しまーす」

 そう言ってスタスタと部屋に入っていくりっちゃんさん。春香とまゆとゆいちゃんに事情話して許可取らないといけないが……電話に出てくれないもんなぁ。こんな時間にりっちゃんさんを追い出すわけにいかないし……

 「とりあえず眠いからもう寝るね」

 リビングに入ると敷きっぱなしになっていた布団の上でりっちゃんさんは既に横になっていた。

 「なんで陽菜と喧嘩したんですか?」
 「な、内緒……」

 さっさとこのバカップルを仲直りさせてりっちゃんさんを陽菜の元に返品してしまいたいからとりあえず理由を聞いたのだが、りっちゃんさんは顔を真っ赤にして理由を教えてくれない。

 「素直に答えないと今から陽菜にりっちゃんさんと2人でお泊まりなう〜ってメッセージ送りますよ」
 「それだけはやめて。本当に陽菜にふられちゃうからそれだけはやめて」

 すごい勢いでやめるように求めてくるりっちゃんさんに理由を説明するように再度促した。

 「陽菜が女の子の日なのに、私だけそういうことしてる姿みたいって言い出して…その、私だけそういうことするのは恥ずかしいから拒否してたら陽菜のこと飽きちゃったんだ。って陽菜が拗ねてちょっと揉めたの」

 うわー。すごーくしょうもない理由……さっさと帰ってください。

 「とりあえず、アパートまでは送りますから帰りましょう」
 「やだ…」
 「なんでですか…陽菜だって待ってると思いますよ…」
 「だって…陽菜、女の子の日だからかちょっと不機嫌だし怖いの……わかるよ。仕方ないよ。私も女の子の日はそうなるから。だから…陽菜とこれ以上揉めないためにも今日は帰らない」

 思考が完全にバカップルですね。やれやれ…さっさと帰れよ。

 「というわけだからおやすみ」
 「春香とまゆとゆいちゃんには自分で説明してくださいよ。僕は自分の部屋で寝ますから…」

 なんと言ってもダメだ。と察した僕は設置を諦めて自室に戻ろうとする。

 「りょうちゃん…」
 「なんですか?」
 「私、抱き枕ないと寝れない…」

 知らんわ。さっさと帰れ。

 「布団、2枚敷いてあるよ」
 「陽菜に言いつけますよ」
 「ごめんなさい。それだけは勘弁してください」

 そう言って頭を下げるりっちゃんさんをリビングに放置して僕は自信に戻る。一応、春香たちから返事が来てないかスマホをチェックしたが、誰からも返事がなかった。

 とりあえず、りっちゃんさんはリビングに放置して一定の距離を置いて、春香とまゆとゆいちゃんにはしっかり事情を説明しよう。大丈夫、何もなければ春香とまゆとゆいちゃんは理不尽に怒ったりはしない。






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