お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活

りゅう

合宿後の夜






 ………どうしよう。身動きが取れない。

 合宿が終わり、アパートに帰って、それぞれ部屋に荷物を置いてリビングに集まると、ソファーに座る僕の左右に春香とまゆが座り、僕をギュッと抱きしめている。

 「不足してたりょうちゃん成分、ちゃんと補充するから」
 「わ、私…も……」

 照れくさそうに言うまゆと春香がかわいすぎる。どうしたらいい?と僕が春香とまゆに尋ねると、「このままじっとしていて」と言われたので、僕は2人の要望に従ってじっとしている。春香とまゆは幸せそうな表情でずっと僕を抱きしめていた。

 だが、もうすぐ夜なので、いつまでもこうしているわけにはいかない。夜ご飯どうしよう。と言う話題になったのだが、合宿で疲れている春香とまゆに今から作ってもらうのは申し訳ない。

 と言うことを春香とまゆと話し合った結果、今日は宅配ピザを注文して合宿のお疲れ様会をしよう!と言うことになった。

 「ピザ食べながらお疲れ様会するなら映画とか観たい」
 「あ、まゆちゃんそれ最高」

 まゆの提案に春香が同意する。まあ、せっかくなので2人の要望に従いDVDのレンタルショップに向かうことにした。結構遠い場所にあるので、時間大丈夫かな。と思いながらピザ屋さんに電話したのだが、日曜日の夜なのでかなり混んでいるみたいだった。なので、宅配はなしにしてもらい。持ち帰りの予約を入れてDVDを借りた後についでにピザを取りに行くことにした。

 「ピザと映画あるならお菓子欲しい…」

 車に乗ってすぐに春香がそう呟いたので、コンビニに寄って、ジュースにお菓子を買う。ポッキーやポテチ、チョコレート、ポップコーン、アイスクリーム、プリン、シュークリームなど、買いすぎ。と思うくらい春香とまゆはカゴいっぱいにお菓子やスイーツを詰め込んでいた。太るぞ……

 「「太らないもん」」
 「あ、はい」

 めちゃくちゃ睨みながら春香とまゆに言われて萎縮してしまう。え、今、僕、声に出してないよね?ほんと、何でわかるの?

 と言うわけで袋いっぱいに詰め込まれたお菓子やスイーツを持ってまゆの車に戻る。そして、DVDのレンタルショップで観たい映画を選ぶ。

 だが、好みってなかなか合わないよね…
 僕は恋愛系ドラマの映画
 春香はゆるキャラ系のアニメ映画
 まゆは…割とガチなアニメ映画

 「りょうちゃん、このアニメ映画の原作、もうすぐアニメ2期が始まって本屋さんでプッシュすることになるからちゃんと勉強しないとだよ。だからこれにしよ」
 「私、これがいい」

 僕を味方に付けて数で優位に立とうとするまゆに僕が味方しないようにするためか、春香が選んでくれないと泣いちゃうよ。と言うような表情で僕を見つめながら言う。チートでしょこれ。

 でも、僕が選んだ映画、ずっと観たかったんだよね。観る機会がなかったから…この機会に…大好きな2人と観たかったんだよね。

 「………今日、徹夜ね」
 「「え?」」
 「ほら、やっぱり付き合ってるんだし、お互いの好みとかちゃんと知っておいて、共有するって大事だと思うの。だから、今日は3つ観よ」

 まゆはそう言いながら僕と春香が持っていたDVDを取り上げてさっさとレジに向かう。
 ふぅ…2日連続徹夜か……きついなぁ。寝落ちしたらごめん。

 「寝落ちしたら春香ちゃんと一緒にりょうちゃんにイタズラしちゃおっかな♡」

 寝れないやつだ。ていうかさっきから何で思考ダダ漏れなの?え?無意識のうちに声に出してる?怖い。前々からたまに思うけど怖いよ。

 「………声には出てないけど、りょうちゃん、すっごくわかりやすいよ」

 僕の考えはお見通しな春香がボソッと呟く。春香とまゆに隠し事はできないわ……

 DVDを借りた後は再びまゆの車に乗って、ピザ屋さんに向かい、注文していたピザを受け取ってアパートに戻る。が、ダメだ。眠い。割と、限界……

 「どうしても眠かったら無理しなくていいからね」
 「疲れてるなら休みなよ。で、でも…やっぱり、合宿中あまりいちゃいちゃできなかったからさ…今日は一緒に寝たい」
 「大丈夫。春香とまゆと一緒なら疲れなんて気にならないよ」

 僕が笑顔で言うと春香とまゆが顔を見合わせる。

 「あー、やっぱりまゆ、合宿の疲れがすっごく溜まってるなぁ」
 「私も…」
 「今日はさ、ピザとか食べながら映画1つだけ観てその後、3人で一緒にお風呂に入って3人で早く寝ちゃいたい気分だなぁ」
 「私も、まゆちゃんに同意」
 「そっかぁ。春香ちゃんもかぁ。りょうちゃんは?」

 まゆと春香がわざとらしい声でそんなやり取りをしてくれる。僕が、本当に疲れていたことを考えてくれたのだろう。2人の優しさが本当にありがたいし、大好きだ。

 「春香、まゆ、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えていいかな?」
 「うん。今日はさ、ずっと一緒にいようね」
 「今日も…じゃなくて?」
 「合宿中はあまり一緒じゃなかったもん」

 まゆとそんなやり取りをしているのを見て春香は笑っていた。この時間が、本当に楽しくて幸せだった。





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