お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
かわいさの暴力
 「りょうちゃん、そろそろ起きて。朝ごはんできたよ」
 朝、まゆに起こされて僕は目を覚ます。いつの間に眠っていたのだろう。と思いながらスマホを確認するとまだ、ゆいちゃんとの電話がつながっていた。
 「ん…りょう…くん……すき……」
 寝言?
 「10分に1回くらいのペースでそう言ってるよ。りょうちゃん、本当に愛されてるねぇ」
 「そっか、まあ、でも…寝言聞いたりするの申し訳ないし切った方がいいよね」
 「うん。そうした方がいいと思うよ」
 まゆの同意を得て僕はゆいちゃんとの電話を切る。そして、春香とまゆが用意してくれた朝ごはんを3人で食べる。朝ごはんの後片付けは全て僕がして、バイトに出かける春香をまゆと見送る。
 春香を見送ってすぐに、まゆとお昼ごはんを作り始める。今日は僕とまゆがバイト休みで春香が夕方までバイト、ゆいちゃんは今日も夜はバイトの予定だ。電話を切ってからゆいちゃんから連絡が来ないところを見ると、まだ寝ているのだろう。昨日も遅くまでバイトだったから疲れているのだろうな。
 そう思ってまゆとお昼ごはんを作っているとゆいちゃんから電話がかかってきた。
 「ゆいちゃん、おはよう」
 「お、おはよう。ごめんね。起きてすぐにりょうくんの声が聞きたくて電話しちゃった」
 あーもう。かわいいかよ。かわいすぎるよ。まじでなんなの。かわいすぎてかわいいよ。語彙力めちゃくちゃだけどとにかくかわいい。かわいさの暴力だよこれ。
 「いいよ。今ね。まゆと一緒にお昼ごはん作ってるんだ」
 「そうなんだ…いいなぁ。まゆ先輩が羨ましい…」
 「こらこら、まゆ先輩じゃなくてまゆちゃんでしょう?」
 僕とゆいちゃんのやり取りを僕の隣で聞いていたまゆがゆいちゃんに言う。
 「ご、ごめんなさい。おはようございます。え、えっと…まゆちゃん…」
 「まゆちゃんおはよう。って言って」
 「えぇ…」
 電話越しで戸惑っているのがよく伝わってくる。まあ、数ヶ月間先輩として関わってきた人にいきなりそう言われたら抵抗あるよな…ゆいちゃんと付き合い始めてから数日が経つけど、こればかりはゆいちゃんも慣れないみたいだ。
 「まゆちゃんおはよう。って違和感なく言えたらお昼ごはん作ってからゆいちゃん迎えに行ってあげる。バイトの時間にはまた送ってくから一緒にお昼ごはん食べてバイトの時間まで一緒にいよう」
 「まゆちゃんおはよう」
 超自然体でまゆちゃんおはよう。って言い切ったなぁ。ゆいちゃんにまゆちゃんおはよう。って言われたまゆは僕の隣で、この声最高…と悶えていた。まあ、気持ちはわかるよ。
 「合格。じゃあ、後で迎えに行くから出かける準備してね」
 「はーい。ありがとうございます。えっと…1人は寂しいから…このまま電話繋いでていいですか?」
 「うん。いいよ」
 ゆいちゃんにそう返事した後、まゆは僕に小声でゆいちゃんかわいすぎでしょう。と言ってくる。激しく同意。
 その後、まゆと一緒にお昼ごはんを作っている最中も独り言で服どうしよう…これ、りょうくん気に入ってくれるかなぁ…などと聞こえてくる。あざといくらいかわいい。電話つながってるの忘れてません?
 お昼ごはんを作り終わって僕とまゆはゆいちゃんを迎えに行く。ゆいちゃんを車に乗せて、車から降りると、ゆいちゃんはすぐに僕の腕をギュッと抱きしめてきた。
 「えへへ。りょうくんに会えなくて寂しかったなぁ。りょうくんに会えない間、ずっとこうしたいって思ってたの…」
 「ゆいちゃん、1日って言うか…一晩離れてたくらいでちょっと大袈裟じゃない?」
 ゆいちゃんとは反対の腕をギュッと抱きしめてまゆは言うが、誰だろう。合宿の時に毎朝、りょうちゃん成分が足りない。とか言って僕に膝枕させていたのは…人のこと言えないぞ。
 「まゆちゃんだって、りょうくんに一晩会えなかったらこうなると思いますよ」
 「………たしかに」
 認めるのね。素直でよろしい。なんか、嬉しいな。そう言ってもらえるって、本当に愛されているということだから…
 そんな幸せな気持ちになりながらアパートの部屋に入って3人でお昼ごはんを食べて、お散歩して、近くのカフェでお茶をする。まゆの趣味が喫茶店巡りということもあり、僕もすっかり喫茶店巡りにハマってしまった。今日は行きつけの喫茶店だが、ここはスイーツが美味しい。コーヒーの違いとかもわかるようになってまゆとコーヒーの話で盛り上がることもしばしば…アパートにあるドルチェグストでコーヒーを淹れているのだが、コーヒーミル買う?と言うくらいにはハマっている。
 喫茶店でゆっくりお茶をした後、ゆいちゃんをアパートまで送る。そして、大学に向かい、バイト終わりの春香と合流して一度アパートに帰る。
 今日は夜ご飯の用意をしていない。今日は、後でゆいちゃんがバイトしているお店に3人でご飯を食べに行く予定になっているからだ。このことはゆいちゃんには言っていないので、ゆいちゃんは驚くかもしれないからちょっとだけ反応が楽しみだ。
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