お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

仲違い





 僕とゆいちゃんがお店に戻ると、さきちゃんはみんなに事情を話して何があったのかを伝えていた。さきちゃんの話を聞いたみんなの反応はなんとも言えない様子だった。

 「さき、事情はわかった。それで、さきはどうしたいの?このままこう君と別れたいの?それとも、こう君と別れたくないの?どっち?」

 みんなに事情を話した後、再び泣いてしまっていたさきちゃんにゆいちゃんが尋ねる。

 「別れたくない…別れたくないよぅ…」
 「だったら、後でこう君にしっかり謝ろう。さきも、言い過ぎたところはあるでしょう?謝って、まだ一緒にいたい。ってきちんと伝えよう。こう君だって、さきとは別れたくないはずだからさ。ちゃんと話し合って仲直りしなよ。私に協力できることがあったら協力するからさ」

 ゆいちゃんがそう言うとさきちゃんは泣きながらゆいちゃんに抱きついていた。7人で食事を終えた後、ゆいちゃんはさきちゃんを引っ張ってこう君の元に向かって行った。

 「それにしても、りょうちゃん、よかったねぇ。春香ちゃんとまゆちゃんが優しくて。2人がさきちゃんみたいな考え方だったらりょうちゃん、どっちからも捨てられてたんじゃない?」

 食後にゆっくり5人で漫画を読んでいるとりっちゃんさんが笑いながら僕に言う。

 「あー。たしかに。春香ちゃんとまゆ先輩じゃなかったらりょうちゃん二股とか言われてめっちゃ怒られてそう」

 陽菜が笑いながらりっちゃんさんに同意する。

 「そうだよねぇ。りょうちゃん、優しいまゆと春香ちゃんに感謝して」
 「は、はい」

 と言うわけでなんかしらないけど春香とまゆの分の会計は僕持ちになった。まあ、いいけどさぁ…

 「さきちゃん大丈夫かなぁ…」

 さきちゃんとゆいちゃんが出て行ってしばらくするとさきちゃんをめちゃくちゃ可愛がっていた春香が心配そうに呟く。もし、仲直りできたらゆいちゃんから連絡が来ると思うのだが、まだ誰のもとにも連絡が来ていないから不安になる。

 「さきちゃん…意外と頑固だから心配……」

 陽菜がそう言うと春香とまゆがたしかに。と言うように頷く。頑固…は言い方が悪い気がするけど…まあ、一度言ったことは曲げない主義だよね。大人しいけど、芯が強い感じ…まあ、でも、お互いに別れたくないってことはわかってるわけだし、ゆいちゃんが上手いこと仲介すれば大丈夫なはずだけど……

 「ゆいちゃんで大丈夫かなぁ…」

 つい、思ってしまったことを口に出してしまい僕は慌てて口を塞ぐと、横にいたまゆがたしかに。と言うような表情をする。たぶん、この中だとゆいちゃんと一番仲がいいまゆも僕と同じ反応をしているのを見て全員がの不安が増す。

 「りょう君助けて〜」

 数分後、嫌な予感は的中してゆいちゃんから電話がかかってきて助けを求められた。

 「りょうちゃん、送ってこうか?」
 「お願いします…」
 「春香ちゃんはどうする?一緒に行く?」
 「ううん。ちょっと、りっちゃんに話があるからさ残るよ。後で自分で帰るからまゆちゃんはりょうちゃんと一緒にいてあげて…」
 「え、うん。でも、外暗いし、一人は危ないんじゃ…」
 「大丈夫。りっちゃんに送ってもらうから」
 「人使い荒いなぁ…まあ、いいけどさ」

 りっちゃんさんが呆れた感じで春香に言うと春香はえへへ。ありがとう。と笑顔でりっちゃんさんに返す。春香をりっちゃんさんと陽菜に預けて僕とまゆはこう君とさきちゃんが話しているというこう君の家の最寄り駅までまゆに送ってもらう。

 「まゆ、ごめんね。疲れてるのに…」
 「いいよ。気にしないで。さきちゃんはまゆの大切な後輩だからさ。さきちゃんが泣いてるの、見たくないからさ」

 まゆは笑顔でそう言いながら車を走らせてくれた。駅のロータリーにまゆが車を停めてくれたので、僕はまゆにお礼を言いながら車から降りる。

 「りょうちゃん、まゆも一緒に行こうか?」
 「大丈夫だよ。ありがとう」
 「そっか、話まとまったらゆいちゃん連れて戻ってくること。もう夜遅いからゆいちゃんアパートまで送ってあげないと」
 「わかった。ありがとう。まゆ、大好き」

 まゆが優し過ぎて本当に大好き。と思いながら僕は3人が話している場所に向かった。






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