お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活
王様ゲーム⑤
 「陽菜ちゃん、陽菜ちゃん!もしもーし?生きてる?」
 りっちゃんに模擬告白をされてから陽菜ちゃんは様子がおかしい。何か上の空と言うような感じでたまにため息をしたりしている陽菜ちゃんを見て私はなんとなく嫌な予感がした。え、もしかしてだけど…陽菜ちゃん?
 「春香ちゃん…」
 「な、何?」
 「りっちゃんさんがイケメンすぎて尊い……」
 泣いてる。泣いてるよ。この子…ガチ惚れしてるじゃん。りっちゃんが女の子だってちゃんと理解しているよね?小声で震えながら私にきゃーきゃー言ってくる陽菜ちゃんを見て…私は…まじか…と思いながら反応に困っていた。
 「じゃあ、次のゲームやろう」
 りっちゃんがそう言いながらクジを用意するので私と陽菜ちゃんはクジを引いた。結果、王様は陽菜ちゃんになった。
 「えっと…2番…いや、3番の人、陽菜を抱きしめてください」
 結果、りっちゃんは3番だった。すごいな。ピンポイントで当てたよ。2番がりょうちゃんだったから3番に変えてくれてよかった。と安心しながらも陽菜ちゃんが明らかな好意を持って、私の大好きな親友のりっちゃんに抱きしめられるのを見て、私は複雑な心境になった。なんでだろう。なんでもやもやしてしまうのだろう。めんどくさいな私……
 「じゃあ、そろそろ入浴の時間だし、次で最後にしよう。じゃあ、みんな、クジを引いて」
 陽菜ちゃんを抱きしめ終えたりっちゃんが再びクジを用意してみんなに言う。りっちゃんにギュッと抱きしめられた陽菜ちゃんは供給過多と言うような様子で魂が抜けかけていた。陽菜ちゃん、戻って来て。
 「王様は私かー、じゃあ、私も誰かに抱きしめてもらおうかな…1番と4番の方、順番に私を抱きしめて」
 りっちゃん(王様)が笑顔で言うと陽菜ちゃんはめちゃくちゃ悔しそうな表情をする。1番は私なので陽菜ちゃんは4番を引けなかったようだ。りょうちゃんが、気まずそうに4番のクジを見せる。まゆちゃんが複雑な表情をするのと同時に、多分、私もまゆちゃんみたいな表情をしているのだろうな。と思ってしまう。
 まあ、それは置いといて、私はりっちゃんを抱きしめる。するとりっちゃんは私を抱きしめ返してくれて私の頭を優しく撫でてくれる。
 「春香ちゃんの髪、本当に撫で心地良きだよね…」
 「そう?」
 「うん。めっちゃ好き」
 りっちゃんがそう言うと、りょうちゃんが同意するように激しく頷いていた。かわいいなぁ。陽菜ちゃんが「私の頭は撫でてくれなかった。」「私には言ってくれなかった。」と悲しそうな表情で呟いていた。なんかごめん。
 りっちゃんを数十秒くらい抱きしめたあと、私がりっちゃんから離れるとりっちゃんは笑顔でありがとう。と言ってくれた。それを聞いた陽菜ちゃんが、「陽菜には言ってくれなかったのに…」と悲しそうに言っていてまじで申し訳ない気持ちになる。いや、でも、私悪くないよね?
 「じゃあ、次、りょうちゃん、よろしくね」
 「あ…はい……」
 りょうちゃん、顔、赤くなってるよ。アウト…だからね。りっちゃんはもう、りょうちゃんに特別な感情は抱いていないはずだけど…こうやって、りょうちゃんに抱きしめられたら気持ちが再発するとか…まあ、りっちゃんに限ってそれはないか……それでも、りょうちゃん、いくらりっちゃんがかわいいからってそんなにニヤニヤしたらダメだよ。私もまゆちゃんも怒るよ。
 案の定、まゆちゃんは機嫌悪そうな表情をしていた。たぶん、私もまゆちゃんと同じだ。最初はデレデレしていたりょうちゃんも私とまゆちゃんの表情を見てからデレデレするのをやめていた。それでよろしい。
 ところで……りょうちゃんがりっちゃんに抱きついているところをはぁ…尊い…と言いながら私の横でこそっと写真を撮っている私の幼馴染みの脳内は大丈夫だろうか。陽菜ちゃん、昔、りょうちゃんに気があったし…もしかして今も?と、陽菜ちゃんと再会してからあまり考えなかった可能性に気づいてしまった。陽菜ちゃんはかわいい。その上、私とりょうちゃんの幼馴染みでりょうちゃんも関わりやすい女の子だろう。もし、陽菜ちゃんがまだ、りょうちゃんのことが好きだったら…りょうちゃんはどうするのだろう………心配しすぎか……りょうちゃんが私とまゆちゃん以外の子を選ぶことはないはずだから……
 「よし、じゃあ、これで王様ゲームは終わりね。また、機会があればやろうね。じゃあ、今から各自入浴。りょうちゃん、じゃあね」
 当然だが、男風呂と女風呂に分かれているため、りょうちゃんとは一旦離れ離れになる。
 「りょうちゃん、また後でね」
 「りょうちゃん、お風呂から出たらまた会おうね」
 私とまゆちゃんがりょうちゃんに言うと、りょうちゃんは嬉しそうな表情で、「うん。また後でね」と私とまゆちゃんに言ってくれる。
 私とまゆちゃんはみんなと一緒に一度、女子用の大部屋に戻り入浴の道具を持って、みんなと一緒に浴場に向かう。広いお風呂久しぶりだから楽しみ。
 久しぶりにりっちゃんと身体洗いっこしたいな。と思いながら私はみんなと浴場に入っていく。
「お互いに好きだけど好きと言えない幼馴染の同居生活」を読んでいる人はこの作品も読んでいます
-
-
5,217
-
2.6万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
3万
-
4.9万
-
-
6,681
-
2.9万
-
-
8,191
-
5.5万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
14
-
8
-
-
2,534
-
6,825
-
-
6,044
-
2.9万
-
-
2,860
-
4,949
-
-
614
-
1,144
-
-
62
-
89
-
-
2,629
-
7,284
-
-
89
-
139
-
-
6,199
-
2.6万
-
-
65
-
390
-
-
450
-
727
-
-
6,237
-
3.1万
-
-
62
-
89
-
-
3,653
-
9,436
-
-
1,000
-
1,512
-
-
86
-
288
-
-
33
-
48
-
-
71
-
63
-
-
4
-
1
-
-
23
-
3
-
-
218
-
165
-
-
3,548
-
5,228
-
-
3,224
-
1.5万
-
-
398
-
3,087
-
-
183
-
157
-
-
6
-
45
-
-
47
-
515
-
-
614
-
221
-
-
4
-
4
-
-
27
-
2
-
-
4,922
-
1.7万
-
-
1,301
-
8,782
-
-
7,474
-
1.5万
-
-
408
-
439
-
-
29
-
52
-
-
116
-
17
-
-
104
-
158
-
-
164
-
253
-
-
34
-
83
-
-
51
-
163
-
-
42
-
14
-
-
1,391
-
1,159
-
-
215
-
969
-
-
265
-
1,847
-
-
213
-
937
-
-
220
-
516
-
-
83
-
2,915
コメント